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Trademark Appeal Case

記述的要素と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第31016号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4037237号商標(以下「本件商標」という。)は、「PLASMEDIA」の欧文字を書してなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,レコード,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品として、平成8年1月30日に登録出願、同9年8月1日に登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標はその指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について登録を取り消すとの審決を求めると申し立て、その理由を以下のように述べ証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証(枝番を含む)を提出した。

本件商標は、ローマ文字で「PLASMEDIA」と一連で表記された態様で構成されている。

しかるに、被請求人は、’99.春 トリニトロン カラーテレビ/モニター総合カタログ28頁の商品「デジタルCS放送受信セット」並びに「デジタルCS放送チューナー」(甲第2号証)及び徳間書店より平成11年8月10日発行された「グッズプレス8」6頁(甲第3号証)において「PLASMEDIA」と称呼類似する「PLUSMEDIA」商標を使用している。

「PLUSMEDIA」商標の自他商品識別機能を発揮する要部は、PLUS部分にあると言える。即ち、MEDIAの日本語表記「メディア」は、本件指定商品との関係においては、日経パソコン98年版(甲第4号証)によれば「フロッピーディスクやMOディスク、磁気テープカートリッジを指し、もともとは、情報を伝達する媒体のこと」と記載され、また、被請求人が平成3年12月11日に特許出願(特願平3−327347)し、平成5年6月25日に公開の公開特許公報(特開平5−159433)(甲第5号証)並びに株式会社東芝が平成5年11月30日に特許出願(特願平5−300224)し、平成7年6月16日に公開の公開特許公報(特開平7−153155)(甲第6号証)に、それぞれ普通名称として記載され、「MEDIA」と称呼並びに観念同一のメディアが普通名称である事を被請求人自らも認めているところである。

従って、「PLUSMEDIA」商標の要部は、先に述べたように「PLUS」部分と言え、請求人の所有する登録第1629255号商標、登録第1629256号商標、登録第1629257号商標、登録第2513117号商標、登録第2513118号商標及び登録第2539293号商標(以下、これら6件の登録商標を一括して「請求人商標」という。)に類似する商標と言える。

請求人は、請求人所有の上記登録商標を使用し、本件商標の指定商品を製造、販売しているところである(甲第13号証)。

よって、被請求人が、本件商標「PLASMEDIA」を所有し、「PLUSMEDIA」を使用する行為は、商標法第51条第1項の規定に該当し、本件商標は、取り消されるものと思料する。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第31号証を提出した。

(1)使用商標について

被請求人が使用している商標(甲第2及び3号証)は「PLUSMEDIA」ではなく、後述のとおりローマ字書きの「PlusMedia」を上段に「STATION」を下段に、いずれも横書きに表示した構成(以下、「使用商標」という。)、および、一連に横書きした片仮名書きの「プラスメディアステーション」の構成よりなるものである。

使用商標は、一体のものとして構成されており、その中の一部分に過ぎない「Plus」の部分のみを分離、抽出し、要部と考えることはできない。

使用商標は外観、称呼、観念ともに一体のものとして判断されるべきであり、請求人所有にかかる登録商標に類似しているということはできない。

さらに、乙第29号証ないし31号証から明らかなように、被請求人が使用している商標は、前記構成の使用商標であり、被請求人は、「STATION」あるいは「ステーション」を省略して「PlusMedia」ないし「プラスメディア」のみを使用したことはない。

使用商標は、「PlusMedia」と「STATION」を組み合わせた造語から成る商標であり、その外観は、まとまりよく、一体として使用されている。また、その称呼は「プラスメディアステーション」であり、よどみなく発音することができる。

よって、使用商標と他の商標との類否を判断するにあたっては、使用商標の構成を一体不可分の商標として把握すべきものである。

(2)使用商標と本件商標の類似性について

前記のように、使用商標は一体不可分の商標として把握されるのであるから、使用商標と本件商標は非類似である。

なお、本件商標の称呼は「プラズメディア」であることは明らかである。

さらに、両者はいずれも造語であり、観念を比較するべくもない。

(3)使用商標と請求人商標の類似性について

使用商標はこれを一体の商標として判断すべきであることは、前述のとおりである。一方、請求人の請求人商標は、それぞれ口ーマ字の「PLUS」のみ、片仮名書きの「プラス」のみ、「PLUS」と波形の図形、あるいは「プラス」と波形の図形から成るものであり、使用商標の外観と全く類似していない。又、称呼についても、請求人商標からは「プラス」の称呼のみが生じ、使用商標からは「プラスメディアステーション」の称呼が生ずるので、音構成が著しく異なり互いに類似しない。

さらに、使用商標は造語であるから、観念を比較するすべもないのであって、結局、両者は非類似といわざるを得ない。

しかし、万が一にでも、使用商標の一部である「PlusMedia」の部分のみ(以下「本件部分」という。)が商品の識別に用いられる場合があったと仮定しても、その更に一部の「Plus」の部分のみが要部として商品の識別に用いられることはあり得ない。

この点、請求人は、「Media」又は「メディア」(以下合せて「Media」という。)の語は、本件指定商品との関係においては普通名称であり、使用商標の要部は「P1us」部分である旨主張する。

確かに「Media」の語は、「マスメディア」や「マルチメディア」などの略語として日本人にも親しまれている。しかしながら、「Media」が取引界において、通信衛星放送受信機であるCSチューナーを指す一般的な名称とは到底認められない(乙第1、2号証)。

他方、「Plus」および「プラス」の語は、「加えること」等を意味する英単語として日本でも極めて広く認識され、日常的にも使用されており、それ自体での自他商品識別力は極めて弱い(乙第3号証)。この点は、「Plus」又はその日本語表記である「プラス」を用いた登録商標が、9類(旧11類)だけでも多数併存を許されていることからも明らかである(乙第4号証ないし同第20号証)。

このように、「Plus」又は「プラス」の語を含む多数の商標が請求人商標と併存しているのみならず、「P1us」又は「プラス」の語と共に使用されている語が、指定商品との関係では必ずしも識別力が高くないと思われる商標も併存している。かかる登録状況からすれば、「Plus」又は「プラス」の語は、極めて識別力が弱く、他の語と共に表示されるときは、他の語を要部と認識し把握されるか、又は不可分一体のものとして認識し把握され得るものであり、全体として一つの称呼、観念が生ずるものと考えるべきである。

以上のとおり、使用商標のうち、「PlusMedia」を採り上げるとしても、全体として一体不可分のものとして把握すべきであり、使用商標のうちの上段のみの、かつ、その一部のみを分離、抽出して比較することは不自然である。

本件部分より生ずる「プラスメディア」という称呼は、請求人商標より生ずる「プラス」の称呼とその音構成において著しい差異を有するので、称呼上混同を生じるおそれはなく、また、「PLUS」と造語である「PlusMedia」の観念が異なることも明白である。

よって、本件商標は、請求人商標とその外観、称呼、観念のいずれにおいても、非類似の商標である(乙第21号証ないし同第27号証)。

(4)混同の有無について

前述のように、使用商標と請求人商標が非類似である以上、両者の間に、一般的出所の混同が生じる可能性はない。

(5)故意について

使用商標は従来の単なる受信機に対して、マスメディアとの相互通信機能をもつ多用途のチューナーについて、「Plus」、「Media」及び「STATION」を組み合わせた造語であり、当該商品のイメージないしコンセプトを英単語で語呂が良くなるように組み合わせて造語を作った結果、使用商標となったのであり、「PLUS」との誤認、混同を意図していないのはもちろんのこと、その認識すら困難である。

よって、被請求人には、使用商標を使用することにより、請求人の業務に係る商品と混同を生じるさせるとの認識はなかったということができる。

4 請求人は、被請求人の上記答弁に対して弁駁していない。

5 当審の判断

(1)請求人は、審判請求書の「5 請求の理由」において「本件商標は、取り消されるものと思料する。」と述べている(審判請求書「5 請求の理由」の末尾)が、請求の趣旨からすれば、この部分は「本件商標は、その指定商品中『電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品』について登録を取り消す。」と述べるべきところ、前記記載の誤りと認め、また、使用商標に関して、「PlusMedia」とすべきところ、「PLUSMEDIA」としているが、これも誤記とみなして、以下審理する。

(2)本件商標の構成について

本件商標構成中の「MEDIA」の文字に請求人主張のごとき意味があり、この語が、その表音である「メディア」の語とともに「コンピュータ等の記憶媒体を意味するものとして、使用されていることが認められるとしても、本件商標は同書、同大、等間隔にて軽重の差なく表されており、ここから生ずる「プラズメディア」(あるいは、「プラスメディア」)の称呼もさほど冗長とはいえないことから、かかる構成よりなる本件商標は、一体的に表された一種の造語よりなると理解され、把握されるとみるのが相当である。

(3)使用商標の構成について

請求人提出の甲第2号証および同第3号証には、「PlusMedia」の欧文字を横書きし、その下部にこれより小さな欧文字で「STATION」と横書きしてなる商標(使用商標)が、「デジタルCS放送受信セット」並びに「デジタルCS放送チューナー」に使用されていることが認められるところである。

しかし、同号証の同頁には、片仮名で「プラスメディアステーション」の片仮名文字も併記されており、また、乙第29号証ないし同第31号証によれば、使用商標は、常に「PlusMedia」と「STATION」の文字とが一体的に組み合わされた態様で使用されていることが認められ、また、ここには、「プラスメディアステーション」の片仮名文字も併記されており、「PlusMedia」あるいは「プラスメディア」の文字が単独で使用されている事実は認め得ないところである。

そうとすれば、使用商標は、その使用方法の限りにおいては一体不可分のものとして把握されるとみるのが相当である。

しかるところ、使用商標は上下二段に書されていて文字の大きさも異なることから、取引場裡においては「PlusMedia」の部分が視覚的に分離され把握されることがあるといえるものである。

しかしながら、「PlusMedia」の欧文字部分は同書体をもってまとまりよく表されていて、しかも、これに相応する称呼も比較的簡潔なものといえることから、ここからさらに、「Plus」の文字部分が分離して把握され、「プラス」の称呼をもって取引に資されることはないとみるのが相当である。

(4)本件商標又は使用商標と請求人商標との類否及び混同の有無について

使用商標から、その構成上「プラズメディア」(あるいは、「プラスメディア」)の称呼が生じ、これが本件商標から生ずる称呼において同一又は類似のものであることは前記認定に照らして明らかであるとしても、両商標から「PLAS」あるいは「Plus」の部分が分離して把握されることはないというべきであるから、本件商標および使用商標は、「PLUS」あるいは「プラス」の文字、「PLUS」と波形の図形よりなる請求人商標とは、その外観、称呼、観念のいずれにおいても類似せず、また、混同を生じさせない別異の商標であって、使用商標を被請求人が使用しても、他人の業務に係る商品との出所の混同を生ずるものとはいえず、また、商品の品質の誤認を生じさせるものとも認められない。

(5)「故意」について

商標法第51条第1項により当該登録商標が取り消されるには、商標権者による故意行為があることが必要とされるところ、被請求人は、使用商標と同一態様からなる商標を本件審判請求前に出願しており(商願平11−4679 登録第4379721号商標)、被請求人は使用商標をこの商標登録出願に基いて使用しているとみて差し支えないものである。

一方、請求人は、商標法第51条第1項に規定する被請求人による故意行為について主張・立証をしていない。

したがって、被請求人が本件商標の使用に関して商標法第51条第1項に規定する故意を伴ったものと認めることはできない。

6 結論

以上、本件審判における請求人の主張は採用できず、本件商標は、取消請求に係る指定商品について、商標法第51条第1項の規定によっては取り消すことができないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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