Trademark Appeal Case
周知商標との混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90299号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4213996号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年11月25日に登録出願、後掲(1)に表示したとおりの構成からなり、第25類「ジーンズ製の被服,ジーンズ製の履物」を指定商品として、同10年11月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立理由
本件登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当を理由にその登録の取消しを申し立てている。
3 本件商標に対する取消理由の通知
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対して意見を述べる機会を与えるための期間を指定して通知した本件商標の取消理由(平成12年5月24日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。
<取消理由(要旨)>
(1)本件商標の構成、指定商品及びその登録に至る経過については、前記1のとおりである。
(2)引用商標及びその周知性について
異議申立人の提出に係る甲第3号証(カタログ誌「男の一流品大図鑑」)及びサンケイマーケティング社昭和58年9月28日発行「舶来ブランド辞典’84ザ・ブランド」の記載によれば、次の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、巾広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立し、ポロ・ファッションズ社(以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなる各商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。後掲(2)参照)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年から同53年にかけてラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス及び婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、前出甲第3号証をはじめ、昭和53年2月16日付日本経済新聞(夕刊)の広告、(株)講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年6月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前記「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
また、この間、引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨、平成1年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同10年6月8日付朝日新聞夕刊等において屡々報道され、これら記事中においても引用商標が「ポロ」、「Polo」、「POLO」等と称されている。
以上の事実を総合判断するに、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本件商標の登録出願時において既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至ったいわゆる周知・著名な商標と認められ、その状態は現在も継続しているとみるのが相当である。
(3)商品の出所の混同のおそれについて
本件商標は、その構成後掲(1)に示すとおり図形と文字よりなるところ、構成中、右端の「JEANS」の文字部分はその指定商品又は品質を表示するに止まり、それ自体に自他商品の識別力はなく、したがって、同左側の図形及び筆記体風に表された「Polo」の文字部分をもって商品識別の機能を発揮し得るものと認められる。
しかして、図形部分は、抽象的かつシンボライズされていて、やや特異に表現されてなるとしても、ともに打球棒を持って騎乗するポロプレーヤーを描出してなる点において引用商標の図形と略同一の観念を想起し得るものであり、かつ、同右側の筆記体風の「Polo」の文字と相俟って、全体として「ポロ」(Polo)又は「ポロ(競技)プレーヤー」の称呼、観念をもって取引に資されるものといえるから、結局、本件商標は引用商標と商標において極めて相紛らわしいものといわなければならない。
そして、本件商標の指定商品(ジーンズ製の被服,ジーンズ製の履物)は、引用商標の使用に係る商品と同種商品であり、又は、ともにファッション関連商品という点において相互に密接な関係を有するものと認められる。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は前記各事情よりして、本件商標の図形部分及び「Polo」の文字部分に着目し、該部分に強く注意を惹かれるとともに、引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
また、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、甲第7号証(東京高等裁判所平成2年(行ケ)第183号)及び甲第8号証(東京地方裁判所平成8年特(わ)第1519号)の判決をはじめ、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同第289号(以上平成11年12月21日言渡)、同第288号(平成12年1月25日言渡)、同第298号、同第299号(以上平成12年2月1日言渡)、同第192号(平成12年2月29日言渡)、同第333号、同第334号(以上平成12年3月29日言渡)等の一連の判決がある。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。
(1)本件商標
(2)引用商標
4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して、所定の期間を徒過するも何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
本件商標についてした取消理由は妥当であって、本件商標は申立人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせる虞があるから、その登録は第4条第1項第15号に違反してされたものというべく、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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