Trademark Appeal Case
図案化商標の称呼認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91431号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4292991号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年7月30日登録出願され、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第20類「木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器」を指定商品として、平成11年7月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、登録第2073638号商標と称呼において類似の商標であり、かつ、指定商品も引用商標と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、登録第175840号商標は、商品「時計類」に付して永年使用され、申立人の商標として、広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 通知した取消理由
商標権者に対して通知した取消理由は、次のとおりである。
〈取消理由〉
登録異議申立人の引用に係る登録第2073638号商標(以下「引用商標」という。)は、昭和60年8月12日に登録出願され「SEIKO」の文字を横書きしてなり、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和63年8月29日に設定登録されたものである。 そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、欧文字のレタリング(図案化)が盛んに行われている昨今の実情を考慮すれば、容易に「seiko」の文字を表してなると看取し得るものである。してみれば、その構成文字に相応して「セイコー」の称呼を生ずるといわなければならない。
他方、引用商標もその構成文字に相応して「セイコー」の称呼を生ずること明らかであるから、本件商標と引用商標とは、「セイコー」の称呼を同じくする称呼上、類似の商標といわざるを得ない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に含まれると認められる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べた。
(1)本件商標は「s」及び「o」のアルファベット小文字を両端に配し、中央部に極度に図案化した「e」及び「k」の文字を表して、アルファベット4字で構成される、全体を一連にレタリングしてなる図形商標である。
これに対して登録異議申立人の引用商標は「SEIKO」の5文字を普通に用いられる方法で横書きしてなる。
本件商標の中央の部分(「e」と「o」の文字の間に表されている部分。以下「本件商標図形部分」という。)は「k」を図案化したものと把握されることはあっても、「ik」の2文字を図案化したものとは理解されず、したがって全体として「seiko」の文字とは把握されないため、登録異議申立人の申立てには理由がない。以下にその理由を詳細に述べる。
(2)本願商標の外観構成は、向かって左側の文字が「s」で、右側の文字が「o」であることは比較的容易に認識できる。しかしながら、中央部に示された図形部分はその図案化の度合いが著しく、直ちに特定のアルファベットに基づくものとは理解できない。
これらの各文字の大きさに着目すると、両端の「s」と「o」の間には、文字の横幅にして2文字分の余裕があり、2文字のアルファベットが表現されていることが予測できる。そして2文字のアルファベットを充当する場合、円の中央を水平に細線で切れ込みを入れた図形は、「e」を、本件商標図形部分は、「k」と理解されることになる。そして中央の縦棒は「k」の第1画を構成すると理解せざるを得ない。
この結果、本件商標の構成では「seko」をデフォルメしたものと考えられ、「k」のみが「s」「e」「o」とは異なり、第1画において上部に突出した文字の構造をなしていることから、これを表現するために縦棒の上に小円を配したことが理解できるのである。
そこで本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観構成は上記したとおりであるから、外観については明らかに区別できる。また、本件商標は上述のとおり著しくデフォルメしていてロゴ化の態様が著しく、特定の明確な観念が生じないため、引用商標との観念の比較はなしえない。
次に、称呼についてみるに、引用商標「SEIKO」からは「セイコー」の称呼が生じるのに対し、図形商標か、あるいは「seko」をモチーフとする図形と理解される本件商標からは、せいぜい「セコ」の称呼が生じる程度である、すると両称呼は短い称呼上において「イ」の音の有無という極めて顕著な差異を有するから明らかに識別できる。
(3)取消理由通知書によると「欧文字のレタリング(図案化)が盛んに行われている昨今の実情を考慮すれば、容易に『seiko』の文字を表してなると看取し得るものである」と認定された。また登録異議申立人も同様に、「中間の本件商標図形部分は、欧文字構成の隣接する『i』と『k』の作りを共有させ、1文字のごとく表記したものと看取されるところであり、語頭部の『se』と語尾部の『o』との綴りから見れば、全体として『seiko』の文字を表したものと容易に把握し得るものである」としている。
しかしながら、本件商標は何かの文字をモチーフに図案化がなされたとしても、それが容易に「seiko」を表してなると理解できるものではない。
審判官は本件商標から「s」、「o」及び「e」に通じる略円形の図形を除いた残余が「ik」の図案化であると認定されたようであるが、文字の横幅等の構成要素を考察すると、この残余部分は「k」1文字の図案化であるとするのが自然な解釈である。つまり「k」は左側に縦棒を、右側に右上及び左下への直線を配してなるアルファベットであって、かつ、他の文字の横幅から見て1文字分のスペースしかないため、ここにだけ「ik」が窮屈に存在するのではなく、他と同じ大きさで「k」のみが表されていると理解するのが一般的な判断である。
そして、提出に係る過去の審決例・登録例は、あらかじめ2文字分の余白があるときは、配された文字が2文字のアルファベットをレタリング化したものであることを示しているのであって、本件のように1文字分のスペースに2文字のアルファベットがレタリング化されたと理解されている例ではない。
また、「Fuji」のアルファベットをレタリング化した商標にあっては、多数の商品分類において「極めて図案化された書体の欧文字を連結させて表現したものであって、係る構成にあっては、直ちにその構成文字を判別し、判読することは困難というべきであり、これは、一種の創作的図形を表したものと認識されると見るのが相当である」と判断されている。
本件商標の場合も、「e」や「k」のレタリング部分の変形の度合いは著しく、かかる審査例からも明らかなように、本件商標のように図案化がなされた商標が「seiko」の文字を表してなると看取し得るとする異議申立人及び審判官の主張は到底承服できないものであり、本件商標は、図形商標か、あるいは「seko」をデフォルメにした商標であって、引用商標とは称呼上も類似せず明確に識別できるものである。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは外観、観念、称呼のいずれよりしても互いに相紛れることのない非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
なお、本件商標は前記したとおり引用商標とは非類似のものであり、他に両者の使用に係る商品となり得る包装用容器においてその出所の混同を生じると認めるべき特段の事情が認められないものであるから、本件商標を指定商品である包装用容器について使用しても、使用にかかる包装用容器が登録異議申立人株式会社セイコーの業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同が生じるおそれはないものといわなければならない。したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するという、登録異議申立人の主張も失当である。
よって、本件登録を維持するとの決定を求めるものである。
5 当審の判断
本件商標は、別掲に示したとおりの構成態様よりなるものであるところ、本件商標図形部分について、商標権者は、「k」をデフォルメしたものと考えられる旨述べているが、商標権者も認めているとおり、左端及び右端の文字、さらに第2文字目の文字が、それぞれ「s」「o」「e」であることは極めて容易に見分けられるといえるものである。そうすると、本件商標に接する者は、全体の文字が欧文字よりなるものと理解認識するとみるのが相当であって、「e」の後の文字は上部に黒丸が配されているところから、「i」の文字と認識し、続く平仮名の「く」の如き形の欧文字は見あたらないものであるから、「i」の次の文字は、「i」の文字と縦棒の部分が共有された「k」の文字であると認識するとみるのが自然である。
してみると、本件商標に接する者は、文字の横幅に注意を払うというより、各欧文字の特徴を捉えて、全体の綴り字は「seiko」であると理解認識すると認められる。
そうとすれば、本件商標は、「seiko」の文字を表すものと理解認識され、「セイコー」と称呼されるものであり、他方、引用商標もその構成文字に相応して「セイコー」と称呼されることは明らかであるから、両商標は、「セイコー」の称呼を同じくするものであり、互いに紛らわしく、類似する商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品である「ワイヤーロープ、網類(運動具に属するものを除く)包装用容器(但し、皮革製包装用容器、紙製包装用容器、包装用容器のせん、包装用容器のふたを除く)」に含まれる商品と認められる。
したがって、前記取消理由は妥当なものであって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その商標登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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