Trademark Appeal Case
商標称呼・観念類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91379号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4286167号商標(以下「本件商標」と いう。)は、平成9年9月24日に登録出願され、「CHATEAU LA TOURETTE」の文字と「シャトー ラ トゥレット」の文字とを併記してなり、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成11年6月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
昭和59年7月12日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第28類「酒類」を指定商品として、昭和62年3月27日に設定登録されている登録第1939207号商標及び昭和59年7月24日に登録出願され、「CHATEAU LATOUR」の文字を横書きしてなり、第28類「酒類」を指定商品として、昭和62年3月27日に設定登録されている登録第1939209号商標(以下これらを合わせて「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識され著名となっているところ、本件商標は、引用商標と類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであり、本件商標をその指定商品について使用した場合、申立人の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する。
したがって、本件商標は、その登録を取り消されるべきものである。
3 通知した取消理由
本件商標は、登録第1939207号商標及び登録第1939209号商標と商標において類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 商標権者の意見
本件商標は、「CHATEAU LA TOURETTE」の欧文字と「シャトー ラ トゥレット」の片仮名文字とよりなるものであり、その末尾の「TOUTRETTE」が「トゥレット」と発音され、「(植物の)十字花科の一属」を意味するものであることは「スタンダード仏和辞典」より明らかである。
これに対して、引用商標は「CHATEAU LATOUR」の欧文字で横書きされているものであり、「LATOUR」は上記辞典には存在しない語であるが、「LA」を除いた「TOUR」についてみるとその発音をあえて片仮名で表すと「タワー」または「トゥーア」であり、「塔、櫓、鐘楼」の意味を有し、英語にいう「タワー」と同義語である。
本件商標は、「シャトー」「ラ」「トゥレット」と称呼されるものであること、並びに、その余の称呼を生ずるものでないことは経験則上明らかである。
これに対し、引用商標は「シャトー」「ラタワー(またはラトゥーァ)」と称呼されるものとみるのが相当である。
本件商標は全体として「三つの語」として発音され、引用商標の場合は「二つの語」として発音されるものであるから、このような語数の違う語が誤聴される虞は皆無に近いものであるから、このような標章同士が称呼上において類似すると認定された事例は皆無である。
また、本件商標の場合、音数が「6音」、促音と長音とをそれぞれ1音と数えた場合は「10音」であるのに比し、引用商標の場合は、音数が「5音」、促音と長音とをそれぞれ1音と数えると「8音」であるから、音数上からみても両商標には明らかな差異があり、誤聴の虞れは全くなく、彼此混同の虞れもないとみるのが相当である。
更に、称呼上の対比に当たって、殊に、重要なことは、本件商標の場合は、末尾音が「トゥレット」と「ト」の音が明瞭に称呼されるものであるのに比し、引用商標の場合は、「ラタワー(またはタトゥーァ)」と「ー」または「ーァ」と称呼されるものであるから、語調が明らかに相違しており、これらの両商標が誤聴や混同される虞れは全くないとみるのが相当である。
なお、両商標の当初にみられる「シャトー」の称呼を生じる商標は、極めて多数設定登録されているので、この点の同一性は両商標の対比において重要度を占めるものではない。
その他の点の観念において、本件商標の場合は、「(植物の)十字花の一つ」を観念させるものであるのに比し、引用商標の場合には、商標権者の造語と思われ、もし、そうでないとしても「塔、櫓、鐘楼」(タワー)を観念させるものとみるのが相当であるから、観念上における類似性は全くないものであり、また、外観上において顕著な差異を有することはその標章からみて明白である。
本件商標が引用商標との対比において類似するとする余地は微塵もない。
5 当審の判断
本件商標は、「CHATEAU LA TOURETTE」の文字及び「シャトー ラ トゥレット」の文字よりなるものであり、その構成文字に相応して「シャトーラトゥレット」の称呼を生ずるものである。
ところで、申立人が提出した「英和商品名辞典」(甲第2号証)には、「CHATEAU LATOUR(シャトーラトゥール)」は、フランス西部Gironde県Bordeaux市の北、Haut−Medoc地区のPauillac村にある。1855年の政府公式格付け1級シャトー。1680年に建てられた、高い品質で定評があるワインを産する。」と記載されていることが認められ、「新版・世界の銘酒(株式会社食品産業新聞社発行)」(甲第3号証)には、「シャトーには有名なLafit−Rothschild(ラフィット・ロートシルト)、LATOUR(ラトゥール)などがあり、」(142頁)、「メドックの第1級であるシャトー・ラトゥール」(同頁)、「シャトーとは、その建物を含んだ葡萄園全体を指す。そしてこの建物としてのシャトーはシャトー・ワインづくりの中枢部で、偉大なシャトーはすべて内部で貯蔵庫、瓶詰め所をもっているわけである。ラベルにMis en Bouteilles au Chateau(ミザン・ブーティユ・オー・シャトー)と書かれているのは、シャトーの内、即ち、葡萄園の中ですべて瓶詰めされたワインということであり、他の葡萄園やコミューンのものがブレンドされていないという保証書といってもよい。」(143頁)、「3年の熟成はシャトー・ラフィットとかラトゥールなど偉大なものだけである。」(同頁)、「シャトー・ラトゥールもメドックの第1級4シャトーの1つで、比較的たくましく、ゆっくりと熟成するワインとして、また収穫の悪い年でも安定した品質のワインを産出することで有名である。」(146頁)と記載されていることが認められる。「世界のワインカタログ1999bySuntory(サントリー株式会社発行)」の124頁には「シャトーラトゥール...メドック4大シャトーのひとつに数えられる代表的シャトーです。たくましいワインとして知られており、ワインファンのセラーに、長い年月、大事に寝かされる偉大な銘柄です。」と紹介され、ラベルに「CHATEAU LATOUR」と表示されたボトルの写真が示されている。
そして、上記記載文を総合すると、引用商標は、その構成文字に相応して「シャトーラトゥール」の称呼を生ずるものであり、ワインに使用され「シャトー・ワイン」で第1級品として、本件商標登録出願時には取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めることができる。
そこで、本件商標より生ずる「シャトーラトゥレット」の称呼と引用商標より生ずる「シャトーラトゥール」の称呼とを比較するに、両者は、称呼識別上重要な位置にある前半部分の「シャトーラトゥ」の音を共通にし、相違するのは、「レット」と長音「ー」に続く「ル」の音の差異であり、差異音の位置が印象の弱い語尾部分であることを考えれば、両者の称呼全体を一連に称呼した場合、該差異音の差が称呼に及ぼす影響は小さく、その語調、語感が近似し、互いに紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
さらに、引用商標は、1級シャトーのワインとして取引者、需要者の間に広く認識されているところ、本件商標と引用商標とは、前記のとおりの構成よりなるものであり、その構成文字において、前者の構成文字中の「CHATEAU LA TOUR」の文字部分と後者の「CHTEAU LATOUR」の文字部分とは、その綴り文字を共通にし、本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用商標を含むものであるから、両者は、欧文字部分において、外観上も相紛れるおそれがあるものというべきである。
そうとすれば、本件商標は、引用商標との観念の差を考慮しても、その外観及び称呼において紛れるおそれのある類似の商標であり、その指定商品も引用商標の指定商品中に包含されるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、前記の平成12年5月10日付けの取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標登録は、この取消理由により同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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