Trademark Appeal Case
記述的語結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第92164号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4186003号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年12月2日登録出願され、別掲の構成よりなり、第14類「水晶時計,水晶時計の部品及び付属品」を指定商品として、平成10年9月11日に設定登録されたものであるが、その後、本件商標の抹消登録申請がなされ、その権利は平成11年12月22日に消滅したものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、昭和63年8月25日に登録出願され、「AUTOQUARTZ」の文字を横書きしてなり、第23類「水晶時計」を指定商品として、平成9年11月14日に設定登録された登録第4081890号商標(以下「引用商標」という。)と称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、指定商品も引用商標と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件商標と引用商標との類否についてみるに、本件商標は、その構成中の「AUTOQUARTZ」の文字部分が独立して把握、認識され、それ自体自他商品の識別機能を果たすものと認められ、「AUTOQUARTZ」の文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというを相当とするから、本件商標は、該構成文字に相応して「オートクォーツ」の称呼を生ずるものといわざるを得ない。
他方、引用商標は、「AUTO QUARTZ」の文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して「オートクォーツ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「オートクォーツ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といわざるを得ず、かつ、その指定商品も同一又は類似の商品と認め得るものであから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 商標権者の意見
商標権者は、「引用商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第46条第1項第1号に基づき、これを無効にすべきものである。」として、平成10年11月4日付けをもって「商標登録の無効の審判(審判平10−35539号)」を請求しているものである。
この商標登録無効審判における「商標登録の無効原因」についての当方の主張は、即、本件登録異議申立事件についての商標権者の意見ともなるものである。
本件商標及び引用商標は、いずれも「AUTO QUARTZ」のローマ字を普通に用いられる方法をもって、その商標中に表現をするものである。
このうち、「AUTO」の文字部分は、ギリシャ語「AUTO」=(SELF)を語源とする略語であって、「自身の、自己の、独自の」の意の連結形を、また、「AUTOMOBILE」の語の略語として「自動車の」の意の連結形を、さらには「AUTOMATIC」の略語として「自動の、自動機械の」の意の連結形をそれぞれ形成するものであることは英和辞典の既述するところである。このうち、「自動機械(の)」とは、「自らの機能をもって作動・調整し自動制御をする機械(の)」を意味することは、その語源「AUTOMATIC」の語義からして明らかである。
「AUTO」の文字が、接頭語として「自動の」の意に用いられていることは外来語辞典もこれを既述するところであり、邦語による国語辞典も、「AUTO」の語は「自力による、自動(式)の」の意を表現する接頭語としてこれを記述するものである。
「AUTO」の語意についてのこれらの辞典類は、いずれも両商標の商標登録出願前の発行に係るものであり、「AUTO」の語が示す「自動機械」の意味を、日本国内における産業用機械器具(「時計」は精密機械の一分野)の業に携わる者のみならず、一般需要者においても、これを認識し理解する状況にあったことを示すものである。
両商標における他の構成文字「QUARTZ」は、本来は「石英」を表わす語であるが、小型の水晶(石英の結晶)発振器を組みこんだ時計「水晶時計QUARTZ CLOCK, QUARTZ WATCH」の略称として用いられるものである。
「QUARTZ」の語は、両商標の登録出願前において「水晶時計」の商品名を指称し、また、当該時計が「水晶発振式(水晶発振器をもって調整される同期電動式)」であることの商品の品質を表示するものとして使用をされ、一般に広く認識され理解をされていることは明らかである。
両商標を構成する「AUTO」及び「QUARTZ」の両語は、それぞれ如上の語義をもって一般に広く認識されているものであるから、両商標に接する者をして直ちに観念をさせ、容易に理解をさせる語義は、「自動調整の制御機能を有する水晶時計(クオーツ・商品表示)」であるか、又は同時計が「自動調整の制御機能を有する水晶発振式のものである(商品の品質表示)」かのいずれかである。
これにより両商標を構成する「AUTO QUARTZ」の文字は、その指定商品「水晶時計」との関係において、「商品」又は「商品の品質」を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと言わざるを得ない。
換言すれば、「引用商標は、本件商標の拒絶理由とはなり得ない」ものである(商標法第4条第1項第11号不該当)。
また、各国における「AUTO QUARTZ」についての商標審査の判断は、期せずして本件商標の登録異議申立てに係る被申立人の主張を裏付け、補強をするものである。
各国における商標登録出願の審査は、各国それぞれが主体性をもって行うことを原則とするものではあるが、他方では国際分類の選択のほか、商標制度の国際協調、国際化等も進められているところである。
「AUTO QUARTZ」に係る審判事件の審決、商標登録異議申立てについての決定等にみるごとき、日本国のみの隔絶した判断は、国際的には容認され難いものである。
国際的な商取引にも密接に係る商標問題でもあり、英語圏諸国をも含め、国際的に通用をする判断を切に望むものである。
5 当審の判断
本件商標は、別掲に示したとおり幾何図形の下部に「AUTOQUARTZ」の文字を横書きしてなるものであるところ、その構成中の「AUTOQUARTZ」の文字部分は独立して把握、認識され、それ自体自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものと認められる。してみれば、これに接する取引者・需要者は、該「AUTOQUARTZ」の文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというを相当とするから、本件商標は、該構成文字に相応して「オートクォーツ」の称呼を生ずるといえるものである。
これに対して、引用商標は、前記したとおり「AUTO QUARTZ」の文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して「オートクォーツ」の称呼を生ずること明らかである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「オートクォーツ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といわざるを得ず、かつ、その指定商品も同一又は類似の商品と認め得るものである。
しかして、商標権者は、前記4の意見書において、引用商標は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであり、本件商標の拒絶理由とはなり得ない(商標法第4条第1項第11号不該当)旨を種々述べているが、引用商標は、その構成に係る「AUTO」および「QUARTZ」の各語が商標権者の主張するような語義を有するものであることは認め得るとしても、「AUTO」の語がその指定商品の品質を具体的に表すものとは認め難いばかりでなく、商標権者より提出された証拠を検討したが、上記の二語を連綴してなる引用商標がその指定商品の品質を表示するものとして取引者、需要者の間において認識されているものとは認められず、また、前記の本件商標の登録無効審判事件(審判平10−35539号)は、その審判請求取下がなされ、平成11年11月16日に確定したものであり、本件については上記の認定を妥当とするところであるから、商標権者の上記主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
なお、本件商標の権利は、抹消登録の申請により、平成11年12月22日に消滅したものであるが、本件商標の登録の取消決定が確定したときは、本商標権は、初めから存在しなかったとみなすとされるから、前記のとおり認定、判断する。
よって、結論のとおり決定する。
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