Trademark Appeal Case
「ザ」の有無と称呼の類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91278号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1.本件商標
本件登録第4278988号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年4月17日に登録出願され、「パップス」(「標準文字」による)の文字を横書きしてなり、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年6月4日に設定登録されたものである。
2.登録異議の申立ての理由
本件商標は、平成8年1月8日に登録出願され、「ザ・パップス」の文字を横書きしてなり、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年1月30日に設定登録された登録第4106920号商標(以下、「引用商標」という。)と類似する商標であり、かつ、その指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3.本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとして通知した取消理由は、つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標は、「パップス」の文字を横書きしてなり、平成10年4月17日に登録出願され、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年6月4日に設定登録されたものである。
これに対し、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用する登録第4106920号商標は、「ザ・パップス」の文字を横書きしてなり、平成8年1月8日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年1月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
しかして、引用商標は、上記に示すとおりの構成よりなるところ、その構成文字中の「ザ」の文字は、英語の定冠詞「THE」に相当するものと容易に理解されるものであって、次にくる語を強調するかのように使用されているといえるから、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、引用商標に接する取引者・需要者は、その構成中の「パップス」の文字部分に着目して、これより生ずる「パップス」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、その構成文字に相応して、「ザパップス」の
一連の称呼を生ずるほか、「パップス」の文字部分に相応して、「パップス」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
してみれば、「パップス」の称呼を生ずること明らかな本件商標と引用商標とは、「パップス」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4.商標権者の意見
(1)本件商標は、「パップス」の文字を横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品とするものである。
そして、本件商標は、その構成文字に相応して「パップス」の称呼を生じるものである。
また、「パップス」における「パップ」の文字は、商品との関係により「まめ科の一年草、パップの実を粉末にしてつくったあん法剤」又は「その薬を皮膚にはってあん法にすること」をもって「温湿布の一方法」である「パップ剤」を意味し、オランダ語で「pap」又はドイツ語で「Papp」と称し、片仮名文字で「パップ」と表わすところから、これに「ス」を付加して「パップ剤」を複数で表示したものである。
そのため、本件商標は、「複数のパップ剤」を認識させるものである。
なお、本件商標の権利者は、「パップス」の文字を「消炎鎮痛パップ剤」のパンフレット及び試供品(外用薬)に使用している。
これに対し、引用商標は、「ザ・パップス」の文字を横書きに書してなり、第5類の「パップ剤」を指定商品とするものである。
そして、引用商標は、その構成文字に相応して「ザパップス」の称呼を生じ、仮に「ザ」が定冠詞とみられることがあるとしても、このような表現にあっては一連一体と解されるべきものである。
そのため、「ザ・パップス」の文字は、「ザ」と「パップス」の間に黒丸又は黒点が介されているとしても、一連不可分の造語として認識され、商取引の場においても構成文字全体の「ザパップス」と一連に称呼されて取引されると解される。
(2)本件商標と引用商標が類似しないことについて
(a)称呼について
本件商標より生ずる「パップス」と引用商標より生ずる「ザパップス」を対比すると、両称呼は、語頭における「ザ」の音の有無により前者が4音に対し後者が5音という音構成の違いばかりでなく、印象の強い語頭音の有無によりその語調・語感が著しく異なるものとして聴取されるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼において相紛れるおそれがないものである。
(b)観念について
本件商標と引用商標の意味合いは、前記のとおりであり、前者が「複数のハップ剤」を認識させるに対し、後者が一連一体の語義を有しない造語と解されるので、観念において比較できない。
したがって、本件商標と引用商標は、観念において相紛れるおそれがないものである。
(c)外観について
本件商標と引用商標の構成態様は、前記のとおりであり、前者が4文字構成の片仮名文字であるのに対し、後者が黒丸又は黒点を介する5文字構成の片仮名文字で、その綴り字を異にするので、外観上判然と区別される。
したがって、本件商標と引用商標は、外観において相紛れるおそれがないものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼、観念及び外観の何れにおいても類似しないので、指定商品が類似するとしても、商標法第4条第1項第11号の規定に該当しないものである。
5.当審の判断
本件商標は、「パップス」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「パップス」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は「ザ」と「パップス」の文字の間に中黒を配した「ザ・パップス」の文字よりなるものであるから、これに接する取引者・需要者は、構成中の「ザ」の文字より、英語の定冠詞「THE」を容易に想起するものとみるのが相当である。
そうとすれば、引用商標よりは「ザパップス」の称呼を生ずると共に、中黒によって分断された後半部の「パップス」の文字部分に着目し、これより生ずる「パップス」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標と引用商標は「パップス」の称呼において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは互いに類似するものである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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