Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90528号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4221213号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成4年1月25日に登録出願され、「ELLEPORT」の文字を横書きしてなり、第7類「建築または構築専用材料,セメント,木材,石材,ガラス」を指定商品として、同10年12月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が、商品「女性向けファッション雑誌」に使用し、取引者・需要者の間に広く認識されている商標「ELLE」(以下、「引用商標」という。)に類似するものであり、これをその指定商品について使用するときは、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
また、申立人は、雑誌「ELLE」の刊行を続けるのみではなく、「ELLE」ファッションの普及をはかるために、ライセンシーにこれらのファッションを商品化させる活動も行ってきた。
そして、本件商標はその商標中に「ELLE」の文字を含むものであるから、引用商標に類似するものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第4条第1項第15号に該当するものとして通知した取消理由は、つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標は「ELLEPORT」の文字よりなるところ、構成中「ELLE」の文字部分は、本件商標の出願前より、申立人により商品「女性向けファッション週刊誌」の題号として使用され、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認め得るものである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が恰も申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
本件商標がその構成中に「ELLE」の部分を一体に含むこと、引用商標が著名であるとする認定についてはこれを否定するものではないが、
(1)引用商標は、造語商標ではなく、フランス語で単に「彼女」を示す日常語で、識別力が低い単語の商標であること、
(2)引用商標は、この識別力の低い「ELLE」を、縦線が横線より太く、右端部分にそれぞれヒゲのある特定の書体において使用され、著名となっていること、
(3)著名商標はそれ自体識別力が強く、引用商標は上記特定の書体のものとして著名であるから、取引者・需要者は著名商標であるかどうかを直ちに識別し得ること、
(4)本件商標「ELLEPORT」は、全体を同一の肉太にして、各右端をぶつ切り状に切断したゴシック書体をもって、文字間にスペース等を備えることなく英文字を同一の大きさにして一連且つ一体に書したものであるから、取引者・需要者は、引用商標とは無関係にそのまま本件商標を素直に認識するものであること、
(5)したがって、本件商標が、その構成中に「ELLE」の部分を含むとしても、著名商標である引用商標との関係で、取引者・需要者は、殊更に当該部分を分析的に抜き出すように着目したり、当該部分について引用商標を想起したりすることはなく、更には引用商標となんらかの関係があると認識したりすることはないこと、
(6)しかも本件商標の商品は、ファッション、デザインといった類が重視される一般消費財分野の商品ではなく、生産財に属する、機能や用途といった技術的側面が重視される建材であって、その商品の性格上ファッション、デザインやファッションブランドといったものとはそれ自体縁が遠い商品であって、取引者・需要者(一般には建築関係業者であり)が、一般消費財について使用される著名商標との関係を想起したりする可能性は更にないこと、が明らかである。
取消理由通知は、単に本件商標について、著名商標(但し、書体に明確な相違がある)を含むことを唯一の理由として、その混同可能性についての認定判断を行っているが、これら(1)乃至(6)を考慮すれば、本件商標は引用商標と狭義、広義のいずれにおいても、混同可能性があるとすることはできないものと考える。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 当審の判断
(1)本件商標は上記した通り、「ELLEPORT」の文字よりなるところ、構成文字全体で一連の特定の観念を生ずるという特段の理由は存しないものと判断するのが相当である。
しかして、申立人の引用する商標「ELLE」は、女性向けファッション週刊誌の題号として世界的に著名であり、我が国においても、「ELLE」の姉妹誌である「エル・ジャポン」(甲第4号証)が発売されていることは良く知られている事実である。
また、「ELLE」は単に週刊誌の題号だけでなく、「エル・ファッション(Elle・fashion)」と呼ばれる独自のファッションをも生み出しているものである(甲第6号証及び甲第7号証)。
さらに、申立人は多数のサブライセンシーを通じて、「被服、アクセサリー、バッグ類、時計、靴下、ハンカチ、喫煙具、靴、寝具、文房具、せっけん類、眼鏡、ガーデニング用品、傘、ゴルフ用具」等の週刊誌以外の多種多様な商品について引用商標を使用してきている事実も認められる(甲第9号証乃至甲第33号証)。
(2)以上のとおり、引用商標は、本件商標の出願前より、申立人の取り扱いに係る商品「女性向けファッション週刊誌」及び「エル・ファッション(Elle・fashion)」と呼ばれる独自のファッションについての商標として我が国内でも著名性を獲得している事実を認め得るものである。 さらに、申立人は女性向けファッション週刊誌に止まらず多くのサブライセンシーを介して多種類の商品を手掛けてきているように、企業における多角経営の進展や経営の規模の拡大の傾向が著しいという実情があること等をも併せ考慮すれば、本件商標の出願時及び登録(査定)時において、商標権者がその商標中に申立人の著名商標である「ELLE」を含む本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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