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Trademark Appeal Case

商品形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第2445号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別掲のとおりとし、第10類「手動マッサージ器具」を指定商品として、平成9年4月9日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願は、『手動マッサージ器具』を指定商品とするものであるところ、本願商標は、その下部の凹凸(多数のいぼのようなもの)が例えば身体のつぼを刺激するなどしてマッサージ効果を高めるためであろうと容易に想起し得るものであり、しかも、これらを除いた部分を考えてみた場合には、極めて簡単かつありふれた形状といえる円形を基調とした立体的形状であることをも勘案するならば、全体としても、その指定商品自体の形状であろう程度の認識を超えるものとはいえないことから、これをその指定商品に使用したときは、その商品の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。

立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前示したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地裁 昭和52年12月23日言渡 昭和50(ワ)3035号)との判示がなされており、これと同旨の判示をした判決はこの他にも多数存するところである。

したがって、前記(1)の解釈は、本件独自の見解でないことは明らかである。

(3)これを本願についてみれば、本願商標は、指定商品との関係からして、手動マッサージ器具の形状の一形態を表したものとみられるものであるから、これをその指定商品「手動マッサージ器具」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

請求人は、「通常のマッサージ器は、全然湾曲に伸びている部分がないか、あっても支点が二カ所あるものであり、片方だけの支点があることによって、多方向から指が入り握りやすくなっているのが特徴である。また、片方の支点がないことによって、使用しないときに壁などに掛けておき、水分を充分切ることができる。それ故、本願商標の付されたマッサージ器は、通常のものとは顕著な特徴を持ったものである。」「全体の形状、とりわけ一支点から伸びている部分の美しい線は、独特のものであって、通常のマッサージ器の形状の域を超えているものである。」「このような判断が正しいことは、請求人の本国であるフランスを始め他の主要国において登録が認められている事実を見ても充分首肯できるところである(甲第1号証ないし同第8号証)」旨主張する。

しかしながら、本願商標は、前記認定したとおり手動マッサージ器具の形状を表したものであるところ、前述の請求人の主張する点において、通常のマッサージ器の形状とは異なる特徴を有するとしても、それは通常のマッサージ器に比べその機能(使い易さ)又は美感(見た目の美しさ)をより効果的に発揮させるためのものというべきであるから、通常の商品とは異なる形状を有するものであっても、それが商品の機能や美感に関わるものである以上は、これに接する取引者、需要者は、当該商品の形状の範囲のものと認識するに止まるというのが相当である。

そうとすれば、本願商標に係る立体的形状の有する特徴点は、いずれも商品の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであるから、結局、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、その形状に特徴を持たせたことによって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは前記(1)で述べたとおりである。

また、請求人は、甲第1号証ないし同第8号証を提出し、フランスを始め他の主要国において登録が認められている旨主張するが、その登録されている商標は、いずれも本願商標と同一のものではなく、しかもその中には「ELANCYL」の文字との結合された商標も含まれているものであるから、この甲各号証をもって本願商標に係る立体的形状が自他商品の識別力を有するとは到底認められないものである。

(4)請求人は、本願商標は、仮に顕著性に疑問があるとしても、我が国において長年、盛大に宣伝・広告し、かつ使用しているものであるから、充分に使用による顕著性を確保しており、その登録を認めてしかるべきであると主張し、甲第9号証ないし同第64号証を提出している。

しかして、提出に係る甲第9号証ないし同第14号証は、請求人がセンテイ・カンパニー・リミテッド宛送付したインボイス(写)といえるところ、これには本願商標は付されておらず、また、記載された事項をみても本願商標が付されたマッサージ器についてのものと直ちに認めることはできないものである。

次に、甲第15号証及び同第16号証(カタログ)並びに甲第17号証ないし同第64号証(雑誌等による広告)をみるに、本願商標に相当するマッサージ器の立体的形状が表されていることは認め得るが、このカタログ及び雑誌等による広告に表された立体的形状は、商品「マッサージ器」の形状そのものを表し、広告宣伝したものであって、その立体的形状のみをもって商品の出所を識別し取引に資されているとみることはできないものである。また、請求人の主張を証する公的機関や同業組合等による客観的な立証資料の提出もないから、これら甲各号証によって本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するものということはできない。

してみれば、請求人の主張は採用できない。

(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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