Trademark Appeal Case
商標の類似性と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91388号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4286972号商標(以下「本件商標」という。)は、平成3年10月14日に登録出願された商標登録出願(商願平3−106777)を商標法第10条第1項の規定により分割し、平成8年6月12日に登録出願されたものであって、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第21類「装身具,ボタン類,袋物,宝玉およびその模造品,造花,化粧用具」を指定商品として、平成11年6月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由及び証拠方法
(1)本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であり、これが登録されることは国際信義上好ましくないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
また、いずれも「KILLER LOOP」の文字を横書きしてなる平成1年6月26日に登録出願され、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年5月29日に設定登録された登録第2417242号商標、平成2年3月28に登録出願され、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録された登録第2451437号商標、平成2年3月28日に登録出願され、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年6月30日に設定登録された登録第2427247号商標及び別掲(2)に示すとおりの構成よりなる商標(以下まとめて「引用商標」という。)は、本件商標の出願の前より、イタリアのモダ・ソラリス・エッセ・ピ・ア(後に、キラーループ・エッセ・ピ・アに名称変更)及びその承継人である登録異議申立人(以下「申立人」という。)とベネトン・グループ・ソチエタ・ペル・アチオニによって「サングラス、スノーウェア」等に使用された結果、取引者・需要者の間に広く認識されている商標であるところ、本件商標は引用商標に類似する商標であって、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあり、さらに、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第15号及び同法第4条第1項第19号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
(2)申立人は、甲第1号証ないし甲第59号証を提出した。
3 通知した取消理由
商標権者に対して通知した取消理由は、次のとおりである。
〈取消理由〉
申立人提出の証拠を徴するに、申立人が引用の「KILLER LOOP」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、「サングラス,スキーウエア,スノーボード用ウエア」等の商品について使用され、本件商標の登録出願の時には、サングラスの商標としてスポーツ用品を取り扱う取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
しかるに、本件商標は、「KILLERLOOP」の文字及びその読みと認められる「キラーループ」の文字よりなるものであり、この文字は、特定の語意を有する成語として一般に知られ親しまれたものとは認められず、引用商標と構成態様はやや相違するとしてもアルファベットの綴り文字を全く同一とするものであって、偶然の一致で商標権者が採択し商標登録をしたとは認め難いものである。
また、本件商標の指定商品は、ファッション関連の商品といえるものであり、引用商標もファッションと関係が深い「サングラス,スキーウエア,スノーボ−ド用ウエア」等の商品に使用された結果、需要者の間において広く認識されるに至ったものであって、需要者が共通する場合も少なくない。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者において引用商標を想起し、申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
また、引用商標は、本件商標の登録出願の時に欧米の需要者の間においても既に広く認識されていたものと認め得るところ、本件商標は、引用商標と偶然の一致で商標権者が採択し商標登録をしたとは認め難いこと前記のとおりであって、商標権者は、本件商標の指定商品について引用商標が登録されていないことを奇貨として登録出願をなしたものと推認できるから、本件商標は、不正の目的(不正な利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他不正の目的)をもって使用するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、同法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は要旨次のように意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号の規定に違反するとの理由について
(a)商標について
申立人は、甲第10号証ないし甲第54号証を提出し、引用商標が本件商標出願前から周知であったと主張し、1989年から1993年の間は、プレシジョンエフエムジャパンを販売店として、我が国に商品「サングラス、スノーウェア」等を輸入していると述べているが、提出された資料から見本市等での出店の事実は伺えるが、輸入数量はわずかなものであり、我が国での周知性の獲得を証明するには明らかに不十分である。
また、申立人は、外国での商標登録の事実を証すべく、登録証の写しを提出しているが、外国での具体的な販売実績を示す資料は何ら提出されていない。
これは、引用商標「KILLER LOOP」が、プレシジョンエフエムジャパンを販売店としていた当時は、本格的な販売には至っていなかったからであり、このことは、大沢商会が1993年に引用商標「キラーループ」を使用した商品「サングラス」の輸入開始を報じる記事でも、既にプレシジョンエフエムジャパンを販売店として、我が国で取り扱われていたような記載は見られず、又、記事の内容も販売目標が初年度3億円、3年目は8億円というように大きく伸びている点からも伺われるものであり(乙第6号証)、また商品「スノーウェア」についても、本格的な販売は、デサント、伊藤忠商事により1995〜1996年のシーズンになされたものであることが伺われる(乙第7号証)。
よって、引用商標が本件商標出願前に、商品サングラスの商標としてスポーツ用品を取り扱う取引者、需要者の間で広く認識されていたとは到底言い得ない。
(b)商品について
本件商標の指定商品は「装身具、ボタン類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」である。
申立人は、「引用商標が使用される商品は、サングラス、ティーシャツ、スノーボードウェア等のスノーウェア、スポーツウェア等です。」と主張しているが、本件商標出願時に申立人が引用商標を使用して、周知性を獲得し得る商品があれば、せいぜい「スポーツサングラス」である。
そして、商品「スポーツサングラス」と本件商標の指定商品である「袋物」等のファッショングッズとは、あくまで直接的な関係は有しないものである(乙第2号証)。
以上から、本件商標と引用商標とは類似するものであっても、これを指定商品に使用した場合に、これに接する需要者、取引者が申立人又は甲立人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者であるかの如く認識して、商品の出所について混同を生じることなどありえない。
(2)商標法第4条第1項第19号の規定に違反するとの理由について
(a)申立人は、引用商標が本件商標出願時にはすでに、本国イタリア、アメリカ、日本において広く知られていると述べているが、上述のように、諸外国での周知性獲得の事実は到底証明し得ないものである。
また、本国イタリアにおいても、イタリアは世界的に有名なファッションブランドが多く存在する国であることは周知の事実であるが、30年以上の伝統を有するサングラスメーカーの1ペットマークとして1990年にスタートしたブランド(乙第10号証)が、その翌年に本国で周知性を獲得するには多大な宣伝活動をする必要があると考えられるが、申立人が提出する資料は、ウインドサーフィンの競技会の提供をするなどをしている資料等わずかなものであり、本国での周知性を証明するには不十分なものであることは明らかである。
また、甲第21号証ないし甲第24号証を見ても、ウインドサーフィンの競技のチラシや競技会場において「KILLER LOOP」の表示がなされてたことは伺えるが、これは、大手サングラスメーカーが商品「スポーツサングラス」用の新ウインドサーフィンの技の名からなる1ペットマークのキャンペーンをしている光景であると理解するのが自然である。
そうすると、ウインドサーフィン愛好者ならずとも、競技会場等でかかる表示に接する需要者等は、「KILLER LOOP」が何を意味するのかを当然に知るものであり、このようなウインドサーフィン競技とリンクした宣伝を行った程度であれば、商標「KILLER LOOP」を付した商品の販促活動が行われていない地域では、まず商品よりも、「KILLERLOOP」という超人技、あるいは「KILLERLOOP」という語が商品とは無関係に広く伝わるものとも考えられ、この結果、ウィンドサーフィンを愛好する本件商標権者が商標として採択するに至ったものとするのが相当である。
(b)引用商標が我が国をはじめとする外国への本格的な進出を開始し、商品「スポーツサングラス」のみならず、商品「スノーボード」、「スノーボードウェア」、あるいは「ファッションサングラス」に進出を開始するのは、少なくとも1993年のベネトングループの傘下に入ってからのことであり、本件商標権者が、本件商標出願時に、かかる事実を予見するのは到底不可能である。
また、引用文献の内容からも、申立人が本件商標出願前に使用していた商品は、せいぜい「スポーツサングラス」のみであるが、スポーツフィールドで用いられる実用的な商品と、ファッション小物の範疇に属する本件商標の指定商品「袋物等」とはさほど関連性があるものとは言い得ない。
そうすると、本件商標出願後に、申立人がベネトングループの傘下に入り、引用商標が総合ファッションブランドとなったとしても、かかる第三者には予見不可能な本件商標出願後に生じた私益的な事情により、本件商標権者に不正の目的があったものと認定されるのは明らかに不合理である。
現に、本件商標権者は、申立人に対して、商標の買取り、代理店契約締結等の要求は一切していないばかりか、申立人に対してこれまで何らのはたらきかけもすることなく、自ら販売する商品「袋物」、「自転車」等に本件商標を継続して使用しているものであり(乙第11号証及び同第12号証)、全国にチェーン展開する大手スポーツ用品店である株式会社アルペン(本社:名古屋市中村区名駅5丁目25番1号)等を通じて平成7年頃から販売を開始し、既に業務上の信用が化体しているものであり、少なくとも商品「袋物」等については、本件商標権者の商標が需要者の間に広く浸透している。
以上から、本件商標権者は、本件商標をウインドサーフィンの技の1つとして注目されていた「キラーループ」を商標として採択したに過ぎないものであり(乙第13号証及び同第14号証)、本件商標の指定商品について引用商標が登録されていないことを奇貨として出願したものではなく、不正の目的をもって使用するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定及び商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものではなく、本件商標の登録を維持すべき旨の決定を求めるものである。
5 当審の判断
申立人の提出に係る甲第12号証ないし甲第14号証、甲第19証ないし同第24号証及び甲第32号証を総合すると、引用商標、特に別掲(2)に示すとおりの構成よりなる商標は、本件商標の登録出願時には申立人の被承継人の業務に係る「サングラス」の商標として、既に欧米における需要者の間に広く認識されており、また、引用商標を使用した申立人のサングラスは、本件商標の登録出願の前に我が国にも輸入され販売されていたものと認められる。
また、甲第48号証、甲第48号証及び甲第55号証によれば、引用商標は、サングラス以外にスノーボード用品、ティーシャツにも使用されるようになり、本件商標が登録され時点においても、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
ところが、本件商標は、前記のとおりであって、引用商標と「KILLERLOOP」の綴り字を同じくするものであり、しかも、申立人の使用に係る別掲(2)に示す商標とは、ロゴタイプの字形まで全く同一といえるものである。
また、「KILLERLOOP」が、ウインドサーフィンの技の1つをいう語であるとしても、一般に知られ親しまれている語ではなく、「殺人者」の意を意味する「KILLER」の文字を有することから、商標として採用した場合に特異な印象を受けるものであって、ありふれた商標ではない。
そして、商標権者は、乙第14号証(上申書)中で「かばん類の第21類に先に登録された商標があるか否かについて調査したところ、商標登録中にも、出願の商標にも『キラーループ』はないとのことでしたので、特許事務所に依頼して平成3年10月14日に商標の出願をいたしました。」と記述しているが、当時、第21類に「キラーループ」の商標登録や登録出願がなかったとしても、甲第2号証によれば、申立人の被承継人であるイタリアのモダ・ソラリス・エッセ・ピ・アは、既に我が国において、「KILLER LOOP」の文字からなる登録第2417242号商標をサングラスなどの商品を含んでいる第23類「時計、眼鏡、これらの部品及び附属品」を指定商品として、登録出願しており、平成3年8月27日には出願公告がされていた事実が認められる。
そうしてみると、本件商標は、引用商標と偶然の一致で商標権者が採択し登録出願したものとは認めらず、引用商標が欧米における需要者の間に広く認識されていることを知って、引用商標に化体されている信用、名声を利用する意図をもって、我が国において商標登録又商標登録出願されていなかった第21類「装身具,ボタン類,袋物,宝玉およびその模造品,造花,化粧用具」を指定商品として本件商標を登録出願し、商標登録を受けた後、使用しているものと判断できる。
そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとする取消理由は妥当なものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、本件商標の商標登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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