Trademark Appeal Case
エフとFの称呼同一性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91625号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4306557号商標(以下「本件商標」という。)は、「エフフルート」の文字を横書きしてなり、平成10年7月27日に登録出願、第16類「紙類、紙製包装用容器」を指定商品として平成11年8月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由の要点
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の提出に係る甲各号証によれば、段ボールに係る業界において、「フルート(flute)」の語は「段」を指称するものとして普通に使用されており、段の種類には段の高さ、30cm当たり段の数、段繰り率により「K/Sフルート」、「Aフルート」ないし「Gフルート」及び「Nフルート」と指称していること、「Eフルート,Fフルート、Gフルート」を総称して「マイクロフルート」と称し、段山の薄いE、F段などを「ミニフルート」と称していること、並びに「Fフルート」は、段の高さ0.75〜0.81、30cm当たり段の数106〜128、段繰り率1.23の段ボールを指称する語として1990年代初期から用いられていたものであることが認められる。
そうすると、本件商標は、これを「Fフルート段ボール、Fフルート段ボール箱(包装用容器)」について使用したときは、これに接する者は、上記の事実から、該構成中の「エフ」の文字部分が欧文字「F」を仮名文字にて表したにすぎず、全体として「Fフルート」を意味するものとして把握、認識するというのが自然であり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと判断するのを相当とする。
したがって、本件商標は、その指定商品中「Fフルート段ボール(シート),Fフルート段ボール箱(包装用容器)」について使用するときは、単に商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表すにすぎず、前記商品以外の「紙類,紙製包装用容器」について使用するときは、該商品が「Fフルート段ボール(シート),Fフルート段ボール箱(包装用容器)」であるかの如く、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 商標権者の意見の要点
(1)取消理由によれば、段ボールに係る業界において、「フルート」の語は「段」を指称するものとして普通に使用されているとともに、「Fフルート」は、段の高さ0.75〜0.81、30cm当たりの段の数が106〜128、段繰り率1.23の段ボールを指称する語として1990年代初頭から用いられていることが認められるとのことである。
しかし、本件商標は「エフフルート」であり、「エフ」の部分が必ずしも欧文字の「F」を観念するとは限らない。例えば、小荷物等につける名札、荷札は「絵符」として「エフ」の称呼を有し、そのようなことからしても、この「エフ」が必ず「F」を意味するものとは即断できないというべきである。つまり、本件商標「エフフルート」は全体に特定の意味を持たない造語であるというべきである。
例えば、過去の審決例においては、「電気機械器具」等を商品とする商標であるものの、商標「エフレジン」における「エフ」が必ずしも欧文字の「F」を意味するとはいえないとする判断例があり(乙第1号証)、さらに、「建築又は構築専用材料」等を商品とする「ケイブロック」において、「ケイ」の部分が必ずしも欧文字「K」を示すとはいえないとする判断例が存在する(乙第2号証)。
(2)また、申立人提出の甲第8号証における「段ボールシート」の「段ボール(フルート)の種類」における記載内容からすると、Fフルートは、日本でも特に珍しいものである旨の記載があり、そのようなことからして、「Fフルート」自体が日本国内ではさほど知られてはおらず、「Fフルート」がその商品の品質、形状を普通に用いる方法で表しているとはいえない。
また、申立人提出の甲第1号証(パッケージ大百科)にも、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Eフルートの記述があるが、Fフルートについての記述はない。また、甲第2号証(JISハンドブック)においても、「A flute」、「B flute」、「C flute」、「E flute」の記述があるものの、Fフルートの記述はない。
以上のことからしても、「Fフルート」自体が一般的な用語ではなく、商品の品質、形状を普通に用いる方法で表しているとはいえない。
よって、仮に「エフフルート」が「Fフルート」を意味するものと判断されるとしても、直ちに識別力がないとはいえない。
(3)以上のことからすると、本件商標について登録を取り消すとの判断は誤りでるといわざるを得ない。
5 当審の判断
本件商標は、その指定商品中「Fフルート段ボール(シート),Fフルート段ボール箱(包装用容器)」について使用するときは、商品の品質、形状を表すにすぎず、前記商品以外の指定商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの理由により登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見(上記4)は、以下の理由により、採用することができない。
(1)商標権者は、本件商標は「エフフルート」であり、「エフ」の部分が必ずしも欧文字の「F」を観念するとは限らない。例えば、小荷物等につける名札、荷札は「絵符」として「エフ」の称呼を有し、この「エフ」が必ず「F」を意味するものとは即断できないというべきである。つまり、本件商標「エフフルート」は全体に特定の意味を持たない造語である旨主張する。 しかしながら、段ボール業界、紙製包装用容器業界において、「フルート」の語が「段」を表す語として普通に使用され、これに欧文字の1字又は2字を付した語が、「Aフルート」、「K/Sフルート」、「Bフルート」、「Cフルート」などと使用されているのに加え、「Fフルート」の語も使用されている事実が認められるのであるから、これらの商品が事業者向けのいわゆる専門家、技術者を対象とするものであることを併せ考慮すれば、たとえ「エフフルート」と仮名文字で表示されていたとしても、これは「Fフルート」を表したものと理解されるに止まることは必定であって、これが造語などと認識されることはないものといわなければならない。
(2)商標権者は、甲第8号証に、Fフルートは、日本でも特に珍しいものである旨の記載があり、「Fフルート」自体が日本国内ではさほど知られてはおらず、また、甲第1号証(パッケージ大百科)、甲第2号証(JISハンドブック)にFフルートの記述はないから、「Fフルート」自体が一般的な用語ではなく、商品の品質、形状を表すものではない旨主張する。
しかし、例えば紙製包装容器の専門誌と認められる「月刊カートンボックス1997年3月号」(甲第3号証)の「海外技術ニュース」に「Fフルートが折りたたみ箱市場に徐々に浸透」と題する記事が掲載され、日本紙工業株式会社のホームページ(甲第7号証)に「段ボールシ−ト」「段ボール(フルート)の種類」として「Fフルート」が挙げられ、「出版・情報ガイドーネット版ー」(甲第8号証)に「4社共同で紙製農産用被覆材を開発」として「古紙100%使用でFフルート構造」と紹介されるなどの事実からみれば、商標権者の上記主張する点を考慮するにしても、この種業界において「Fフルート」の語が自他商品の識別機能を有するものとは到底認められないから、商標権者の上記主張も採用の限りでない。
なお、商標権者の挙げる審決例は本件とは事案が異なるものである。
以上のとおりであって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。