Trademark Appeal Case
デジタルアートプリントの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第1535号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「デジタルアートプリント」の片仮名文字を横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品の展示,美術品・絵画を記憶させた磁気ディスク・光学式記録媒体の貸与,美術品・絵画に関する情報提供,美術品・絵画を記憶させた磁気ディスク・光学式記録媒体の加工,ビデオフィルムの制作(広告用のものを除く)」を指定役務として、平成8年6月27日に登録出願され、その後、指定役務については、同10年7月22日付け手続補正書において、「技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品の展示,美術品・絵画を記憶させた磁気ディスク・光学式記録媒体の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、指定役務との関係では、『カメラ、ビデオカメラ等で撮影・録画されたデジタルデータを印刷することに関する技術の教授』の意味合いを看取させる『デジタルアートプリント』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願指定役務中、『前記に照応する役務』に使用するときは、単に該役務の質(内容)を表示したものにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「デジタルアートプリント」の片仮名文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであるところ、その構成中の「デジタル」の文字は「ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば、二進数)として表現すること」、「アート」の文字は「芸術、美術」、「プリント」の文字は「印刷すること、印刷物」の意を有する外来語として、「広辞苑」(第5版、株式会社岩波書店発行)等の各種辞典に掲載されており、それぞれ一般に極めてよく知られているものと認められる。そして、「デジタル」の文字は、「デジタルカメラ」、「デジタル時計」、「デジタル通信」、「デジタル放送」等、「アート」の文字は、「モダンアート」、「ポップアート」等の複合語を構成する語としてもそれぞれ一般に親しまれているものである。
また、「デジタル」の文字は、それを含む語として、例えば、「知恵蔵」(2000年1月1日、朝日新聞社発行)において、「デジタル・デザイン〔digital design〕」が「CAD(computer aided design)を使ってデザインすること。製図板上でT定規・三角定規などで設計する従来の方法と異なり、コンピューターを使い、キーボードやマウスを操作し、ディスプレーを見ながら設計する。」(999頁)、「デジタルムービー〔digital movie〕」が「撮影や編集をコンピューターで行い、映像をデータ化した映画。」(1347頁)と掲載されており、コンピューターを用いてデータ化することの意においても使用されていることが認められるものである。
そうとすれば、本願商標は、上記の意味を有する「デジタル」、「アート」及び「プリント」の各文字を結合したものと容易に認識、理解され、全体として「コンピューターを用いてデータ化された映像の作品を印刷すること、又はされたもの」の意味合いを看取せしめるとみるのが自然である。
現に、「デジタルアート」の文字が「コンピューターを用いてデータ化された映像の作品」の意味合いを指す語として使用され、それを印刷することが実施されていることは、例えば、1992年9月18日付け日経産業新聞(30頁)に「胸像や肖像画など照れ性の日本人にはなじみが薄かった記念品ビジネスが盛んになってきた。この事業領域に最先端のコンピューターグラフィックス(CG)で参入したのが大阪に本社を置くドリームショット。・・・制作スタジオに足を踏み入れると、描きかけのCG作品が大小取り交ぜ壁際に立てかけてある。・・・完成した絵は薄い紙にプリントアウトし、キャンバスにはり付けて下地の布目を浮き立たせる。・・・米国ではパソコンを使って描く『デジタルアート』が浸透し、作品の商業取引も行われているが、日本でのCGはアーチストが個展を開くといった純芸術的見地からの取り組みにとどまる。」、1993年3月20日付け日本経済新聞(朝刊、38頁)に「資金や場所を提供するだけでなく、企業の持つ技術や人材を生かしたメセナ活動が始まっている。91年に発足したキャノンのART LAB(アートラボ)はそうしたもののひとつ。アーチストと自社のエンジニアが芸術とテクノロジーが一体になった“デジタルアート”を共同製作している。・・・オリジナル画像を様々な形に加工したり、見たこともない画像を作り出すことができる。・・・『コンピューターで処理してプリントした作品は人間の肉体労働が介在しない分、アーチストのコンセプトが直接伝わる』と筆で描いた絵画とは異なるデジタルアートの画面の魅力を語る。」、さらに、1996年10年22日付け日刊工業新聞(19頁)に「旭硝子は21日、カラー画像記録材料・・・を用いたプリントアウト事業を展開すると発表した。・・・デジタルアートなどのポスター、博物館の展示物解説、プレゼンテーション用パネル、店内装飾のプリント事業を本格展開するすることにした。」などと掲載されていることより首肯しうるところである。
前記した実情よりすれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「コンピューターを用いてデータ化された映像作品の印刷に関する知識の教授、同作品の展示、同記録媒体の貸与、同ビデオの制作」なる意味合いをもって、役務の質(内容)を表示したものと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定役務中、コンピューターを用いてデータ化された映像作品の印刷に関する役務の提供について使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎず、前記役務以外の役務に使用した場合は、役務の質についての誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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