結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30956号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録2616292号商標(以下「本件商標」という)は、「オービス」の文字を書してなり、旧第26類「印刷物(文房具に属するものを除く。)、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として平成3年8月1日に登録出願され、平成6年1月31日に登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨以下のように述べた。
(1)本件商標は、その指定商品中「印刷物」については、継続して3年以上日本国内において使用した事実が認められず、また、商標登録原簿からも明らかなように、指定商品中「印刷物」についての使用権者は存在しないので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)被請求人は答弁書において、通常使用権者が本件商標を本件審判請求の予告登録日前より商品「書籍」に使用している旨述べている。
しかしながら、以下に述べる理由により、提出された証拠からは本件商標が継続して3年以上日本国内において使用されているとは到底認められない。
(ア)乙第1号証として提出された「登録商標の使用説明書」に添付された書籍の表紙には、「ORBIS P.I.SEMINAR」と表示されている。また、裏表紙には、「図形」と欧文字で小さく「PRIME SYSTEM」と表示され、さらに下方に、「ORBIS」の欧文字が表示されている。
このうち、書籍の表紙に表示された「ORBIS P.I.SEMINAR」の文字は、明らかに書籍の題号を表示するためのものであって、商標法に定める商標としての使用に該当しない。
つぎに、裏表紙の「ORBIS」の文字は、商号の略称を表したものと思料され、単に書籍の提供者を表示するにすぎず、該表示も商品「書籍」との関係において商標としての使用に該当しないものである。
(イ)乙第2号証として提出された資料には、「98/12/04 18:05:36 得意先名 株式会社 オービスジャパン」の文字があるものの、「青葉印刷株式会社の得意先別売上りスト」であるか否かの左証がない。
(ウ)乙第3号証として添付された「オービス教材 購入証明書」における「オービス」の片仮名文字は、証明書の内容の文言から、商標としての使用ではなく、単に「株式会社オービスジャパン」の商号の略称を表すもので、本件商標の使用には該当しないものである。
また、該証明書は、いずれも一私人による証明にすぎず、実際に書籍の販売がなされたか否かを証明するものではない。
(エ)被請求人は、乙第1号証の書籍の裏表紙に表示された「ORBIS」の欧文字について本件商標の使用に該当すると主張しているものと思料する。
しかしながら、乙第1号証には、定価の表示はあるものの、常識的には当該資料は「パンフレット」の域を出ないものであって、書籍であるとするには問題があると思料され、商品とはいえないものである。
(オ)本件商標は、片仮名文字の「オービス」から構成されており、使用に係る商標とは態様が異なり、同一性を有しないものである。
片仮名とローマ字の文字の表示を変更するものであっても、「同一の称呼及び観念を生ずる場合」には同一性が認められることは、請求人もこれを敢えて否定するものではないが、使用に係る商標からは、「オルビス」の称呼が生ずるものである。
また、「観念」についてみるに、本件商標及び使用に係る商標のいずれについても造語であるところから、特定の観念は発生せず、両者が無観念であるため、観念においても何ら同一性を保つ手掛かりがない。
してみれば、本件商標と使用に係る商標の同一性に関する被請求人の主張は、いずれも理由がないと言わざるを得ない。
(3)以上、答弁書に提出された登録商標の使用説明書からは、いずれも商標としての使用に該当する表示はなく、また被請求人が登録商標の使用としている欧文字の「ORBIS」は、本件商標とは社会通念上同一性が認められないものである。
してみれば、本件商標の使用は何ら立証されておらず、商標法第50条第1項の規定により登録が取り消されるべきものである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べるとともに、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
被請求人は、本件商標を東京都港区南青山7−14−3の株式会社オービス・ジャパンを通常使用権者として使用許諾しているものであり、株式会社オービス・ジャパンは本件商標を本件審判請求の予告登録日前は勿論、審判請求3月前以前より、日本国内において商品「書籍」に使用している。
即ち、株式会社オービス・ジャパンは「P.I.セミナー」というセミナーの開催、これに関連した教材(書籍)の販売を行っているが、本件商標をこの教材として使用する書籍に付し、売価3,000円で販売している。
被請求人は以上の事実を証するために、乙第1号証として登録商標の使用説明書を提出する。
この書籍は平成8年10月11日、同9年2月7日、同9年6月20日、同10年6月30日に各1,000部づつ使用説明書記載の青葉印刷株式会社で印刷され、株式会社オービス・ジャパンに納入されている。
念のため、上記事項を証明するために青葉印刷株式会社の得意先別売上りストを乙第2号証として提出する。
以上の証明により、本件商標の使用の事実は立証され得ると思料するが、念のためこの書籍の購入証明書を乙第3号証ないし同第6号証として提出する。
ところで、本件商標は片仮名で「オービス」と書されているのに対し、使用に係る商標はローマ文字にて「ORBIS」と書されている。
しかしながら、両者は「片仮名及びローマ字の文字を相互に変更するものであって同一の称呼、観念(無観念)を生じる商標」であり、その使用は社会通念上同一と認められる。
しかも、この書籍の販売者は「オービス」の文字を商号中に含む株式会社オービス・ジャパンであり、更に書籍中のいたるところに「オービス」の文字が記されており、これに接した需要者、取引者は極めて自然に「ORBIS」の文字を「オービス」の文字と対応付けることは社会通念上充分首肯し得るところである。
以上の証拠により、本件商標が本件審判請求の予告登録日前は勿論、審判請求3月前以前より、日本国内において商品「書籍」に使用された事実は明白である。
被請求人が提出した答弁書の全趣旨によれば、同人は、乙第1号証(登録商標の使用説明書)の「商標の使用の事実を示す書類」として添付された「書籍」の裏表紙中央部分に表示された「ORBIS」と表示された部分(以下、この文字部分を「使用商標」という)について、これが本件商標の使用に該当する旨主張しているものと判断されるので、当該表示部分が本件商標の使用に該当するか否か検討する。
商標法第50条第1項には、登録商標の使用に関して、「登録商標(......平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、......その他当該登録商標と同一と認められる商標を含む。......)の使用」との規定がなされている。
しかして、片仮名文字よりなる本件商標をローマ字に変更して表示する場合、この文字よりなる語が特定の意味を有する成語とは認められないことから、その綴りが特定されるということができず、それが「ORBIS」と表示されることがあるとしても、この他にも、「OHBISU」、「OBISU」など、いくつかの表示方法があり得るというべきであり、また、使用商標である「ORBIS」の文字が、「オービス」とのみ称呼されるということもできないものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じさせない造語と判断されるから、本件商標と使用商標とは、その観念においても同一ということはできないものである。
そうとすれば、片仮名より構成される本件商標を、ローマ字の文字に変更する態様において、それが互いに同一の称呼及び観念を生ずるということはできず、この他に、使用商標が本件商標と社会通念上同一のものと認める証左もないものである。
したがって、使用商標の態様をもってしては、商標法第50条に規定する登録商標の使用がされていると認めることはできない。
また、乙第2号証の「JUU.得意先別売上リスト」の「品名」欄に示された「P.I.セミナーテキスト」、および、乙第3号証ないし同第6号証の「オービス教材 購入証明書」に示された「オービス教材」に対応する書証が、乙第1号証のものとすれば、同号証をもって本件商標が使用されたということができないこと前記認定のとおりであり、また、乙第3号証ないし同第6号証に「オービス」の文字が表示されていても、これをもっては、本件商標の使用を立証する証拠ということはできない。
その他、本件商標が使用されたと認め得る証左はない。
してみれば、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判請求に係る商品「印刷物」について使用されていたと認めることはできないものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「印刷物」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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