Trademark Appeal Case
商標の著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第92242号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4181194号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年9月24日に登録出願され、下記(イ)に表示したとおりの構成よりなり、商品の区分第25類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年8月22日設定登録されているものである。
2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由
(A)申立人は、米国ニューヨーク州所在のリミテッド パートナーシップであり、その関連会社やライセンシー及び販売店を通して、被服や眼鏡類及びフレグレンスその他のファッション関連商品の世界的な製造・販売に携わっているものである。申立人がライセンシーや販売店等を通じて製造・販売している商品は、申立人の主な構成員の一人であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによって主にデザインされたものである。英国の伝統を基調としそれに機能性を加えたデザインと、卓越した製造技術並びに一貫した品質管理による良質の製品は、本拠地である米国のみならず日本を含む数十カ国に及ぶ世界の国々において、多くの消費者から高い評価を得ており現在では世界的規模で事業を展開している。申立人は、申立人が取扱う商品の商標として、「馬に乗りポロ競技をしている人」の図形(以下「ポロプレーヤーマーク」という)」及び「Polo」、「Ralph Lauren」の標章を単独又はそれらを組合せて長年使用している。そして、それらの標章は(B)において立証する通り本件登録出願前から既に周知・著名となっているものである。
(B)「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」標章の著名性について
「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」標章は、本件登録出願前より申立人に係る商品を表彰する商標として既に周知・著名となっているものである。その事実を以下に示す。
(a)商品のカタログ誌「男の一流品大図鑑」(昭和53年発行)において、特集記事『一流ブランド物語』の中で、ポロ(Polo)及び「ポロプレーヤーマーク」が著名服飾デザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされた商品を表彰するブランドであり、’68年にポロ社を創立してから僅か10年で世界的著名なブランドとなったことが明記されている。このカタログ誌は世界的に信用の確立している商品を選別し掲載した年刊誌であり、編集スタッフに各商品分野の専門家を起用してその内容に付いて高い信頼性を得ているものである。そして毎号『一流ブランド物語』のタイトルのもとに特に著名なブランドを厳選し、そのブランド商品の特色やデザイナー、ブランドの歴史等を特集して紹介している。ラルフ・ローレン及びその使用商標が、かかる高い評価をされているカタログ誌の特集記事に掲載されたということは、陶磁器や家具など他の分野で掲載されている著名ブランドに互して、「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」の標章が衣服の分野において一流ブランドであり、またこの時代(遅くとも’78年)既に著名になっていた事を証明しているに他ならないものである(甲第3号証)。なお、「Polo」標章を使用する広告の実例を甲第4号及び同第5号証として提出する。日本におけるPolo(ラルフ・ローレン)の商品は、西武百貨店が昭和52年(’77 年)からライセンシーの権利を取得しその製造、販売を行ってきたが、その後松屋、東急、大丸、阪急等のデパート内へインショップを出店し、また昭和62年から鎌倉、東京の銀座、原宿に相次いで大型専門店を開設している(甲第11号証)。なお、申立人の商品だけを扱うデパートのインシヨップや専門店は「ポロ・ショップ」と呼ばれ現在日本に約300店舗余り存在している。その後、昭和63年(’88年)に西武百貨店における申立人商品を取り扱う部門が独立し、株式会社ポロ・ラルフローレン・ジャパンが設立されより一層の宣伝・販促費を費やし申立人商品の普及に努めている。なお、かかる宣伝活動の際も「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」が使用されていることは勿論である。かかる広告宣伝活動の結果、日本における申立人商品は、昭和52年(’77年)の5億円余であったものが順次売上げを伸ばし現在では年間900億円近い売上げを誇る日本でも有数の人気の高いブランドの一つとなっている。このことは、申立人の「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」標章が、申立人商品を示すものとして短期間に日本における周知・著名性を獲得し継続していることを示すものである。
(b)甲第10号証は平成1年5月にラルフ・ローレンブランドの偽ポロシャツについて、警視庁が不正競争防止法違反容疑で捜査を行ったことを報じた新聞記事であるが、その記事中で「Polo(ポロ)」及び「ポロプレーヤーマーク」が申立人の著名な商標であることを報じている。我が国において不正競争防止法に基づく刑事事件は、著名性の立証が困難などの理由により立件されるのは希であるが、上記事件が立件されたことは、申立人の商標である「Polo」(ポロ)及び「ポロプレーヤーマーク」が不正競争防止法の下で刑事事件として保護されるほど著名であることを証明しているに他ならないものである。
(c)申立人の使用する「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」並びにそれらを組合せた標章が被服類及び眼鏡の取引関係者・需要者間において広く認識されていたことは、東京高等裁判所(「Polo Club」事件)及び東京地方裁判所(「Polo Crocus」事件)の判決において既に認められているところである(甲第7号証及び同第8号証)。また、多くの商品分野における異議決定においても申立人の主張が是認されている。その一部を証拠として提出する(甲第9号証の1乃至同号証の10)。
(d)「騎乗したポロプレーヤーの図形」及び「Polo」について混同の範囲がかなり広く認められているのは、申立人の使用標章が商標として高い出所表示機能を有していることが認められているからであって、それと構成の軌を一にするかかる商標は、例え細部において多少の差異があっても時と所を異にして見た場合は外観において紛らわしく出所の混同を生ずると判断されたといえるものである。
上述の通り、「ポロプレーヤーマーク」又は「Polo」又は「RaIPh・Lauren」並びにそれらを組合せた標章は、申立人及びその関係者によって製造・販売される商品の商標として使用しており、それらの標章はラルフ・ローレンの服飾業界における活動並びに申立人の世界的規模での事業展開を通じて、遅くとも本件商標出願前には日本の被服業界はもとより一般消費者の認識に定着し、その著名性が確立したものとなっていたものである。
(C)混同の生ずる必然性
本件商標は、(イ)に記載する構成よりなるものである。これに対し、申立人が使用する標章は甲第2号証乃至同第6号証に示す通り「馬に乗りポロ競技をしている人」の図形と「Polo」、「Ralph Lauren」又は「by RALPH LAUREN」の文字とを組合せてなるものである。しかして、両者は、「馬に乗りポロ競技をしている人」の図形と「POLO」の文字を含む欧文字からなるところ、図形部分はマレットの位置に差異があるものの騎乗したボロプレーヤ−がポロ競技をしている状態を描いた点で酷似するものであり、さらに、それらの図形と「POLO」の文字を含む欧文字とを組合せた点でも一致するものであるから、両者は全体とし構成の軌を一にするものである。たしかに、両者を対比すると細部において差異を有することは明らかであるが、店頭で販売されることの多い本件指定商品を購入する一般需要者(顧客)が、時と所を異にしてそれらの商品に付された図形及び「POLo」を含む欧文字からなる標章を通常払う注意力で見た場合、上述したような共通性を有する両標章の異同を識別するのは難しいと言うべきであり、また、上述の通り申立人の使用する「ポロプレーヤーマーク」及び「Polo」の標章が商標として高い出所表示機能を有しているところから、例え細部において多少の差異があっても構成の軌を一にするかかる商標は、時と所を異にして見た場合は外観において紛らわしく出所の混同を生ずるといえるものである。
したがって、本件商標は、上述の通り、申立人が使用して著名となっている引用標章と構成の軌を一にするものであるから、これを指定商品に使用したときは、取引者・需要者をして、申立人又はその関係者によって製造・販売されている商品の一種であると誤認し、商品の出所について混同を生ずることが必定と言うべき商標である。
(D)本件商標は、申立人が、その業務に係る被服類、眼鏡等の商品に長年使用し、広く一般に知られている標章と構成の軌を一にするものであるから、これをその指定商品に使用した場合は、商品の出所について混同を生ずること必定である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の取消理由
当審では、異議申立人の異議理由に基づき、商標権者に対して次のような取り消し理由を発した。
アメリカ合衆国ニューヨーク州にある『ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッド パートナーシップ」は、世界的に著名なデザイナーである「ラルフ・ローレン」によって主宰されている被服、眼鏡その他のファッション関連用品の製造、販売企業である。そして、該「ラルフ・ローレン」は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及びポロ競技をしているプレーヤーの図形よりなる商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。また、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。さらに、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ ローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」及びポロ競技をしているプレーヤーの図形の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、平成11年(行ケ)第267号、平成11年12月16日判決言渡、平成11年(行ケ)第299号、平成12年2月1日判決言渡、平成11年(行ケ)第315号、平成12年3月21日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くても昭和55年までには「POLO」、「ポロ」及び「ポロ競技をしているプレーヤーの図形よりなる商標」が、既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
そして、本件商標は、その構成中の一部に上記ラルフ・ローレンのデザインに係る商標と同じ「POLO」の欧文字及びポロ競技をしているプレーヤーの図形を有してなるものであるから、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記した実情から、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして周知著名である「POLO」、「ポロ」及び「ポロ競技をしているプレーヤーの図形」よりなる商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず違反して登録されたものである。
4 上記3の当審の取消理由に対して商標権者は何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
当審では、平成12年5月19日付けにて取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者から何ら応答もない。
してみれば、当審の上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、上記取消理由によって結論掲記のとおり取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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