結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成8年審判第21852号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2515776号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)抗菌剤、その他の薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成2年10月16日登録出願、同5年3月31日に設定登録されたものである。
結論同旨の審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第5号証を提出している。
本件商標は、その指定商品中「単一異性体又は活性代謝生成物製剤及びその類似商品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていないため、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、上記商品についての登録は取り消されるべきである。
そして、請求人は、「ICE」の欧文字よりなる商標を登録出願(商願平6−97641号)しているが、該出願に対し、本件商標を引用とする拒絶理由通知書を受けている(甲第4号証)ものであるから、請求人は本件審判請求につき利害関係を有するものである。
本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第9号証(枝番を含む。)を提出している。
被請求人は、平成2年頃より商品「無機抗菌剤」の製造を開始し、その商品の包装容器及び製品カタログ・チラシ等に本件商標を使用しており、現在も引き続き使用している。
すなわち、乙第2号証及び乙第3号証は、商品「無機抗菌剤」に本件商標が使用されている事実を示すカタログであり、これには、本件商標と社会通念上同一の商標が明瞭に表示されているので、商品「無機抗菌剤」に本件商標を使用していることが明らかである。
また、商品「無機抗菌剤」は、「銀」を抗菌活性成分とする「抗菌剤」で、代表的細菌である大腸菌を死滅させ増殖を阻止する等の効果を有するため、「薬剤」の範疇に入るべきものであり、被請求人の製品として「微粉末品」、「水系コロイド」及び「マスターバッチ」の3種類がある。
本件商標は、このうちの「微粉末品」が各種樹脂系材料に対する広範囲な細菌・カビ類に抗菌効果を付与する「無機抗菌剤」に使用している。
さらに、乙第4号証は、被請求人の発行する技術情報誌(V01.9−No.2)の第28頁中段に「無機抗菌剤AISを上市して約2年が経過したが」とあり、この発行が平成4年12月となっていることから、「無機抗菌剤」の発売は平成2年頃であることが知れる。
乙第5号証及び乙第6号証は、本件商標を使用した商品「無機抗菌剤」の売上伝票の写しであり、乙第9号証の証明書共に本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標は事実上使用されていることが明らかである。
しかも、乙第7号証及び乙8号証は、乙第3号証が本件審判請求の登録前の平成8年9月に印刷され、同年10月頃に配付されたことが明らかであるので、これによっても本件商標がその指定商品中の「無機抗菌剤」に使用されていることが立証できるのである。
以上のように、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に商品「薬剤」に属する「無機抗菌剤」に使用されているのであるから、商標法第50条第1項の規定に該当しないものである。
本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として丙第1号証乃至丙第4号証(枝番を含む。)を提出している。
被請求人側参加人(以下「参加人」という。)は、本件商標権につき、地域を日本全国、期間を平成15年3月31日まで、指定商品に属する「呼吸器官用薬剤及び消化器官用薬剤」の使用を範囲とする専用使用権者である(丙第1号証の2)。
参加人は、平成4年2月頃から大阪市東住吉区南田辺1丁目10番28号所在の高市製薬株式会社(以下「高市製薬」という。)との間で共同して「トローチ剤」の開発を進め、製品の販売名に「アイス」を使用することになり、平成8年1月8日に本件商標の商標権者と専用使用権の契約の同意をした(丙第2号証の1)。
参加人は、平成8年1月22日に高市製薬が本件商標と社会通念上同一とみられる「アイス」の文字を含む販売名「アイストローチO」及び「アイストローチL」を販売名とする「トローチ剤」を医薬品製造承認申請し、平成8年9月26日付けで医薬品製造の承認を取得するに至った(丙第3号証)。
そして、本製造承認申請と同じ頃、平成8年1月23日に参加人と被請求人の間で本件商標の専用使用権の契約が成立したので、専用使用権の登録申請をし、平成8年6月24日に前記した範囲での専用使用権設定の登録がなされた。
そこで、上記「トローチ剤」の商品化については、製造を高市製薬が担当し、販売を参加人が担当して上市することについての合意があり、商標の表示方法、商品のパッケージデザインの検討が幾度かされて発売されることになった(丙第2号証の2)。
しかしながら、医薬品については製造承認の取得後から発売迄に上市のための準備が必要であり、中でもこの「トローチ剤」は、新規基剤を用いた本邦始めての医薬品として承認されたもので、使用時のアルミ包装の開封までの品質の保証に止まらず、開封後の品質に関する情報を提供するため、念入りな安定試験の実施等を必要とし、これらが発売に間に合わなかった本件商標の使用についての最大の遅延理由である。
したがって、本件商標の専用使用権者である参加人は、本件商標の使用について、使用の意志を外部にも表明、かつ、企業内部において本件商標の使用を準備中であることを明らかにしており、本件商標の使用開始が本件審判請求の登録日以後になるとしても、その間の製造認可及び使用許諾の登録等をもって商標使用の準備を進めている内容を明らかにしているのであるから、本件商標はその不使用について正当な理由があるものである。
本件商標の使用遅延が多少あるとしても、参加人は、医薬品製造の承認を本件審判請求の予告登録前に取得し、本件商標について商品「呼吸器官用薬剤及び消化器官用薬剤」の専用使用権を取得して真撃な準備段階にあることは明らかであり、不使用について正当な理由が存在することは前記のとおりであり、特別の理由があるというべきである。
以上のように、本件商標は、その指定商品中、取り消しに係る商品について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていないとしても、前記した理由により、不使用についての正当な理由があるものである。
被請求人の提出に係る乙各号証をみると、被請求人が本件商標を使用しているとする商品「無機抗菌剤」は、乙第2号証「アイスの説明と概略」の項によれば、「無機微粒子に抗菌性作用を発現する金属を担持したもので、広範囲な細菌とカビに作用し、樹脂、繊維、紙、各種粉体、塗料、インク、接着剤、コーキング剤などへ少量添加することにより、優れた抗菌性を示す」旨の記載が認められる。
また、上記「無機抗菌剤」は、同号証「抗菌剤アイスの応用分野」の項によれば、「フィルム(抗菌・防カビフィルム)、成型品(台所用品、バストイレ用品、食品容器等)、合成繊維(抗菌・防臭繊維)、その他(塗料、建材、合成皮革、水処理装置等)」の旨の記載が認められる。
さらに、乙第3号証「お願い」の項によれば、「弊社(無機)抗菌剤は、いわゆる「殺菌剤」や、「消毒剤」とは全く異なり、直接人体に接触や塗布して使用するものではない。さらにまた、食物に添加したり、動植物に直接適用するものではない。」旨の記載も認められるところである。
以上よりすれば、本件商標を使用した上記商品「無機抗菌剤」は、例えば、植物・土壌用の抗菌・殺菌・防カビ、動物の飼料に添加する等に用いる農業用又は公衆衛生用薬剤等「薬剤」に属するものとは異なるものであって、工業用の抗菌目的に用いる無機工業薬品と認められるものである。
つぎに、参加人の提出に係る丙各号証をみるに、丙第3号証「薬務公報」(厚生省薬務局監修、平成8年12月11目薬務公報社発行)によれば、「アイストローチO」及び「アイストローチL」を販売名(商標)とするその他の歯科口腔用薬について、平成8年9月に高市製薬に対し医薬品製造承認されていることが認められるものであって、この時点から当該薬剤を製造販売し得る状況にあったといえるものであり、かつ、該承認が取り消された事を証する書面等何ら立証されていないものであるから、参加人の主張する本件商標の不使用の理由は、正当な理由とは認められない。
さらにまた、丙2号証の2に示された商標「アイストローチO」の22件は、全て本件商標とその構成態様を異にするものである。
してみれば、被請求人及び参加人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る前記指定商品について使用していたということはできず、かつ、使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「単一異性体又は活性代謝生成物製剤及びその類似商品」についての登録は取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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