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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30746号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第2018583号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和60年5月2日に登録出願され、「スコーピイ」の片仮名文字と「SCOPEE」の欧文字とを二段に右横書きしてなり、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、同63年1月26日に設定登録、その後、平成10年2月10日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

2.請求人の主張

請求人は、「商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中『光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、写真材料』についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように述べている。

(1)本件商標は、商標権者又は使用権者の何れによっても、指定商品中「光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、写真材料」について少なくとも、過去3年以上使用された事実は存在しない。

よって、指定商品中「光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、写真材料」の登録は、商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきものである。

(2)請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

3.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至同第16号証を提出している。

(1)本件商標は本件審判請求前3年以内に本件商標の指定商品について使用された事実がある。即ち被請求人は商標「スコーピイ」を、被請求人の製品である汎用のファイバースコープについて以前から使用している。なおこの商標「スコーピイ」が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは極めて明らかである。

以上により本件商標が付された汎用ファイバースコープが本件審判の請求前3年以内に被請求人により製造され販売されていること、そして、これが掲載されたカタログも頒布されていることは明らかである。

なお、乙第5号証によると、カタログNO.6ー82Aの印刷、納品がなされたのは本件審判請求前3年以前の平成3年であるが、そこに示されている「スコーピイ」(SE600L型)の需要者は限られているためにそのカタログもさほど多量に頒布する機会がなく、今なお当時印刷した同じカタログが利用されている。

(2).本件商標が使用されている商品について

(a)ファイバースコープについて

上記のように本件商標が被請求人によって本件審判の請求前3年以内にファイバースコープにつき使用されている事実があるのであるが、それではそもそもファバースコープとは何かというと、ガラスや透明度の高いプラスチックなどからなる透明な繊維状のもの(これを通常「グラスファイバー」又は「光ファイバー」と称している)が光をよく伝達せしめることから、束ねた多数のグラスファイバーの先端に対物レンズを、基端に接眼レンズをつけた光学装置をファイバースコープと呼んでいるのである。この機器は束ねたグラスファイバーが可撓性を有するために所要の角度に曲げることが可能であることから、その性質を利用して直接見ることができない空隙や曲がった管の内部などを覗くために利用されている。

以上の証拠によりファイバースコープが外部から見ることができない個所を見るための光学機械器具の一種であることは明らかである。なお、乙第12号証として添付する有名なマグローヒル「科学技術用語大辞典」第3版によると、「ファイバースコープ」の項に《光》の記号が見られるが、これは同辞典の凡例にあるように光学用語であることを示すものである。

ところで、最近トルコにおいて地震により崩壊した建物の中に閉じ込められた人々を探し出すのにファイバースコープが活躍したと報道されたのは記憶に新しいが、この場合は瓦礫の隙間からファイバースコープを差し込んで閉じ込められた人々を見つけ出したのであって、これは典型的なファイバースコープの利用方法の一例である。

このようにファイバースコープは上記のように直接見ることが不可能な場所を見ることが可能であるところから、これが人体の内部、たとえば食道や胃などの検査に利用され、そのようなファイバースコープは特に内視鏡と呼ばれていることは良く知られている。このためか、ファイバースコープといえばすべて医療用機器の一種であると判断される向きもあるが、これは間違っている。

即ち、ファイバースコープは要するに直接見ることが不可能な場所を見るための光学機器なのであって、医療用のファイバースコープはその用途の特殊な一例に過ぎないのである。換言すれば、ファイバースコープという商品は本来光学機械器具の一つであり、それを医療用という特殊な用途に向けて作られ使用されているものが医療用のファイバースコープ(内視鏡)に過ぎないのである。

乙第15号証において「ファイバースコープ」の項目を見ると、該当する国際分類として「A61B1/00」と「G02B23/24」の二つが挙げられている。そこで、乙第16号証の「A61B1/00」の個所を見るとそこに「内視鏡」の例示があることから、この分類に医療用のファイバースコープが含まれることがわかる。

次に、乙第16号証「G08B23/24」の個所を見ると「孔体の中を観察する装置、例、ファイバースコープ」の記載が見られる。なお、これの上位分類である「G02B」は「光学要素、光学系、または光学装置」を示すものであることを付言する。

従ってこれらの証拠からも、特に医療用と特定されていないファイバースコープが光学機械器具の概念に属することは極めて明らかである。

(b)本件商標が使用されているファイバースコープについて

本件商標が使用されているファイバースコープはいかなる商品であるかというと、乙第1号証及び同第2号証に見るように、これは汎用のファイバースコープなのである。即ち、その用途は乙第2号証に「機器類の修理・点検から教材用まで、幅広く活用できます」とあるように特定されていない。

ところで、前記のようにファイバースコープには医療用のものもあるのであるが、医療用のファイバースコープは食道など人体の空腔内にそれを挿入しなければならないのであるから、当然のことながら人体を傷つけないように、たとえば外径を著しく小さくしたり、その外側を特殊な皮膜で覆うなど、細心の注意をもって製造され、従って価格も極めて高価であり、取引経路や需要者も汎用のファイバースコープとは全く相違する。

従って工場屋震災現場などで使用される「汎用のファイバースコープ」も、病院において微妙な診察や診断、更には手術に際して使用される「医療用のファイバースコープ」も、共に本来的には「光学機械器具」の範疇に属する商品であるが、商品流通経路や需要者などが全く相違する商品であるため、後者が商標法上では「医療用機械器具」の商品類似群に属すると判断されることがあるとしても、前者が属する商品類似群はやはり「光学機械器具」以外には考えられない。

これを要するに、本件商標はその指定商品中の「光学機械器具」の範疇に含まれる「汎用のファイバースコープ」につき、被請求人により、本件審判の請求前3年以内に使用されている事実がある。

(c)上記のように本件商標は、本件審判が登録取消の対象とする指定商品中の「光学機械器具」につき、本件審判の請求前3年以内に被請求人により使用されている事実がある。

4.当審の判断

よって判断するに、被請求人が本願商標をその指定商品中の「光学機械器具」の範疇に属する「汎用のファイバースコープ」に使用しているとして提出した乙第12号証によれば、「マグローヒル科学技術用大辞典」(1996年9月30日 株式会社 日刊工業新聞社 発行)に「ファイバースコープ fiberscope」の項に「《光》一端に対物レンズを他端に接眼レンズをつけた,多数の平行なグラスファイバーでできた装置。」と記載され、また、乙第16号証によれば、「IPC(第5版)は特許実用新案国際特許分類表」(平成2年7月2日 社団法人 発明協会 発行)」に、「G02B 光学要素、光学系、または光学装置」の項の「23/00・・・光学的照準または観測装置・・・」の項に「23/24 ・孔体の中を観察する装置,例・ファイバースコープ」とそれぞれ記載されていることからすれば、当該商品は、「光学機械器具」の範疇に属するものと判断するのが相当である。

さらに、被請求人が本願商標をその指定商品中の「光学機械器具の範疇に属する「汎用のファイバースコープ」に使用しているとして、同人が提出した乙第1号証の「DIAGUIDE」のカタログ中には、「豊富なバリエーションとアクセサリー」の「・ダイヤガイドスコープシステム」の項に、「汎用スコープ“スコーピイ”」の記載が認められ、また、同カタログ中の裏表紙に「三菱電線工業株式会社」の記載及び平成10年2月に相当するところの「98.02」の数字等が表示されていることが認められ、また、乙第11号証の受領書には、「品名」の欄に「SCOPEE」の表示、「サイズ」の欄に「SE600L」の表示、納入先の欄に「木材船舶用品(株)大阪店船瀬様」の表示、「三菱電線工業株式会社御中」の表示、「左記物品正に受領致しました。」の表示、「木村船舶用品(株)」、平成11年6月2日に相当するところの「11.6.2」、同11年6月3日に相当するところの「11.6.3」及び「倉庫」のそれぞれの表示からなる受領印であることが認められる。

そうとすれば、被請求人(商標権者)は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求の対象の指定商品中「光学機械器具」の範疇に属する「ファイバースコープ」について使用されていたものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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