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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年異議第90252号
審判種別異議
結論other

結論テキスト

登録第4059103号商標の登録を取消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4059103号商標(以下、「本件商標」という。)は、「住化染料テック」の文字よりなり、平成7年7月20日に登録出願、第2類「染料」を指定商品として、同9年9月19日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

登録異議の申立があった結果、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その登録の取消理由に引用した登録第3180217号商標(以下、「引用商標」という。)は、「TEC」の文字よりなり、平成5年8月31日に登録出願、第2類「塗料、染料、顔料、印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)」を指定商品として、平成8年7月31日に設定の登録がされたものである。

3 本件商標の取消理由

本件商標の登録を取り消すべきものとして、商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。

<取消理由通知>

本件商標は、「住化染料テック」の文宇よりなり、第2類「染料」を指定商品とするものである。

これに対して、本件商標の先登録に係る他人の登録第3180217号商標(以下、「引用商標」という。)は、「TEC」の文字よりなり、平成5年8月31日に登録出願、第2類「塗料、染料、顔料、印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)」を指定商品として、平成8年7月31日に設定の登録がされたものである。

そこで、両商標の類否についてみるに、本件商標は前記構成よりなるところ、これを構成する「住化染料」の漢宇と「テック」の仮名文字とは、視覚上、分離して看取し得るばかりでなく、意味上においても、両文字(語)を常に一体のものとして把握すべきような格別の事情は存しない。また、構成前半の「住化染料」の文字からは、本件商標の出願人(商標権者)である住友化学工業株式会社の会社名称の略記(「住化」)及びその取扱いに係る商品(「染料」)を表示したものと容易に理解されるのに対し、後半の「テック」からは何ら特定の意味合いを看取し得ない造語といえるものである。

そうすると、本件商標を構成する「住化染料」、「テック」の両文字間の関連性は極めて希薄なものであって、本件商標はこれら両語の結合よりなるものと容易に理解されるといえるものである。そして、これを全体として称呼した場合は、や々冗長に亘るといえるものである。

かかる場合、取引の簡易迅速を旨とするこの種商品の取引者間においては、適宜呼び易く親しみ易い文字部分を抽出し、他の部分を捨象して簡便に取引に資する場合が決して少なくないといえる取引事情に照らし、本件商標に接する取引者、需要者は、構成中の「テック」の文字部分に注意を惹かれ、該文字部分より生ずる「テック」の称呼をもつて取引に当たる場合も少なからずあるとみるのが相当である。

したがって、本件商標からは、単に「テック」の称呼も生ずるものといわざるを得ない。

他方、引用商標からは、「TEC」の文字に相応して「テック」の自然的称呼を生ずる。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「テック」の称呼を共通にし、かつ、本件商標の指定商品(「染料」)は引用商標の指定商品中に内包されるものであるから、結局、本件商標は引用商標と類似のものといわざるを得ない。さらに、両者の外観、観念の差を考慮したとしても、口頭、電話等による取引が普通に交わされる取引事情よりみて、称呼の点において両者が紛れ得る以上、前記認定を左右するまでには至らない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものとする。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由通知に対し、商標権者はその意見をつぎのように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第18号証を提出した。

(1)外観について

本件商標と引用商標とは、それぞれの構成文字を全く異にするばかりでなく、構成字数及び構成態様をも著しく異にするものであるから、両者は、対比観察においては元よりのこと、両者を時と処を異にして、それぞれを離隔的に観察したとしても、これらに接する看者をして、彼此の外観を決して見誤らせるおそれの全くない、別異の外観形象である。

(2)称呼、観念について

商標権者の提出に係る商標権者の会社案内(甲第5号証)及び住化染料テック株式会社の商品カタログ(甲第6号証)に示すとおり、本件商標(「住化染料テック」)は、商標権者の子会社である「住化染料テック株式会社」の会社名称中の法人格を表す「株式会社」の文字を除いた略称である。

法人の名称の略称を商標として採択し商標登録することは、しばしば見られる実状であって、かかる商号商標としての称呼は、構成文字全体をもって一連に称呼され、観念されるのが通常である。

かかる観点から、両商標の称呼についてみると、本件商標は、同じ書体の文字を、同じ大きさ、同じ間隔に、主従軽重の差なく、まとまりよく一連不可分の態様をもって横書きしてなるものであるばかりでなく、全体としての称呼も「スミカセンリョウテック」と淀みなく一連に称呼し得る8音節よりなるものであるから、これが殊更、商標構成中の末尾にある「テック」の文字のみを分離、分断して捉え、「テック」のみの称呼、観念を生ずるとする格別の事情は存せず、したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「スミカセンリョウテック」(住化染料テック)の称呼、観念をもって取引に資されるものである。

他方、引用商標は、その構成文字より、「テック」(TEC)の称呼、観念を生ずるものである。

しかして、本件商標より生ずる「スミカセンリョウテック」(住化染料テック)の称呼、観念と引用商標より生ずる「テック」(TEC)の称呼、観念とは、比較検討するまでもなく、両者が称呼、観念上互いに相紛れるおそれは全くない。

商標権者の主張の正当性は審決例(甲第7号証乃至甲第18号証)により立証される。

(3)してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、結局、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものとはいえない。

5 当審の判断

本件商標は、商標の構成を「住化染料テック」とし、指定商品を第2類「染料」とするものである。

しかして、該構成は、▲1▼全体として特定の意味合いを表現し得る熟語的文字とはいい難いこと、▲2▼「住化染料」の漢宇部分と「テック」の仮名文字部分とは、視覚上又は意味上において一体のものとして把握すべき事情のないこと、▲3▼「住化染料」の文字部分はその事業主体及び取扱い商品を表示したものと容易に理解されるのに対し、後半の「テック」からは直ちに特定の意味合いを想起し得ないこと、▲4▼本件商標を全体として称呼した場合は極めて冗長に亘ること、▲5▼取引者間においては適宜呼び易く親しみ易い文字部分をもつて簡便に取引に資する場合が少なくないこと、の各理由により、本件商標より単に「テック」の称呼が生ずるとし、この点において引用商標と紛れるとした先の取消理由は妥当なものといわなければならない。

加えて、本件商標からは、「住化(住友化学)の染料:テック」という意味合い、すなわち、該「テック」の文字が住化(住友化学)の取扱いに係る商品の商品分野別に使用される個別的商標とする見方も必ずしも不自然とはいえないから、この点も併せ考慮するに、「テック」の文字部分が染料の商標として単独に機能し得る場合を否定し得ない。

商標権者は、意見書において、本件商標は商標権者の子会社である「住化染料テック株式会社」の会社名称の略称であり、構成文字全体をもって一連に称呼され、観念されるのが通常であるから、「スミカセンリョウテック」(住化染料テック)の一連の称呼、観念のみをもって取引に資される旨述べているが、提出証拠(甲第5号証、甲第6号証)による限り、該子会社は平成7年3月に興されたものであって、設立後未だ日も浅く、染料の取引業界ないしは需要者間において該略称が知悉せられたものかどうかの点は不明といわざるを得ないから、その主張をもって直ちに本件商標が常に一連一体に看取される事由とすることはできない。

その他、商標権者の主張を認めるに足りる証左は見出せない。

また、商標権者は、審決例(甲第7号証乃至甲第18号証)を挙げてその主張の正当性を述べているが、審決例に係る商標は、商標の具体的構成、指定商品の範囲及び当該略称(会社名称の略称)の知名度その他の点において本件商標とは事案を異にし、取引事情も自ずと異なるものであるから、それら審決例をもって、取消理由の適否を判断する基準とするのは適切でなく、したがって、この点について述べる商標権者の主張は採用の限りでない。

以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといわざるを得ないから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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