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Trademark Appeal Case

不使用取消と指定商品

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18731号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第 552695号商標の指定商品中「魚介類,蒲鉾,佃煮」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第552695号商標(以下「本件商標」という。)は、「民芸」の文字を縦書きしてなり、昭和33年11月2日に登録出願、第45類「魚介類、卵、胡しょう、山葵粉、味噌、鰹節、昆布、海苔、漬物、蒲鉾、佃煮、寿司」を指定商品として、同35年7月6日に設定登録され、その後、同55年10月24日及び平成2年12月21日の2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続するものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出している。

(1)請求人は、当業者として本件商標の使用を強く希望する者であって、本件審判請求と同時に類似とされるおそれのある「民芸」なる漢字を横書きした商標を出願しており、本件商標がその指定商品の一部として該当する商品を含んでいるため、拒絶査定を受けるおそれがあり、請求人が利害関係を有することは明白である。

(2)本件商標は、その指定商品中「魚介類、蒲鉾、佃煮」については、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件審判請求時に至るまで少なくとも継続して3年以上日本国内において、商標法第2条第3項に規定される「使用」のされた事実が全く存在しない。

したがって、本件商標は、「魚介類、蒲鉾、佃煮」については商標本来の機能を全く果たしておらず、その保護に値しないばかりか、このように全く使用されない商標が登録商標として存続することは、本件商標の使用を希望する当業者の存在を勘案して、商標制度の趣旨に全く反しているものである。

よって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により当然取り消されるべきものである。

(3) 答弁に対する弁駁

▲1▼ 被請求人は、「味の民芸」なる屋号の下に、「うどん」を供するレストランチェーンを展開している会社である。甲第1号証で明らかなように、「味の民芸」なる商標は、登録第2599749号として被請求人が商標権者として権利を有している。甲1号証において、指定商品として「加工穀物」が挙げられているが、「うどん」はこの「加工穀物」の一具体例であるといえる。

▲2▼ 被請求人が、乙第1〜第5号証の3を以って、立証せんとするのは、「民芸」とは全く非類似の「味の民芸」なる商標を、「加工穀物(うどん)」に使用しているという事実である。即ち、本件商標の指定商品とは全く「非類似の商品」に、「非類似の商標」を使用している事実を証明せんとしているにすぎない。

つまり、乙第1〜第4号証のいずれの各号証においても、「手づくりうどん/味の民芸」と常に一体不可分に表示されており(但し、一箇所だけ例外は、乙第2号証中、「民芸すきうどん」なる表示が存在するが、これはレストラン内で供されるすきうどんのメニューであり、商標の使用に該当しない。)、本件商標とは非類似の「味の民芸」が使用されたことを立証できたとしても、本件商標の使用を立証することは、不可能である。しかも、答弁書中、たびたび、「うどんすき」なる単語が記載されているが、乙第1〜第4号証のいずれにも該当する商品は記載されてはいない。即ち、乙各号証に記載の商品は全て、「手づくりうどん、すきうどん」のみであり、旧々法の第47類の「うどん、うどんのめん」についての使用を立証しているといえる。また、きつねうどん、たまご(月見)うどん、コンブうどん、山菜うどん、すきこみうどん等の各種の「うどん」の内で、一部に、その素材として魚介類等が組み込まれることがあったとしても、主体はあくまでも「うどん」であり、本件商標の指定商品とは非類似商品に該当する。

なお、乙第3号証の1及び2については、特別に、撮影年月日の記載が省略されている。本件審判請求後の撮影と推定される。しかも、素材として、どのようなものが、本件審判請求前に用いられていたかは、全然証明されておらず、あくまでも「うどん」の一種をつくるための材料パッケージにすぎない。

乙第4号証はその印刷先、印刷年月日も不明であり、その中味は「うどん」以外に何が包装されたか、全然判明しない。

(けだし、乙第3号証の1及び2が何年何月何日に撮影されたか不明であり、本件審判前にこのような、パッケージの中味が販売されていたか否か不明なため。)

また、乙第5号証の1〜3は何を立証せんとしているのか、不明である。

特に、答弁書において「商標『民芸』の下に素材を販売・搬入している。」と述べているが、商標「民芸」はどこにも使用されてはいない。単に(株)民芸総菜という法人名が記載されているにすぎない。

▲3▼ 乙6号証は、使用時期が全く立証されていない点、商標は同一字体・同一間隔にて「民芸さつま揚げ」と表示されていて「民芸」とは非類似の商標となっている点、使用商品は「油揚げ」(あぶらあげ)の一種であり旧々法第47類に属する全く非類似商品での使用である点、で全く失当である。

▲4▼ 前述の(甲第1号証の)「味の民芸」なる商標登録出願が一旦拒絶され、これに対する拒絶査定不服審判(昭和59年審判第873号)において、被請求人は「味の民芸」は「民芸」と全く非類似である旨を強く主張し、その主張が認められて登録になった事実がある。要するに、被請求人が、「味の民芸」の使用は「民芸」の使用に相当する旨の答弁をすることは、出願書類(包袋)禁反言の原則(file wrapper estoppel)上から、認められない。

▲5▼ 以上のべたように、乙第1〜第6号証は、本件商標とは非類似の商標を、本件商標の指定商品(旧々法第45類)とは全く相違する非類似商品(旧々法第47類)に使用していることを立証せんとするものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1〜第6号証(枝番を含む。)を提出している。

(1) 被請求人は「味の民芸」の商標/屋号の下に、うどん料理を中心に供するレストランチェーンを、フランチャイズシステムを基盤として展開している。現在このレストランチェーンは、被請求人の直営店・フランチャイズ店合わせて、全国で119店舗に上っている。

ところで、この「味の民芸」の各店舗では、商標「民芸」を表示した商品/料理「うどんすき(すきうどん)」を供しているが、これは被請求人が特に力を入れる対象であり、被請求人の各店舗はこの「“民芸”うどんすきの材料セット」を特別にデザインされたパッケージを用いて持ち帰り用の商品として用意している。即ち、当該持ち帰り用の商品は、「民芸すきうどん」及び「民芸」を要部とする商標を表示したパッケージに、「うどんすき(すきうどんの材料)」即ち持ち帰って自宅で「うどんすき」料理を作る為の素材(材料)を詰め合わせている。その素材の中に「エビ、はまぐり等(魚介類)、及び蒲鉾、さつま揚げ(蒲鉾の類い)等」が含まれ、これらの商品は未調理未加工の状態で詰め合わされて販売されており、事実上「未調理未加工の魚介類、未調理未加工の蒲鉾・さつま揚げ」等が販売された状態である。

要するに、当該「“民芸”うどんすきの材料セット」は、それぞれの素材(材料)を個別に包んだ商品と性格上変わるところがないのである。

よって、商標「民芸」の下に、パッケージに入れられて販売された当該商品において「エビ、はまぐり等(魚介類)」及び「蒲鉾・さつま揚げ(蒲鉾の類い)」は、独立の商品として販売されたものであると言える。

(2) 被請求人の経営する「味の民芸」の各店舗に、料理用の素材を販売するのは、被請求人と同系列の企業である株式会社民芸総菜である。而して、同社は被請求人の同意を得て、その通常使用権者として、商標「民芸」の下に素材を販売・搬入している。その中には、「冷凍のエビ」「冷凍の貝(あさり、はまぐり、その他)」「各種蒲鉾、さつま揚げ」等が含まれていた。乙第5号証の1〜3より明らかなように、商品の販売・搬入は被請求人の各店舗に対してほぼ毎日のように行われている。

(3) 更に、被請求人は、取引関係にある株式会社上久(富山市荻原248−1)の求めに応じて、その製造する商品「さつま揚げ」に商標「民芸」を使用することを許諾している。当該通常使用権者の商品は、株式会社民芸総菜を通じて出願人の各店舗にも販売・搬入されている。ちなみに「さつま揚げ」は蒲鉾と同じく魚のすり身(しんじょ)を原材料として製造され、販売場所も共通にするものであり、「蒲鉾」という上位概念の範噴に包含される商品である。

(4) 叙上の通り、本件商標は被請求人自身、そのフランチャイジャー、その他の通常使用権者によって、平成8〜9年の間、そして現在も引き続き「魚介類、蒲鉾の類い」に使用されてきている。

したがって、本件商標は、本件審判請求予告登録日の前3年内に、適正に使用されていたことが明らかであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当せず、その登録を取り消されるべき事由はない。

4 当審の判断

被請求人は、被請求人自身、そのフランチャイジャー、その他の通常使用権者が平成8〜9年の間及び現在も引き続き「魚介類、蒲鉾の類」について本件商標を使用しているとして証拠を提出しているので検討する。

被請求人の提出に係る各乙号証によれば、被請求人は、「味の民芸」の屋号の下にうどん料理を中心に提供するレストランチェーンを展開していること(乙第1号証)、被請求人の各店舗では、「民芸すきうどん」と称する料理を提供する(乙第2号証)ほか、該料理を作るための材料を詰め合わせたものを持ち帰り用商品として用意し、その包装箱及び手提げ袋には別紙に表示したとおりの態様からなる標章が付されていること(乙第3号証の1、2及び乙第4号証)、株式会社民芸惣菜が96年7月〜9月の間に「所沢小手指」、「市原」、「狭山店」宛に料理の素材を販売し、その中には「あさり、海老、さつま揚げ」等が含まれていること(乙第5号証の1ないし3)、乙6号証の写真には「民芸さつま揚げ」と記載された段ボール包装箱と内容物たるさつま揚げが撮影されていることが認められる。その他、これを覆すに足りる証拠はない。

しかしながら、乙第2号証のメニューに示された「民芸うどんすき」は、被請求人の提供に係る料理そのものを示したものであり、たとえその材料として海老、蒲鉾、さつま揚げ等が用いられているとしても、これをもって商標法上の商品ということはできない。

また、上記持ち帰り用商品を示した写真(乙第3号証の1、2)はいつ撮影されたものか明らかでないし、さつま揚げを写した写真(乙第6号証)が撮影されたとする平成10年1月27日は本件審判の請求後であるばかりでなく、他にこれらの商品が本件審判の請求の登録前3年以内に実際に取り引きされたことを示すものはない。しかも、上記包装箱及び手提げ袋に付された標章は、別紙に表示したとおり、本件商標とはその態様を異にするものであって、本件商標と社会通念上同一のものということはできない。

更に、株式会社民芸惣菜によって上記「所沢小手指」等に対し「あさり、海老、さつま揚げ」等が販売されたことが認められるとしても、如何なる商標が使用されていたのか明らかでない。

以上によれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。

なお、被請求人は商品の販売の事実を示す証拠資料を後日補充する旨述べているので、審判長は該資料の提出について審尋したが、被請求人からは何らの応答もない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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