Trademark Appeal Case
著名商標と出所混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−90092(T2000−90092/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4327158号商標(以下、本件商標という。)は、平成10年4月17日に登録出願され、下記(1)に表示したとおりの構成よりなり、商品の区分第14類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年10月22日設定登録されているものである。
2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1項によって取り消されるべきものである。
具体的理由
(A)申立人の使用する各引用商標の世界的な著名性について
申立人は、著名なデザイナーである「Gabrielle coco CHANEL」により創設され、香水等の化粧品の外、高級婦人服、ハンドバッグ、ベルト、靴、時計、アクセサリー等の宝飾品などのデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするトータル・ファッション・メーカーである。申立人の業務に係る商品は、いずれも「シャネルの5番」「シャネルスーツ」「シャネルバッグ」等のように称されるほどに極めて高い知名度を有しており、いずれも洗練された高品質の商品であり、申立人の長年の継続的な努力によって、世界の超一流品としての極めて高い信用が日本においても形成されているものである。
下記(1)〜(5)の引用各商標は、申立人の創業者であるデザイナー「Gabrlelle coco CHANEL」のイニシャルを図案化したものであり、下記(3)のマーク(以下、「シャネルマーク」)という。)は「シャネルマーク」と称され、上記の各商品等に使用され、申立人の商品であることを表示するものとして広く知られている。また、「シャネルマーク」が付された申立人の商品は、日本を含め世界中で超一流品としての信用が形成されており、数々その刊行物によって紹介されているものである(甲第16号証乃至甲第19号証)。特に、そのデザインは ”シンプルとエレガンス”を基本とし、機能性を重視した「シャネル・スタイル」として、時代の変遷があっても変わることのない女性ファッションのひとつとして生きていると紹介されている(甲第20号証)。そして、上記のように引用各商標である「シャネルマーク」が高い信用や名声、顧客吸引力等を持つことから、極めて遺憾なことに「シャネルマーク」の模倣・盗用事件が過去から現在にかけて全国で多発し(第21号証乃至甲第23号証)、これらの事件における横浜地裁昭和58年(ワ)386号判決(甲第24号証)及び特許庁における昭和53年商標登録願第14197号、昭和56年商標登録願第11689号、等の登録異議申立事件についての決定及び審決(第25号証乃至甲第40号証)等からして、「シャネルマーク」が著名であることについては、明白な事実であると思料する。そして、「シャネルマーク」の実際の使用態様については、その使用商品や付される部分の相違(例えばバッグの金具のように商品そのものに付している場合や、広告記事の一部に付している場合等)によって、そのマークの線の太さに若干の差異はあるものの(甲第41号証)、C字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた構成からなる図形は極めて特徴的であり、申立人の長年にわたる継続的な努力により、取引者・需要者をして「シャネルマーク」として世界的に広く認識されるに至ったものであることに何ら疑いの余地はないものである。
また、申立人が引用する下記(2)の図形よりなる商標は、その周りが1つの円で囲まれている構成であるが、前述のように、当該外側の円の有無に拘わらず、いずれも「シャネルマーク」として著名であり、申立人を表示するマークとして認識されているものである。さらに、下記(2)の図形よりなるマークは、特許庁において防護標章登録が認められているものである(甲第2号証及び甲第4号証及び甲第6号証及び甲第7号証)。
以上のことから、本件商標の出願時である1998(平成10)年4月17日にはもちろんのこと、査定時である1999(平成11)年においても、申立人の引用各商標である「シャネルマーク」は、極めて広く知られるに至っていた商標というべきである。
(B)出所混同について
最初に、本件商標権者「ジャス・インターナショナル株式会社」によって、旧第17類「被服」等、旧第21類「装身具、かばん」等、旧第22類「はき物」等、旧第23類「時計」等を指定商品として出願された本件商標とほぼ同一の各商標に対して申立人が申し立てた、商願平2‐18236号登録異議申立事件、商願平2‐18237号登録異議申立事件、商願平2‐18238号登録異議申立事件、商願平2‐18239号登録異議申立事件、商願平2‐96817号登録異議申立事件、商願平2‐96818号登録異議申立事件、商願平2‐96819号登録異議申立事件、商願平2‐96820号登録異議申立事件においては、例えば以下のような理由でその商品の出所について混同を生じさせるおそれがあると認められている(甲第30号証及び甲第37号証)。『本願商標は、C字形状の図形を背中合わせに交差させ、さらにその交差部分にV字形状の図形を逆向きに組み合わせてなるものであるところ、本願商標と引用商標(「シャネルマーク)とがC字形状の図形を背中合わせに交差させている点において共通しており、そして、引用商標が上記のとおり周知著名であるため、本願商標に接する取引者・需要者は、引用商標の著名性に引き摺られ、該共通部分に着目、印象づけられて取引にあたるとみるのが相当である。してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときには、申立人又は申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品とその出所について混同を生じさせるおそれがあるものいわざるを得ない。』(甲第32号証)。従って、上記各異議事件における商標とほぼ同一の構成からなる本件商標においても、上記異議決定における判断と同様の判断がなされるべきであり、本件商標がその指定商品に使用された場合に、同様に商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることは明らかであると思料するが、以下、申立人は改めてその理由を詳述することとする。
本件商標は、「下記(1)に表示したとおりの外観からなり、アルファベットの「C」と思しき文字と、その文字を左向きにした白抜きの文字とを左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせ、さらに逆V字状の図形を組み合わせてなる図形部分」と、その図形の下に、図形部分より小さな文字で書かれた「ANNA CIRISTINA」の文字部分とを組み合わせた構成からなる商標である。以上のような構成からなる本件商標中、図形部分は、全体の大きさの大半を占める部分であるから、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分であり、また本件商標における要部であると言える。
一方、引用各商標である「シャネルマーク」は、同じくC字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた図形のみの構成からなる商標である。
以上のことから、本件商標の要部である図形部分と引用各商標である「シャネルマーク」とを比較すると、異なる点は、逆V字状図形と組み合わさっている点のみであり、あとは引用各商標の「シャネルマーク」とほぼ同一の構成及び態様からなる図形であると言える。すなわち、C字状の文字がバランス良く交差している点、同一半径のC字状の文字から構成されている点、これら図形部分が特定の事物を表現したものとは直ちに認識されないほどに構成上顕著な特徴を持っている点など、本件商標の要部である図形部と引用各商標である「シャネルマーク」とは共通した点が多く、両者を全体として観察した場合、共に「背中合わせにしたC字状の図形」の印象を与えるものである。言い換えれば、本件商標の要部である図形部分は、著名な引用各商標である「シャネルマーク」に逆V字状図形を組合わせただけの構成にすぎず、著名な「シャネルマーク」とその構成及び態様が極めて酷似する図形であると言えるものである。また、本件商標と引用各商標は、共に「身飾品、時計」等の同一の指定商品又はその需要者・取引者を同一にするファッションに関係する商品をその指定商品とするものである。従って、引用各商標である「シャネルマーク」の世界的な著名性を考慮に入れると、上述のように、著名な「シャネルマーク」とその構成及び態様が極めて酷似する図形を含み、著名な「シャネルマーク」を容易に連想できる本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、トータル.ファッション・メーカーとして著名な申立人の業務に係る商品、またはそのシリーズ商品であるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあると言える。
(C)結び
本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、取消されるべきものである。
3 当審の取り消し理由
本件登録第4327158号商標(以下「本件商標」という。)は、下記(1)に示すとおりの構成よりなり、平成10年4月17日に登録出願され、第14類「貴金属製喫煙用具,身飾品,時計」を指定商品として、平成11年10月22日に設定登録がなされたものである。
ところで、下記(1)〜(5)に表示したしたとおりの構成よりなり、登録原簿記載のとおりの登録日及び指定商品としてなる登録第1263242号商標、登録第1318710号商標、登録第1318709号商標、登録第2071356号商標、登録第1285553号商標、登録第1314571号商標、登録第1531366号商標、登録第1727592号商標、登録第3106543号商標、登録第1806610号商標、登録第3326557号商標、登録第1811253号商標、登録第1932457号商標、登録第2051383号商標は、申立人が「化粧品,被服,カバン類,ベルト,靴,時計,宝飾品」等について使用し、いわゆる「シャネルマーク」と称され、本件商標の登録出願時には取引者、需要者の間に広く認識され、著名になっていたものと認められるものである。
そこで、本件商標と引用各商標との類否を判断するに、本件商標は、下記(1)に表示したとおりの構成よりなるものであるところ、構成中の幾何図形部分と文字部分とは常に一体不可分のものとして把握、認識されるとみるべき特段の理由が見いだせないものであるから、図形部分と文字部分とはいずれも自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当である。そして、本件商標を構成する幾何図形部分は、2個の馬蹄形の図形を逆向き状にし、そこに逆「V」字形を知恵の輪状に組み合わせた如き図形よりなるものであるのに対して、申立人の使用する引用各商標(シャネルマーク)は2個の馬蹄形の図形を逆向きにし、知恵の輪状に組み合わせた如き図形よりなるものであるから、両者は、2個の馬蹄形の図形を逆向き状にして知恵の輪状にした如き図形を基幹とする幾何図形よりなる点において構成の軌を一にするものと認められるものである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人に係る引用各商標(シャネルマーク)を想起し、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
4 上記3の当審の取消理由に対して商標権者は何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
当審では、平成12年3月29日付けで取り消し理由を通知し、期間を指定し意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何の応答もなかった。そして、上記3の取り消し理由は妥当なものと認められるから、本件商標登録は、この取り消し理由によって、取り消すものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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