Trademark Appeal Case
ハンドベールの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91201号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4274441号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ハンドベール」の文字を標準文字とし、平成10年3月27日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同11年5月21日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、指定商品中の商品「ハンドクリーム」の品質等を表示する用語であり、自他商品の識別力を有しないので、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ハンドクリーム」以外の商品に使用された場合、商品の品質につき誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
また、仮に、上記に該当しないとしても、本件商標は、昭和62年10月23日に登録出願され、「ノエビア 薬用ハンドベール」の文字を書してなり、第4類「薬用ハンドクリーム」を指定商品として、平成2年4月23日に設定登録された登録第2224289号商標と類似する商標であって、指定商品も同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって、本件商標は、同法第43条の2第1号の規定により、取消されるべきである。
3 取消理由の通知
申立人提出に係る甲各号証を徴すれば、「ハンドベール」の文字は、「ハンドクリ一ム」と同様な効果を有し、「肌を保護しうるおいを与えるハンドクリーム」を指称する商品として普通に使用されている事実が認められる。
してみれば、本件商標をその指定商品中「ハンドクリーム」について使用する場合は、単に該商品の品質・用途・効能等を表示するにすぎないものとみるのが相当であり、前記以外の「化粧品」について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、要旨次のように意見を述べている。
本件商標は「ハンド」及び「ベール」のカタ力ナ文字を有してなり、これらからそれぞれ「手」、「おおうもの」などの観念を生じることはあっても、「ハンドベール」全体から直接に「ハンドクリーム」ないしは「肌を保護しうるおいを与えるハンドクリーム」という観念が生ずるとは到底考えられない。
すなわち、本件商標は英語を語源とする「ハンド」及び「ベール」なる語を組合わせた一体の造語であって、もともと「HANDVEIL」、又は、「HAND VEIL」なる語が英語の通常の言葉、成句として存在するわけではない。
このことは、たとえば、英和辞書の一つとして著名な研究社新英和大辞典(第5版、1990年株式会社研究社発行、参考資料1)においても「HANDVEIL」または「HAND VEIL」なる語は掲載されておらず、日本語としても、国語辞典として著名な広辞苑(第四版、1991年11月15日 株式会社岩波書店発行、参考資料2)においても、「ハンドクリーム」なる語は記載されているものの「ハンドベール」なる語は記載されていない。また、特許庁が公表している「新商品・役務名リスト」にも掲載されている事実は見当たらない。
更に、化粧品の取引界においても「ハンドベール」がそのような特定の意味を有するものとしては考えられていない。この点、申立人によれば、各甲号証によって「ハンドベール」が商品の普通名称、又は、慣用名称と認識されているかのように主張するが、それられはいずれも、「ベール」のみの語にかかわり、決して「ハンドベール」全体についてのものではないか、あるいは、仮に「ハンドベール」なる語が全体として用いられているとしても、それらは商標の一部として用いられているにすぎないのであって、申立人がいうような、商品自体を指し示す普通名称として「ハンドベール」が使用された事実はまったく見当らない。
したがって、本件商標「ハンドベール」が「肌を保護しうるおいを与えるハンドクリーム」を指称する商品として普通に使用されているとは決していえないことが明らかであり、本件商標をハンドクリーム以外の化粧品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
5 当審の判断
本件商標は上記のとおりの構成からなるところ、一体の構成からなる成語として辞書等に掲載されていないとしても、これを構成する「ハンド」の語は「手」を、又、「ベール」の語は「かぶり物、おおって見えなくする物、覆い」等を意味する外来語として、いずれも一般に極めて親しまれて用いられている語であるところから、容易に上記二語を組み合わせてなるものと理解・認識し得るものである。
そして、化粧品業界においては、登録異議申立人 ザ・メンソレータム・カンパニー・インコーポレーテッドの提出に係る甲第11号証ないし同第19号証によれば、「ベール」の語は、「リップクリーム、ハンドクリーム、ファンデーション」等の商品について、例えば「うるおいのベール」「ベール効果で」「油分のベール」「見えないベール」の如く、商品の効能、品質を表示するものとして数多く使用されている事実が認められるばかりでなく、同人の提出に係る甲第6号証(株式会社週刊粧業発行 1992 cosmetics in japan 日本の化粧品総覧)には、「ハンド&ネイルケア」製品欄の「ハンドクリーム」の項に、メーカー名「ノエビア」、商品名「薬用ハンドベール(医薬部外品,200ミリリットル)」と表示されており、同第7号証(同前 1993年版)にも、「ハンド&ネイルケア」製品欄の「ハンドクリーム」の項に、メーカー名「資生堂薬品」、ブランド名「フェルゼア」、商品名「ハンドベール(医薬部外品,60グラム)」と表示されていることを認めることができる。
又、同第8号証(資生堂薬品株式会社の「フェルゼア商品カタログ」)及び同第9号証(資生堂薬品株式会社の「フェルゼア商品広告」)によれば、商品容器には「ハンドベール」の文字の下に「水をはじいて手を守る」の表示が認められ、商品説明の効能・効果欄には「皮膚を保護する。皮膚にうるおいを与える。皮膚をすこやかに保つ。」等の記載があり、同第10号証(ロート製薬株式会社発行「’98メンソレータム秋冬製品のご案内」)には、「MENTHOLATUM HANDVEIL」の表示とともに「薬用ハンドベール」の記載を認めることができる。
更に、登録異議申立人 高野勝弘の提出に係る甲第5号証(資生堂薬品(株)91年9月発売新製品)には、商品名欄に「フェルゼア ハンドベール(医薬部外品)」、薬効の欄には「水仕事前のハンドクリーム」、商品特徴の欄には「湯水や洗剤から手を守ります。」の各記載を認めることができる。
以上の甲号各証に徴すれば、「ハンドベール」の語は、肌を保護し、うるおいを与えるハンドケア商品を表しているものであり、「ハンドクリーム」を指称する語として普通に使用されているものとみるのが相当である。
この点について、商標権者は、「ハンドベール」なる語が全体として用いられているとしても、商標の一部として用いられているにすぎない旨主張しているが、上記甲号各証において使用されている「ハンドベール」の文字(語)は、他の構成要素から独立して認識し得る態様をもって表されており、しかも、複数の企業によって使用されているものであるから、上記した実情のもとにあっては、「ハンドベール」の語が自他商品識別標識としての機能を果たしているものとみることはできない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中の「ハンドクリーム」について使用する場合には、単に該商品の品質・用途・効能等を表示するにすぎないものであり、前記以外の「化粧品」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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