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Trademark Appeal Case

「POLO」の一般名称性と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第20450号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第18類に属する商品を指定商品として、平成6年8年24日登録出願、その後、指定商品については、平成8年5月15日付手続補正書をもって、「米国製原革,同原皮,同なめし皮,同毛皮,同革ひも,同かばん類,同袋物,同携帯用化粧道具入れ,同かばん金具,同がま口口金,同傘,同ステッキ,同つえ,同つえ金具,同つえの柄,同乗馬用具,同愛玩動物用被服類」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原審において、登録異議の申立があった結果、原査定は、「本願商標をその指定商品に使用するときは、該商品が、恰も登録異議申立人或いは同人と何等かの関係ある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張について

請求人は、審判請求書の請求の理由において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。

(1)本願商標は、全米ポロ協会に所属し、西海岸を代表する実在の「ポロ・クラブ」の名称よりなるものである。請求人は、日本での「商品化事業」の一環として、代理人の立場で本願商標を出願したもので、それが受け入れられない場合は海外の実在する「ポロ・クラブ」の不満となり、日本への非難となる。

(2)「POLO(ポロ)」は、日本では「ポロシャツ」として「一般用語」の一部であり、普通に用いられる言葉である。

(3)日本国内及び海外の辞書、事典を調査したところ、全て「POLO」は「スポーツ名」としか記載されておらず、「ラルフ・ローレン」のことは一切記載されていない。「POLO」はスポーツ名にすぎない。世界中の人に以上の明確な共通認識があるのに、一部のブランド好きの人種の一時的流行を恰も全国民的認識であるように錯覚するのは、一営利企業の宣伝活動に乗せられた結果である。

(4)「シャネル」は日本を代表する辞書類には必ず記載があり、また「名前」や「ブランド」自体が本人の努力の結果によって日本人に浸透している。「POLO」は世界中の辞書類に「ラルフ・ローレン」との関係の記述はない。然るに「POLO」をもって「ラルフ・ローレン」と結びつけ、また「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけることはできない。

(5)「POLO」の商標のみに独占的地位を与える事は国益に叶うとは思えず、不正競争防止法の観点からも問題がある。

4 当審の判断

(1)「POLO商標」又は「ポロ(図)商標」の周知性について

株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。

ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(原審における登録異議申立人会社の前身,以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コテイ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフオードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。

我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字又は同文字に「by RALPH LAUREN」の文字を付加した商標、或いは、これらにポロ競技プレーヤーの図形を組み合わせた商標(以下、これら各商標を「POLO商標」又は「ポロ(図)商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と呼称(略称)されている。

そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/POLO」の項の記述、ボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の当該掲載記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等を同52年から、同じく婦人服の輸入、製造、販売を同53年から開始したことが認められる。

また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、前出「世界の一流品大図鑑’79年版」(昭和54年5月発行)、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、前出「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、前出「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB I980,12」、前出「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年6月発行「流行ブランド図鑑」にそれぞれ取り上げられ、また、眼鏡については、前出「世界の一流品大図鑑’80版」、前出「ファッション・ブランド年鑑’80版」、前出「男の一流品大図鑑’81年版」、前出「世界の一流品大図鑑’81年版」において、それぞれ、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。

なお、ラルフ・ローレンのPOLO商標又はポロ(図)商標に関し、上記認定とほぼ同様に認定した東京高等裁判所平成2年(行ケ)183号判決(平成3年7月11日言渡)及び東京地方裁判所平成8年特(わ)1519号判決(同9年3月24日言渡)がある。

以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国において、POLO商標又はポロ(図)商標は、昭和50年代後半から本願商標の登録出願時である平成6年当時にかけてすでに、ラルフ・ローレンのデザインに係り或いはポロ社の取り扱いに係る衣料品、かばん類、眼鏡等の商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものとみるのが相当であり、かつ、その状態は現在もなお継続しているものと認め得るものである。そして、ほかにこの認定を覆すに足りる証拠は見出せない。

(2)商品の出所混同のおそれについて

本願商標は、別掲に示すとおり、その中央にあって星と線条の模様よりなる円形の図柄を背景として併走する二騎のポロ競技者と思しき図形を表し、同図外周上部に「ELDORADO POLO CLUB」、同下部に「PALMSPRINGS CALIFORNIA」の各文字を表してなるものである。

しかして、請求人主張の如く、構成中の「ELDORADO」の文字が「南米の北部にあると信じられた黄金郷」の意味合いを、また、「PALMSPRINGS CALIFORNIA」の文字が「米国カリフォルニア州の都市名」をそれぞれ表し、さらに、当該クラブが全米ポロ協会に所属し西海岸を代表する「ポロ・クラブ」であるとしても、我が国社会一般のポロ競技に関する認識の程度、関心の度合い等よりして、国情を著しく異にするから、それら事情を米国同様に理解し得るとみるのは適切でなく、該構成より直ちに特定・固有のクラブ・団体ないしその記章として認識し把握されるとみるのは困難といわなければならない。

そして、この状況は本願商標の指定商品の分野においても特段変わるところはないから、むしろ、これに接する取引者・需要者は、ポロ(競技)に着想を得て採択された標章の一つとして認識・理解するとみるのが相当であって、就中、構成中のポロ(競技)の図形及びPOLOの文字相互の連想作用とも相俟って、「ポロ(競技)に関する任意的な標章」の如く認識し、かつ、印象づけられるものといえる。

これに対して、前述POLO商標又はポロ(図)商標は、本願商標の登録出願時である平成6年当時すでに、ラルフ・ローレンのデザインに係り或いはポロ社の取り扱いに係る衣料品、かばん類、眼鏡等の商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものであって、かつ、本願商標はその指定商品中にこれらのいわゆるファッション関連商品を含むものであるから、両者は需要者の範囲を同じくする場合が少なからずあるといえる。

そうとすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記各事情よりして、その構成にあって強く印象づけられるというべきポロ(競技)の図形及びPOLOの文字部分に着目し、前述ラルフ・ローレンのデザインに係り或いはポロ社の取り扱いに係るPOLO商標又はポロ(図)商標を想起し、該商品が同人又は同人と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。

請求人は、この点に関し、本願商標が特定の団体名称を表したものであり、また、「POLO」はスポーツ名にすぎず、ラルフ・ローレンの事は辞書に記載されていない旨主張しているが、我が国需要者一般において本願商標より直ちに特定の団体名称を想起し得るものでないこと前記認定のとおりであり、また、語源や採択の意図が何であれ、それを特定の商品について商標として採択・使用したときに当該商品に接する需要者がどのように認識し印象づけられるかという観点よりすれば、本願商標及びPOLO商標又はポロ(図)商標に対する需要者の認識については前示認定を相当とするから、その主張は、採用することができない。

なお、小学館「ランダムハウス英和大辞典」(1998年1月10日発行)及び研究社「英和商品名辞典」(1990年発行)によれば、「Polo」の項見出しの下、ラルフ・ローレンに関する記載のあることが認められる。

また、請求人は、平成12年2月3日付理由補充書において、「PALM SPRINGS POLO CLUB」商標に関する東京高裁平成11年(行ケ)253号事件の判決において、特許庁がした拒絶審決が取り消され、登録になっている、これは本願商標にも当てはまる事案であるから、考慮されるべきである旨理由を述べているが、同裁判事件は未だ係争中であって(最高裁判所係属)、直ちに本件審理・判断の基準とするのは必ずしも適切でなく、また、前示2判決のほか、最近の「ポロ」(polo)に関する一連の裁判事件判決は、むしろ、本認定と同旨のものといえるから、その主張は採用の限りでない。このほか提出に係る平成11年1月11日、同1月27日、同2月2日、同6月4日、同8月19日及び同10月29日付の各理由補充書においてそれぞれ述べる理由をもってしても、なお上記認定を覆すに足りない。

(3)以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものというべきであるから、これと同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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