Trademark Appeal Case
地名と「味」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第6937号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「するがのあじ」及び「駿河の味」の文字を上下二段に左横書きしてなり、平成4年6月29日登録出願されたものであるが、指定商品については願書記載の指定商品を、同12年7月24日付提出の手続補正書により、第30類「茶」に減縮補正されているものである。
2 当審の拒絶理由通知
当審では、平成12年6月5日付けで次のとおりの拒絶理由を通知した。
本願商標は、「駿河の味」の文字を左横書きしてなり、その上段に該文字の読みを表した「するがのあじ」の文字を左横書きしてなるところ、その構成中前半部の「駿河(するが)」の文字は、静岡県の中央部の旧国名を表したものと認められるものであり、後半部の「の味(のあじ)」の文字は、たとえば、(財)ポスタルサービスセンター 平成11年4月1日発行「平成11年度全国版 ふるさと小包」(商品カタログ)(別添1参照)によれば、277頁に「静岡直売の静岡茶」の見出しの下に、「自園からの本物の『静岡の味』と香りを直送いたします。」の記載、同441頁に「豆芳のしょうゆ豆」の見出しの下に「特上のそら豆を・・・漬け込んだ素朴な『讃岐の味』です。」等の記載がみられ、インターネットのホームページでは、お茶について、静岡県川根町のホームページに、「川根の味(特産品)」として「川根茶」等が紹介されており(別添2参照)、福岡県八女の森製茶(株)のホームページに、「八女茶」の広告の中に、「八女の味」(別添3参照)の記載がみられるように、種々の食品について、地名や旧国名の語尾に付されて普通に使用されていると認められるものである。
そして、「駿河の味」の文字は、インターネットのホームページを検索したところ、商品「弁当」等(別添4、5参照)、役務「料理の提供」(別添6)等に使用されていることが認められる。
以上の事実を総合すれば、食品を取り扱う業界においては、旧国名や地名と「の味」の文字を結合して、「○○地方特産の食品」あるいは「○○地方特有の味の食品」等であることを強調する意味合いで「○○の味」と普通に使用されていると認められる。
ところで、東洋経済新報社 昭和52年10月17日発行 「日本の名産事典」447頁には、静岡県の農産物として「駿河茶」の記載が、同452頁ないし453頁には、同県の菓子のうち、静岡市、清水市で生産される菓子として、「安倍川もち」、「茶っ切り飴」、「追分羊羹」がある。また、インターネットのホームページを検索するに、静岡市のホームページに、「静岡の味覚」として、「茶」、「安倍川もち」等が紹介されている(別添7参照)。これらによれば、駿河に相当する地域である静岡市、清水市等の名産品として「茶」や上記「菓子」があり、これらは、駿河の名産品あるいは特産品ともいい得るものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品中、たとえば駿河(静岡県中央部)の名産である「お茶」「菓子」等に使用したときに、これに接した取引者、需要者が、前記駿河の名産・特産の商品であることを強調したにすぎないと認識するに止まるといわざるを得ないから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 請求人の意見
請求人は、指定商品を「茶」に減縮補正した上で、上記当審の拒絶理由の通知に対し、資料4を提出し、要旨次のような意見を述べた。
指定商品「茶」について、「駿河の味」の表示が不特定多数の者により使用されている事実が示されておらず、一般的な表示とはいえないから、本願商標は、指定商品「茶」について、自他商品の識別力を十分に有するものである。
4 当審の判断
そこで、判断するに、本願商標は、「するがのあじ」及び「駿河の味」の文字を表してなるものであるが、その構成中前半部の「するが」「駿河」の文字部分は、静岡県の中央部の旧国名を表したものと認められるものであり、後半部の「のあじ」「の味」の文字部分は、食品等を取り扱う業界において、旧国名や地名の後に、「○○の味」のように付して、その地方の特有の味付けの食品、料理あるいはその地方特産の味のよい食品であることを強調する語として普通に使用されているものである。
ところで、静岡県が茶の代表的な産地であることはよく知られており、今日でも静岡県(中央部)の旧国名「駿河」を「茶」等の産物に付し、普通に使用されているところである(「日本の名産事典」「駿河茶」の項参照)。
また、「茶」は、味と香りでその価値が決まるといわれている。
そして、本願商標は、上記のとおり、旧国名「駿河」と味がよい商品であることを表す語として普通に使用されている「の味」の文字とを、「するがのあじ」及び「駿河の味」と上下二段に一連に書してなるものにすぎないから、これをその指定商品「茶」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が単に「駿河(静岡)産の美味な茶」であることを表したものと理解するに止まるものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、商品の品質・産地を表し、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認められるものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することはできない。
なお、請求人は、指定商品「茶」について、「駿河の味(するがのあじ)」の文字が普通に使用されておらず識別性を有する旨主張しているが、i)「駿河」の名称は「茶」のみならず各種商品について、今日でも静岡県(中央部)を意味するものとして普通に使用されていること、ii)「の味」の文字は、食品を取り扱う業界において、地名等と結合して普通に使用されていること、iii)商品「茶」については、味と香りが最も大切にされること等を総合勘案すれば、旧国名「駿河」の文字と「の味」の文字とを結合してなる本願商標は、これをその指定商品「茶」に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用し難い。
よって、結論のとおり審決する。
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