Trademark Appeal Case
自動車の等級表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第17755号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、西暦1993年8月30日ドイツ連邦共和国においてした商標登録出願について、パリ条約第4条に基づく優先権を主張する出願として平成6年2月28日登録出願、商標の構成を「A−CLASS」(後掲参照)とし、指定商品を第12類「自動車並びに部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機,乗物用盗難警報器」とするものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、商品の規格・品番等を表すために類型的に採択・使用されるありふれた記号・符号の一種と認められるアルファベットの1文字「A」と商品の品質表示等の一種と認識させる商品の等級等を表す「CLASS」の欧文字とをハイフンを介して「A−CLASS」と普通の態様で表してなるから、これをその指定商品に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)近時の産業、経済の進展に伴い、商品の多様化、細分化が進み、同時にライフサイクルの短縮化傾向も著しい現今の消費経済社会にあって、各種商品の製造・販売に関わる事業者は常々消費者の需要指向に合った新製品の企画、設計及び開発に取り組んでいるのが実情であって、自動車等の機械産業をはじめ各種産業分野に携わる事業者それぞれに自己の製造・販売に係る各商品について、その製品管理又は商取引上の便宜性から、ローマ文字の1文字乃至2文字よりなる標章を単独で或いはハイフン記号を介して当該所定の標章と結合するなどして当該商品の規格、型式又は品番を表示するための記号、符号として使用していることはすでに顕著な事実と認められる。
特に大衆商品としてその普及度の目覚ましい自動車業界においては、国産車、輸入車の別なく各メーカーはそれぞれに需要指向の多様化と顧客の嗜好性に応えるべく一定期間毎にモデルチェンジ(又はマイナーチェンジ)を実施し或いは新コンセプトを提起するなど新企画に取り組んでいる状況が顕著であって、各メーカーはそれぞれに主力商品の違いはあるものの概して同一モデルの企画・設計に係る車種について中・小型又は大型の種類をそろえ、市場の流通に供しているのが実情である。
この点は、例えば、乗用車についてみると、いわゆるセダンタイプ(スポーツセダンを含む。)、小型乗用タイプ、バンタイプ、ワゴンタイプ、RV(Recreational Vehicle)タイプ、スポーツクーペタイプ等と種類は多彩で、さらに、それら同タイプの車種についてはメーカー各社の所定の企画・設計のもと同一モデルで系列化された車種グループがあり、それらのいわばラインナップ商品はそれぞれに搭載するエンジンの型式・種類の別又は排気量の別等により各グレードに分けられ、細分化されているという状況である。
そして、前記同タイプの(種類の)もの、或いは一定容量・範囲のエンジン排気量のもの、さらにはトラック等の積載量の一定範囲のものについて、当該グレードの等級表示(用語)として「クラス」(Class)の文字(語)を普通に使用している事実があり、この点は、二三の自動車関連の業界雑誌又は日刊新聞等を覗いてみただけで、例えば、「リッターカークラス」、「2L(リットル)クラス」、「大衆(車)クラス」、「(排気量)千八百−二千ccクラス」、「上級クラスのファミリーカー」、「(排気量)千−千六百ccクラス」、「カローラクラス」、「Bクラスは一般的には排気量千五百ccを中心とした大衆車を指す。・・・」、「国産Mクラス」、「クラス最強のスポーツセダン」、「クラス別ベストカー」、「FF中心のこのクラスでは別格の・・・」、「このクラスの1トンキャブワゴン市場は・・・」、「4トンクラスの各種商用車・・・」等々の用例が頻繁に見受けられる状況よりして容易に窺い知ることができる。
(2)ところで、本願商標はその構成前記したとおり、ローマ文字の1文字「A」及び「階級、等級、学級(クラス)」の意味合いの英語「CLASS」とをハイフン(記号)を介して結合してなるものであるところ、該英語を原義とする「クラス」の外来語はわが国において一定の事柄又は一定の社会分野に関し当該一定の段階・等級を表示するための常用語であることはすでに顕著な事実であって、社会一般において普通に用いられるものといえるから、該構成の全体からは、社会一般に普通に用いられる等級表示、段階表示(「ファーストクラス」、「上級クラス」、「三級クラス」等)の一類型として容易に感得・理解し得るものと認められる。
そうすると、本願商標は、わが国社会一般において等級表示、段階表示として普通に用いられる標章の一類型であるという点で世上ありふれた標章といえるものであり、故にそれ自体商品識別の機能の面で必ずしもその機能を十分に発揮し得るものとはいい難く、特段の事情のない限り自他商品の識別標識として認識されるとみるのは困難なものといわざるを得ない。
そして、本願商標をその指定商品である自動車その他の商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前述(1)の各事情よりして、自動車関連商品分野において、一定タイプの種類又は一定容量・範囲のエンジン排気量に係る一群の商品ないしは一定の企画のもとに同一モデルで系列化された一群の車種グループ又はその規格・型式を表示したものと理解するに止まり、それをもっていずれの者の取り扱いに係る商品であるのかを識別する標識として認識するとみるのは困難であって、自動車関連分野の商品の取引事情を考慮するもなお前記特段の事情を有するものとはいい難い。
(3)請求人は、請求理由において、「(イ)自他商品識別力は具体的な商品相互間の問題であり、商品との関係で判断されるべきであって原査定は本願商標を付すべく商品(乗用車)を無視している。(ロ)本願商標は、具体的な等級(分類)を直感させるものでなく、請求人が自社の製造に係る商品(乗用車)のサブブランドとして採択し1991年以降同類型の商標を含めわが国において相当数の販売実績があり、宣伝・広告費も相当額に上っているから、「○−CLASS」、「△△−CLASS」といえば請求人会社に係る商品として広く認識されている。」旨の理由を述べ、証拠方法として第1号証乃至第10号証を提出している。
しかしながら、提出に係る書証をみる限り、本願商標を含む「○−CLASS」、「△△−CLASS」等の各標章は、一様に「Mercedes−Benz」(メルセデスベンツ)及びいわゆるスリーポインテッド・スターのシンボルマーク(社標)と共に用いられているものであって、それ自体が単独で商品識別の標識として機能しているものとする点は明らかでなく、したがって、継続使用された結果需要者が請求人会社の業務に係る商品であることを認識するに至ったものとする事実は客観的に証明されない。
また、本願商標をその指定商品(自動車その他の商品)との具体的関係において考察するに、それ自体は自他商品の識別標識として機能し得るものといえないこと前記のとおりであって、むしろ、それ自体は請求人会社に係る当該一定の同一モデル規格で系列化された一群の車種グループの呼称、すなわち、当該ラインナップ商品の規格・型式を表示するための一種記号表示とみるのが相当であるから、この点について述べる請求人の主張は採用の限りでない。
さらに、請求人は、本願商標又は同類型の商標に関する諸外国の登録事情(第6号証)を提示しているが、わが国において「○−CLASS」、「△△−CLASS」等の各標章がわが国社会一般においてありふれた等級表示、段階表示とされること前記のとおりであって、諸外国とは国情を異にし或いはこの種商品の取引事情も自ずと相違するから、該登録事情をもって請求人主張を理由づけるものとはいえない。
このほか、請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は、社会一般において等級表示、段階表示として普通一般に用いられる点で世上ありふれた標章といえるものであり、かつ、これを自動車関連分野の取引事情に照らして検討するも、なお、一定タイプの種類又は一定容量・範囲のエンジン排気量に係る一群の商品ないしは一定の企画のもとに同一モデルで系列化された一群の車種グループ又はその規格・型式を表示したものと理解されるに止まり、需要者をして何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものというべきであるから、結局、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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