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Trademark Appeal Case

略称の普通名称化

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90247(T2000−90247/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4336040号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4336040号商標(以下、本件商標という。)は、平成10年10月2日に登録出願され、「HST」の欧文字を書してなり、商品の区分第7類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年11月19日設定登録されているものである。

2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由

(イ)土木・建設機械や鉱山機械などに使用されている「Hydro Static Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」(静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置)が、本件商標の出願日の遥か以前より、「HST」と略称され普通に使用されている。

(ロ)本件商標の構成文字は、前記装置の略称「HST」の語と綴りが同一である。

(ハ)したがって、本件商標は、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第1号、又は同3号、又は同6号、或いは同法第4条第1項第16号に該当する商標であって、その登録は取り消されるべきものである。

(ニ)次に、その理由を詳しく述べる。

油圧装置は、動力伝達の媒体として油を使用し、その油に与えられたエネルギーを作動装置により、直線・振動・回転の運動に変換する装置である。そして、油圧装置においては、流体の運動エネルギーを利用するトルクコンバーターとは異なり、圧力エネルギーを利用することから、「Hydro Static(ハイドロスタティック)」(静油圧)と呼ばれている。

したがって、油圧装置は、広い意味では全て、「Hydro Static Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」ということもできるが、一般には、特にその中でも、回転動力を伝達するための装置が「Hydro Static Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」(静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置)と呼ばれている。{本書において、Hydro Static Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)は、前記狭義の装置を意味する。}(以上に関して、後記の甲第3号証1参照)。

この「Hydro Static Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」(静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置)は、主に、「土木・建設機械、鉱山機械、農業機械などにおける車両の変速機」等に使用されている。そして、車両の変速機においては、自動車のAT(オートマチックトランスミッション)に相当する無段変速機能を持ち、低速域でその特性を発揮する。

(ホ)そして、「Hydrr Static TranSmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」(静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置)は、本件商標の出願日の遙か以前より現在に至るまで、その欧文字の各頭文字をとって、「HST」と略称されている。即ち、この「HST」の語は、本件商標の出願日の遥か以前より現在に至るまで、前記装置を表す語として普通に用いられてきている。なお、「HydroStatic Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」の日本語の表現は、前記「静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置」以外に、静油圧無段変速機、静油圧伝動装置、油圧トランスミッション等がある。

(ヘ)前記(ニ)及び(ホ)の事実は、甲第2号証乃至同第37号証のとおりである。

(ト)以上「甲第2号証」乃至「甲第37号証」に記載の事実からも明らかなように、「HST」の語は、本件商標の出願日である平成10年(1998年)10月2日以前より現在に至るまで、「Hydro Static Transmission(ハイドロスタテイツクトランスミッション)」(静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置)の略称として普通に用いられてきている。そして、この装置「HST」は、主に、土木・建設機械、鉱山機械、農業機械などの車両の変速機に使用されている。他方、本件商標は、前記装置の略称と同一の構成文字「HST」(標準文字)から成るものであり、その指定商品は「鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,これらの部品及び附属品」である。

したがって、本件商標は、(a)「鉱山機械器具.土木機械器具・荷役機械器具の専用部品としての、例えば、それらの車両の静油圧変速装置」について使用されたときは、商標法第3条第1項第1号、又は同6号に該当する、(b)「鉱山機械器具、土木機械器具、荷役機械器具のうち静油圧変速装置(静油圧駆動装置)を備えたもの、例えば、それらの車両のうち静油圧変速装置を備えた車両」について使用されたときは、同法第3条第1項第3号、又は同6号に該当し、それ以外の商品について使用されたときは、同法第4条第1項第16号に該当する、商標であって、同法第43条の3第2項の規定によってその登録は取り消されるべきものである。

なお、本件商標が一個人によって独占されることになれば、当業界及びその需要者が混乱することは明白であり、この点においても、本件商標は登録されるべきものではない。

3 当審の取り消し理由

本件商標は、「HST」の文字を普通に用いられる方法で横書きし、第7類「鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,これらの部品及び付属品」を指定商品としてなるものである。

しかして、本件商標を構成する「HST」の文字は「Hydro Static Transmission(ハイドロスタティックトランスミッション)」(静油圧変速機、或いは静油圧駆動装置)の略称である事実を申立人提出の甲各号証によって認め得るところである。

してみれば、本件商標をその指定商品中の「HSTを変速機又は駆動装置として装備している土木機械、鉱山機械、荷役機械」について使用する場合には、単に該商品の品質(機構等)を表示するにすぎず、また上記以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 上記3の当審の取消理由に対して商標権者は何ら意見を述べていない。

5 当審の判断

平成12年7月5日付けで取り消し理由を通知し、期間を指定し意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何の応答もなかった。そして、上記の取り消し理由は妥当なものと認められるから、本件商標登録は、この取り消し理由によって、取り消すものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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