結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35699号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4237625号商標(以下、「本件商標」という。)は、「アルトシン」の片仮名文字と「Artosin」の欧文字を上下二段に書してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,耳帯」を指定商品として、平成9年12月9日登録出願、同11年2月5日に設定登録されたものである。
請求人の引用する登録第1823452号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「Actosin」の欧文字と「アクトシン」の片仮名文字を上下二段書してなり、昭和58年2月14日登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和60年11月29日に設定登録されたものである。同じく、登録第3148972号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「Actosin」の欧文字を横書きしてなり、平成5年5月25日登録出願、第5類「薬剤,包帯」を指定商品として、平成8年4月30日設定登録されたものである。同じく、登録第3148973号商標(以下、「引用C商標」という。)は、「アクトシン」の片仮名文字を横書きしてなり、平成5年5月25日登録出願、第5類「薬剤,包帯」を指定商品として、平成8年4月30日設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録は無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、「アルトシン」の片仮名文字と「Artosin」のローマ文字を二段に併記してなるものであるから、その構成文字に相応して「アルトシン」の称呼が生じること明らかである。
これに対して、引用商標は、いずれもその構成文字に相応して、それぞれ「アクトシン」の称呼が生じること明らかである。
そこで、本件商標より生じる「アルトシン」の称呼と引用商標より生じる「アクトシン」の称呼を比較すると、その差異は、両者5音構成からなる第2音において、「ル」と「ク」の微差にすぎず、しかも、両者は50音図中の「力」行音及び「ラ」行音の第3音に属する「ク」と「ル」の第2音に位置し、共に母音「u」を共通にすることに加え、両者5音構成中第2音目は他の音構成に比較し、比較的弱く発する音であること、特に、両者語頭音の「ア」と第3音の「ト」は明瞭に発音され、互いの音に吸収されやすいところから、それぞれを一連に称呼するときは、音構成極めて近似する音と言わなければならない。
したがって、両称呼を互いに全体を称呼する場合、何れもが特定の語義を有しないことと相俟って、彼此聞き誤る虜れが十分に有る類似の商標と言うべきである。
なお、特許庁の審判事例においても、5音構成中の第2音における音構成において、類似と認定されている事例が多数見受けられるところである(甲第5号証ないし甲第12号証)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用各商標とは、それぞれ「アルトシン」及び「アクトシン」と称呼されるものであり、第2音において「ル」と「ク」の差異がある。
この「ル」と「ク」は、母音を共通にするとはいえ、それぞれの子音が、一方は、上の歯茎と舌の先を調音点とする有声の弾音(r)であるに対し、他方は、軟口蓋と舌の後部を調音点とする無声の破裂音(k)であるため、「ル」「ク」それ自体が明確に区別されるものであることは勿論、これを前半の「アルト」と「アクト」の比較においても、これが紛れるような関係になるものでない。
したがって、このような差異が全体が5音という比較的少ない音数構成の本件商標と引用各商標の一連の称呼の聴別に与える影響は大きく、彼此聞き誤られるようなことはなく、称呼上類似しないものである。
また、本件商標と引用各商標とは、外観及び観念上類似するものでないことも明らかである。
請求人は、本件商標と引用各商標の称呼が類似であるという根拠として、審決を挙げられている。
しかし、商標の類否が、5音構成中の第2音における1音違いは類似というように、一律に決まる性質のものでないことは詳述するまでもないところであり、5音構成中の第2音における1音違いの事案にあって、非類似と認定されている(乙第1号証の1ないし9)。
その他、4音構成ではあるが、本件と同じ第2音における「ル」と「ク」の1音相違を非類似と認定されている審決例もある(乙第1号証の10)。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
本件商標は、「アルトシン」の片仮名文字と「Artosin」の欧文字を上下二段に書してなるものであるから、その構成文字に相応し「アルトシン」の称呼を生ずるものである。
他方、引用A商標は、「Actosin」の欧文字と「アクトシン」の片仮名文字を上下二段書してなり、引用B商標は、「Actosin」の欧文字を横書きしてなり、引用C商標は、「アクトシン」の片仮名文字を横書きしてなるものであるから、それぞれの構成文字に相応し、いづれも「アクトシン」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「アルトシン」称呼と引用各商標より生ずる「アクトシン」の称呼を比較するに、両者は、共に5音構成よりなり、語頭において「ア」、後半部において「トシン」の音を共通にし、第2音において「ル」と「ク」の音の差異を有するものである。
しかして、該差異音の「ル」と「ク」は、母音を共通にするとしても、子音において、前者が舌面を上歯茎に接触して発せられる有声の歯茎音であり、後者が後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声の破裂音であり、その調音の位置、調音の方法を異にし、音質を異する音であるから、該差異音は、明瞭に聴取し得るものというのが相当である。
してみれば、比較的短い両称呼にあっては、両称呼をそれぞれ一連に称呼するとしても、該差異音が全体の称呼に及ぼす影響は大きく両者は聴別し得るものと判断するのが相当である。
さらに、観念、外観についてみるに、本件商標と引用各商標は、いづれも特定の意味を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することができない。また、外観上も区別し得る差異を有するものである。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、観念及び外観のいづれにおいても非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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