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Trademark Appeal Case

立体商標の識別力欠如

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第2921号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲した構成からなり、第15類「ギター」を指定商品として、平成9年5月23日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、指定商品であるところの『ギター』との関係からみた場合、そのボディーの部分の形状を認識させる、立体的形状のみからなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品そのものの形状を普通に用いられる方法をもって、表示してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、同法第3条第2項の適用も否定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1) 平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入し、その中には商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含まれるとしても、商品等の形状は、それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないというのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係ない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

また、意匠法等により保護されている形状について重ねて又はその権利消滅後商標登録することは、知的財産権制度全体に不合理な結果をもたらすことになる。

(2) これを本願についてみれば、本願商標は、その構成から明らかなように、ギターの胴部の一形態を表すものであるから、これを指定商品「ギター」に使用しても、取引者、需要者は、単に、指定商品自体、すなわち、ギターの胴部と認識するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、その指定商品に使用したときは、指定商品の形状を表示するにすぎないものというべきである。

(3) (イ)請求人は、本願商標に係るギターの胴部が裏面と側面を曲線で一体化した球面形状に特徴があり、本願商標は自他商品の識別機能を有する旨主張する。

しかしながら、本願商標に係るギターの胴部は、丸味を帯びたひょうたん型の形状の上部にくびれ部を有し、しかも、表面は平らで、側面の厚みを有するものであるから、全体として観察するときは、ギターの胴部の基本的な特徴を備え、その一形態を表示したものであるというべきものである。そして、前記の球面的形状は音を効果的に外に反射させるために採択された形状と認められるものである(甲第115号証ないし同第143号証)。

そうとすれば、本願商標は、請求人主張のような特徴的な形状からなるものであっても、それがギターの本質的な機能に関わるものである以上、これに接する取引者、需要者は、当該商品ギターの形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。

(ロ)請求人は、本願商標は永年に亘り使用の結果、使用による自他商品識別力を獲得した旨主張し、甲第1号証ないし同第143号証(甲第23号証及び同第28号証は欠号)を提出している。

しかしながら、甲各号証からは、請求人のギターが取引者、需要者の一部において人気を得ていることは窺われるとしても、請求人に係るギターは、甲第109号証によれば、請求人は、茸状のペグヘッド、共鳴板の木の葉模様とその中に設けられた大小多数のサウンドホールや共鳴板の裏胴のラウンドシェイプの形状に、甲第18号証によれば、第三者は、ラウンドバックであること、音なりの良さ、耐久性、実用性を備えたアコースチックギターであることの外、弾き易さ、持ち易さ、ユニークなボディシェイプや仕上げの美しさにそれぞれ特徴があるとしており、いずれにおいても、本願商標に係る請求人主張の特徴的形状はそれらの中の一つにすぎないものとされていることが認められる。

そして、本願商標に係るギターは、「ラウンド・バック型」と呼ばれるがそれは取りも直さず、裏面の形状自体を表すもので、自他商品の識別力が認められないものであること、また、「オベーション(Ovation)」、「アマダス(Amadas)」、「セレブリティ(Celebrity)」の商標の下で販売されていることが認められる。

してみれば、請求人提出の甲各号証によっては、本願商標に係る形状がギターの胴部のみであって、これと同一のものの使用が証明されていないことは置くとしても、本願商標に係るギターの形状が、その形状のみをもって、請求人の業務に係る商品として、商標法第3条第2項の規定を満たす程には、取引者、需要者の間において、認識されるに至っているものとは認め難いといわなければならない。

請求人は、甲第108号証及び同第109号証により、不正競争防止法に係る仮処分事件を挙げるところがあるが、旧法第1条第1項第1号(現第2条第1項第1号)は、債務者に係る不正競争行為との関係で相対的に周知性等が認定されるものであり、商標法第3条第2項に係る認定等、前示の認定、判断を左右するものではない。

(ハ) なお、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。

4 結論

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、正当であって取り消す限りでない。

よって結論のとおり審決する。

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