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Trademark Appeal Case

立体商標の形状識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第2962号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別掲のとおりとし、第5類「カプセル」を指定商品として、平成10年2月2日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、特段の特異性が認められるものではなく、全体としてカプセルの形状として取り得る形状の範囲を出ないもの、即ち通常採用し得るカプセルの一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法における立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前示したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地裁 昭和50(ワ)3035号 昭和52年12月23日判決言渡【最高裁判所事務総局発行 無体財産権関係民事・行政裁判例集第9巻第2号769頁】)との判示がなされているところである。

(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示すとおり、キャップ(頭部)部分とボディ(胴体)部分を交互に重ね合わせた円筒体において、そのキャップ(頭部)部分の下部がスカート状に突出した形状よりなるものであり、該形状は指定商品「カプセル」の一形態を表したものとみられるものであるから、これをその指定商品「カプセル」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないと判断するのが相当である。

請求人は、通常カプセルは、その内部に薬剤等が充填され、そのまま経口投与されるものであり、このため服用時に違和感を生じたり、飲み込みにくくなるようなことのないように、カプセルの外周面に突出部を設けることは行われない。本願商標は、その外周にスカート状の突出部を有し、このスカート状の突出部は視覚的に十分認識され得る大きさに形成されていると共に、カプセルの軸方向中央部に設けられているため非常に目立つものである。したがって、本願商標に係るカプセルの立体形状は、通常はカプセルには設けられることのないスカート状の突出部を有しており、しかも、このスカート状の突出部が視覚的に十分認識され得る態様で設けられているものであるから、指定商品との関係から十分な自他商品識別力を有する特異的なものであって、十分な登録性を具備したものである旨主張している。

ところで、本願商標の指定商品「カプセル」は、飲みにくい薬品を封入して飲みやすくするゼラチン製の小さい容器であって、通常はキャップ(頭部)部分とボディ(胴体)部分を一端を閉じて交互に重ね合わすことができるような円筒体からなるものである。

しかしながら、例えば、薬剤に含まれる商品「滋養強壮剤」(液剤)をみるに、その商品の成分(例、ニンニク抽出液)の臭いが強く、そのままでは服用しにくいものがあり、その場合において商品にカプセルが添付されて販売されている事実がある(製造販売元 湧永製薬株式会社、「滋養強壮剤 キヨーレオピン」)。そして、その商品の取扱説明書には「そのままでは服用しにくい場合は添付のカプセルに入れて服用して下さい。」旨記載されており、その添付されているカプセルは通常の形状とは異なり、円筒体の外周面に突出部が設けられていると認められるところ、これは、通常のカプセルは薬局での調剤に主として用いられるもので、その取扱者は専門家といえるのに対し、前記商品の場合は、一般需要者がその薬液をそのままでは服用しにくい場合に、添付のスポイトを用いて一定の量をカプセルに詰めて服用するというものであるため、円筒体の外周面に突出部を設けることにより専門家でない一般需要者でもカプセルに一定量を詰め易くするために設けられた形状とみるのが相当である。また、前記取扱説明書には「・カプセルに薬液を入れますと軟化し、......」との記載もあることからすれば、カプセルの外周部の突出部は薬液を入れ服用する際には柔らかくなり飲み込みやすい状態になるといえるものである。

そうとすれば、本願商標に係る立体的形状も通常のカプセルの形状とは異なる特徴を有するとしても、それは前記の特徴を有するカプセルと同視できる範疇のものであって、商品の機能(使い易さ等)を効果的に発揮させるためのものというべきであり、薬品を封入するという商品「カプセル」の本質的形状において変わりはないから、通常の商品とは異なる形状を有するものであっても、それが商品の機能に関わるものである以上は、これに接する取引者、需要者は、当該商品の形状の範囲のものと認識するに止まるというのが相当である。

してみれば、本願商標に係る立体的形状の有する特徴は、商品の機能を発揮させるために施されたものであるから、結局、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、その形状に特徴をもたせたことによって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは前記(1)で述べたとおりである。

4 むすび

したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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