Trademark Appeal Case
周知商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第91977号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4167807号商標(以下「本件商標」という。)は、下記(1)に表示したとおりの構成からなり、平成6年8月25日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年7月17日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議申立理由
本件商標は、申立人がその業務に係る商品「被服類」等に使用し、広く一般に知られている下記(2)に表示した商標(以下「引用商標」という。)と近似するものであり、また、本件指定商品と被服類等は取引者、需要者を同じくする場合が多く、かつ、申立人は引用商標を本件指定商品の一部に使用しているところから、本件商標をその指定商品に使用された場合は、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
3 本件取消理由通知
(1)引用商標の周知、著名性について
登録異議申立人の提出に係る甲第3号証及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド辞典’84ザ・ブランド」の記載によれば、次の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、巾広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立し、ポロ・ファッションズ社(以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなる引用商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、例えば、前記「男の一流品大図鑑」(昭和53年7月20日発行)をはじめ、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、(株)講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年6月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前記「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
また、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、東京高等裁判所平成2年(行ケ)第183号(平成3年7月11日言渡)及び東京地方裁判所平成8年(特わ)第1519号(平成9年3月24日言渡)判決をはじめ、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同第289号(以上平成11年12月21日言渡)、同第288号(平成12年1月25日言渡)、同第298号、同第299号(以上平成12年2月1日言渡)、同第192号(平成12年2月29日言渡)、同第333号、同第334号(以上平成12年3月29日言渡)等の一連の判決がある。
さらに、引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成1年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同10年6月8日付朝日新聞夕刊等において報道され、これらの記事中では引用商標が「ポロ」、「Polo」、「POLO」等と称されている。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、「ポロ」、「Polo」、「POLO」と略称され、ラルフ・ロ ーレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品等に使用する標章として遅くとも本件商標の登録出願時までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は、本願商標の出願時はもとより、現在においても継続しているものである。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
本件商標は、下記(1)のとおりの構成からなるものであるところ、本件商標の図形部分と引用商標の図形部分は描き方は相違するが共にポロプレーヤーを表したものであり、かつ、本件商標が「POLO」、引用商標が「Polo」を有してなるものである。
そして、本件商標の指定商品には、ラルフ・ローレンが現にデザインして製造、販売をしている商品と同一の商品が含まれているものである。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本件商標の図形部分及び「POLO」(取消通知には文字の大小に誤記があり訂正した。)の部分に注目して、上記周知、著名な引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
4 本件商標権者の意見
前記取消通知に対して、商標権者は、(1)平成12年1月27日 東京高裁 平成11年(行ヶ)第253号判決、及び(2)平成12年1月27日 東京高裁 平成11年(行ヶ)第254号判決を引用し、両判決と同一の判断をすべきである旨主張した。
5 当審の判断
商標権者が引用する(1)の判決は、本件商標とは、事案を異にするばかりでなく、本件取消理由通知で掲げた同種の東京高等裁判所の判決では、いずれも、ラルフローレンに係る引用商標との関係で、登録出願に係る商標又は登録商標が商標法第4条第1項第15号に該当する旨判断した審決又は決定が支持されているものである。最近でも、平成12年7月18日 同11年(行ヶ)第340号判決でも、原告の同一の主張が斥けられている。
また、同(2)の判決は、商標法第56条で準用する特許法第150条第5項に規定する職権証拠調べに対する意見申立機会の付与に係る事案で、審決が取り消されたものであるところ、本件においては、本件取消理由通知において、証拠を示して商標権者の意見を求めたところである。
したがって、商標権者の主張はいずれも採用することができない。そして、先に示した本件取消理由通知における認定、判断は正当である。
6 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから本件登録異議の申立ては理由あるものとし、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消すべきである。
よって結論のとおり決定する。
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