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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と「の」の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90180(T2000−90180/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4331815号商標の指定商品中「第29類 肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4331815号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年8月29日に登録出願され、「匠の技」の文字を横書きしてなり、第29類「魚肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,炊き込みご飯のもと」を指定商品として、平成11年11月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、登録第4247493号商標と外観、称呼、観念において類似の商標であり、かつ、指定商品も引用商標と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

したがって、指定商品中「第29類 肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」について、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 通知した取消理由

商標権者に対して通知した取消理由は、次のとおりである。

〈取消理由〉

異議申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その指定商も品中の「肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」についての登録は取り消されるべきであるとして引用した登録第4247493号商標(以下「引用商標」という。)は、標準文字により「匠技」の文字を横書きしてなり、平成9年8月20日に登録出願され、第29類「肉製品,加工水産物」を指定商品として、平成11年3月5日に設定の登録がなされたものである。

そこで判断するに、本件商標は、「匠の技」の文字よりなるものであり、その構成文字に相応して「タクミノワザ」と称呼され、「職人のわざ」の意を観念させるものと認められる。

他方、引用商標は、「匠技」の文字よりなるものであり、その構成文字に相応してこれを訓読みした場合「タクミワザ」及び「タクミノワザ」の称呼を生じ、「職人のわざ」の意を容易に看取させるものといえる。

そうすると、本件商標と引用商標とは共に「タクミノワザ」の称呼及び「職人のわざ、技芸に優れた人のわざ」の観念を生ずる類似する商標といわざるを得ない。

また、本件商標の指定商品中の「肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」と引用商標の指定商品「肉製品,加工水産物」とは、その生産者、取引系統、販売場所、用途等を同じくする類似する商品と認められる。

したがって、本件商標は、その指定商品中「肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由通知に対し、商標権者は次のように意見を述べた。

本件商標は「匠の技」の文字よりなり、その文字構成に相応して「タクミノワザ」と称呼され、「職人のわざ」の意を観念させるものである。

これに対して、引用商標は「匠技」の文字よりなるもので、その文字構成に相応して「ショーギ」あるいは「タクミワザ」と称呼されるものであり、これらの称呼から「職人のわざ」の意を観念させるよりも「工夫されたわざ」の意を観念させるものである。

なお、引用商標「匠技」を「タクミノワザ」と称呼しないことは、引用商標である登録4247493号商標の登録情報の書誌的事項の記載内容(乙第1号証)から明らかである。

すなわち、乙第1号証には、引用商標の称呼が記載されており、これには引用商標は「ショーギ」あるいは「タクミワザ」と称呼する旨記載されており、「タクミノワザ」と称呼する旨記載されていない。

商標の称呼において商標の構成にない文字を付加して称呼すことがないことは、例えば、「東京大学」の称呼「トウキヨウダイガク」を、本件商標の場合と同様に「の」の字を付加して「東京の大学」すなわち、「トウキョウノダイガク」と称呼した場合、全く異なる観念が生じることになる。

これらのことを勘案すると、引用商標から「夕クミノワザ」の称呼及び観念が生じることはなく、したがって、本件商標「匠の技」と引用商標「匠技」とは商標の外観、称呼、観念の何れをとっても類似するものではない。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反するものではないので、本件商標の登録を維持する旨の決定を求めるものである。

5 当審の判断

本件商標と引用商標は、前記のとおり、それぞれ「匠の技」と「匠技」の文字よりなるところ、漢字は表意文字であって、漢字の「匠」と「技」が本来有している意味合いから、両商標からはいずれも、「職人のわざ」といった同一の観念が認識されるとみるのが相当である。また、「匠技」の文字からなる引用商標に接している者が、「タクミノワザ」の称呼を聞けば、引用商標は、そのように称呼される商標なのかと直ちに認識するものと認められ、このことからすると、引用商標は「タクミノワザ」と称呼されても何ら不自然とはいえないものである。

商標権者は、引用商標(登録第4247493号商標)の登録情報の書誌的事項の記載内容(乙第1号証)を示して、引用商標から「タクミノワザ」の称呼は生じない旨主張している。しかし、引用商標より生ずる称呼が、前記の登録情報に示されているものに限定されなければならない相当の根拠はなく、前記取消理由に示したとおり、引用商標は、訓読みした場合「タクミワザ」及び「タクミノワザ」の称呼を生ずるものというべきである。

また、商標権者は、「東京大学」を「トウキヨウノダイガク」と称呼しない例を挙げるが、そのように称呼すると商標権者も認めるとおり、全く異なる観念が生じることになるからであり、引用商標がどのように称呼されるかを検討する場合に参考にすべき例ではない。

そうとすれば、本件商標と引用商標は、共通の「タクミノワザ」の称呼を生ずるといえるものであり、かつ、「職人のわざ」といった同一の観念を生じて互いに紛らわしい類似する商標といわなければならない。

また、本件商標の指定商品中、「肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品と認め得るものである。

したがって、前記の取消理由は妥当なものであって、本件商標の指定商品中「肉製品,加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」についての商標登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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