Trademark Appeal Case
引用商標の周知性継続の有無
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91461号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4293679号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年9月3日に登録出願され、「VICTORY」の文字を横書きしてなり、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成11年7月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、商標権者とは他人の関係にある有限会社コア・プロジェクトの業務に係る商品「ウエットスーツ」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、需要者の間に広く知られた商標「VICTORY」、「Victory」又は「victory」と類似する商標であって、その商品「ウエットスーツ」に類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 通知した取消理由
商標権者に対して通知した取消理由は、次のとおりである。
〈取消理由〉
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が提出した甲第1号証ないし甲第66号証を総合すれば、申立人の引用に係る「VICTORY」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、1980年頃より株式会社ビクトリ一が商品「ウエットスーツ」に使用し(その後、有限会社コア・プロジェクトなどが使用)、宣伝広告も行った結果、需要者の間に広く認識されるに至ったものと認められる。
そして、本件商標と引用商標とは全く同じ綴り字よりなるものであって、本件商標の指定商品と上記の「ウェットスーツ」とは取引系統、需要者などを共通にする類似の商品といえるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといわざるをえない。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べた。
(1)過去に、株式会社ビクトリーや有限会社コア・プロジェクトが商品「ウェットスーツ」に商標「VICTORY」を使用していたことは認める。 しかし、本件審判の合議体が採用したと考えられる異議申立書の申立ての理由(4)に記載の「これらの一切の事業を承継した有限会社コア・プロジェクトより引用商標を付したウェットスーツが市場に提供されている(甲第64号証)。」との記載を認めることはできない。
すなわち、前記表現では、現在も継続して「VICTORY」商標のウェットスーツを有限会社コア・プロジェクトが販売されているかのような印象を受けるが、事実は決してそうではない。
(2)そこで、権利者は、乙第1号証ないし乙第3号証を提出する。
乙第1号証は、平成11年5月1日株式会社マリン企画発行の「月刊サーフィンライフ1999−5」であるが、ここに掲載された有限会社コア・プロジェクトの広告からは「VICTORY」商標が使用されているとの事実は一切窺い知ることができない。
乙第2号証の平成11年11月1日株式会社マリン企画発行の「月刊サーフィンライフ1999−11」及び乙第3号証の平成12年5月1日株式会社マリン企画発行の「月刊サーフィンライフ2000−5」を見ても、同様に、掲載された有限会社コア・プロジェクトの広告からは「VICTORY」商標が使用されているとの事実は窺い知ることがでない。
以上から明らかなように、現在、有限会社コア・プロジェクトは「VICTORY」商標のウェットスーツを販売していない。
(3)以上の事実を踏まえ、再度申立人が異議申立書に添付した資料を見てみると、申立人が有限会社コア・プロジェクトが現在も「VICTORY」商標を使用している根拠とした甲第64号証は、1996(平成8)年2月7日と4年前の資料である。
また、それ以外の雑誌やカタログのコピーを見てみても、発行年月日を示す資料がほとんどなく、手書きで「94年5月」等と書かれているだけであり、これらの資料が存在したことを否定するものではないが、発行年月日に関する信憑性は非常に薄いものである。
ましてや、有限会社コア・プロジェクトが現在も「VICTO RY」商標を使用している事実の証明は全くない。
(4)本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するかどうかの判断をするのは、本件商標の登録の査定時あるいは異議申立ての決定時である。
以上述べたように、有限会社コア・プロジェクトは現在「VICTORY」商標を使用していない。
さらに、本件商標の指定商品は、「ウエットスーツ」ではなく、「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であるから、なおさら、第4条第1項第10号に該当することはないものである。
以上のとおり、本件商標の登録は維持する、との決定を求めるものである。
5 当審の判断
申立人が提出の甲第1号証ないし同第65号証を総合すると、「VICTORY」の文字よりなる引用商標は、1980年頃より株式会社ビクトリ一が商品「ウエットスーツ」に使用し(その後、有限会社コア・プロジェクトなどが使用)、宣伝広告も行った結果、本件商標の登録出願の時に既に需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は本件商標について登録査定がなされた、平成11年6月7日においても継続してたものとみることができる。なお、甲第57号証(「POPEYE」1990年5月16日号)に「VICTORY」の文字を大きく表したウエットスーツの写真と共に「最も間違いのないウエットスーツといえば、ビクトリー。ブランドステイタス度も抜群に高いのだ。」との紹介記事が掲載されている。 そして、本件商標は、前記に示したとおり「VICTORY」の文字よりなるものであって、引用商標とは構成文字を同一にするものであり、また、「ビクトリー」の称呼及び「勝利」の観念を同じくし、類似する商標といえるものである。
また、本件商標の指定商品「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」と引用商標が使用されている商品「ウエットスーツ」とは、取引系統、販売店及び需要者の範囲などにおいて共通することの多い類似の商品と認められる。
ところで、商標権者は、有限会社コア・プロジェクトは、現在、「VICTORY」商標のウエットスーツを販売していない旨主張している。
しかし、申立人が提出の甲第31号証及び甲第32号証は、それぞれ1997年(平成9年)及び1998年(平成10年)の有限会社コア・プロジェクトの商品カタログであって「VICTORY」商標を使用した各種のウエットスーツが掲載されている事実が認められる。
そして、本件商標について登録査定がなされたのは平成11年6月7日であり、甲第31号証及び甲第32号証の商品カタログが頒布されたと考えられる時期と1、2年しか離れていないから、有限会社コア・プロジェクトが商品「ウエットスーツ」に使用の商標「VICTORY」は、本件商標について登録査定がなされた時点においても、それ以前と変わらず需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであって、前記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標登録は、この取消理由により同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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