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Trademark Appeal Case

HEAD SPEEDの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91185号
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4272691号商標の指定商品中「ゴルフクラブ及びその部品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件登録第4272691号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字により「HEAD SPEED」の文字を横書きしてなり(標準文字による商標)、平成10年2月19日に登録出願され、第28類「運動用具」を指定商品として、平成11年5月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、その指定商品中「ヘッドスピードを考慮したゴルフクラブ、ゴルフボ−ル」について使用するときは、商品の品質、形状、構造などを表すにすぎず何人の業務に係るものであるかを認識することができないものであり、前記商品以外の「ゴルフクラブ、ゴルフボール」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

また、昭和42年5月29日に登録出願され、「HEAD」の文字を横書きしてなり、第24類「スキー用具、その他本類に属する商品(ただし、マネキン人形、洋服飾り型、及びその類似商品を除く)」を指定商品として、昭和49年6月10日に設定登録されている登録第1070887号商標及び昭和48年3月26日に登録出願され、「HEAD」の文字を横書きしてなり、第24類「スキー専用特殊ズボン、スキー用アノラツク、スキー用ヘルメツト、その他本類に属する商品、ただしマネキン人形、洋服飾り型類を除く」を指定商品として、昭和58年5月26日に設定登録されている登録第1590417号商標(以下これらを合わせて「引用商標」という。)は、申立人のハウスマークとしてその業務に係る商品「スキー用具、テニス用具及びゴルフ用品」等を表示するものとして需要者間に広く認識され著名となっているところ、本件商標は、引用商標と類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであり、本件商標をその指定商品について使用した場合、申立人の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する。

したがって、本件商標は、その登録を取り消されるべきものである。

3 取消理由

申立人より提出された証拠によれば、「ヘッドスピード/headspeed」とは、ゴルフ用語(申立人 美津濃株式会社の甲第2号証)として「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度」とあり、その説明によれば「ボールの初速に大きく影響するため、適正なクラブを選ぶ際の基準の一つとして使われる。」と記載されている。そして、ゴルフクラブのメーカーでは、ゴルフクラブのシャフトを長くしたり、ヘッドを軽量化したり、大型化して、高いヘッドスピードが得られる(結果として飛距離のアップにつながる)ゴルフクラブを開発し、販売していることが認められる。

しかして、本件商標は、前記したとおり「HEAD SPEED」の文字を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中「ゴルフクラブ及びその部品」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「ヘッドスピードが高まるように設計されたゴルフクラブ」即ち、その商品の品質、形状又は用途を表示するための語として認識するに止まり、商標としての機能を有しないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、その指定商品中の上記の商品については、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

本件商標は、「HEAD SPEED」と表記してなるものであり、これより「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度」の意味合いが抽出されることがあったとしても、これに接する取引者・需要者は、「ヘッドスピードが高まるように設計されたゴルフクラブ」即ち、その商品の品質、形状又は用途表示するための語として認識するに止まるのか理解し難く、また、これを認めることはできない。

権利者の理解によれば、「HAED SPEED」に接すれば、「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度」を認識することがあったとしても、「ヘッドスピードが高まる」ことを認識させるためには、例えば「HEAD SPEED UP」というような表記をするのが一般的であり、単に「HEAD SPEED」のみの表記をすることはない。また、これが「適正なクラブを選ぶ際の基準の一つとして使われる。」とすれば、例えば「HEAD SPEED 40m/s」のような表記をするものであって、単に「HEAD SPEED」のみの表記をすることはない。

権利者は、その製造、販売する「ゴルフクラブ」あるいは「ゴルフボール」に、「Head Speed」あるいは「HEAD SPEED」を使用し、現在でも使用を継続している。

その間、権利者は、コモンズ株式会社に依頼して、マスメディア(新聞、雑誌)を通じて本件商標を使用して商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール」に関する宣伝・広告をした。広告を掲載した新聞は、例えば、「日刊スポーツ」、「夕刊フジ」及び「サンケイスポーツ」等であり、それぞれに多数回広告した。雑誌は、「週間ゴルフダイジェスト」、「週間パーゴルフ」、「ゴルフトゥデイ」及び「アルバトロスビュー」などの有名誌である。

更に、コモンズ株式会社に依頼して、本件商標を使用した、商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール」に関する製品カタログを作成し、全国の商取引者及び需要者に対して継続的に配布している。

このような権利者の永年の営業努力と宣伝活動と商品そのものの高品質性とが相俟って、本件商標の使用態様である「Head Speed」あるいは「HEAD SPEED」は、権利者の業務に係る商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール」の商標として商取引者はもとより需要者間で広く認識され、全国的に周知・著名となるに至っている。

以上、本件商標は登録要件を十分に満たしているものである。

5 当審の判断

異議申立人美津濃株式会社の提出した「最新版ゴルフ用品用語辞典」(甲第2号証)によれば、「ヘッドスピード」、「head speed」とは、「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度。ボールの初速に大きく影響するため、適正なクラブを選ぶ際の基準の1つとして使われる。...」と記載されており、そして、ゴルフクラブのメーカーでは、ゴルフクラブのシャフトを長くしたり、ヘッドを軽量化したり、大型化して、高いヘッドスピードが得られる(結果として飛距離のアップにつながる)ゴルフクラブを開発し、販売していることが上記異議申立人の提出に係る「’99年ゴルフ用品総合カタログ」(甲第3号証)によって認められる。

また、異議申立人ブリ除ヂストンスポーツ株式会社の提出したヨネックス株式会社の「Golf Catalog 1999」(甲第3号証)には、「Clubs Data」、「Shaft Data」、「Woods Data」、「Iron Data」、「Ladies Data」のそれぞれにおいて、最適ヘッドスピードのゴルフクラブが掲載されていることが認められ、「1999 GOLF CATALOG MacGregor」(同甲第5号証)のCLUB SELECT GUIDEには、「プレイスタイルやヘッドスピードで最適なクラブをお選び下さい。」と記載され、「DRIVER」、「IRON」のそれぞれについて「モデル名」、「ヘッドスピード(シャフトタイプ)」の表示の一覧表により、クラブに適したヘッドスピードが表示されていることが認められ、ブリヂストン株式会社の「GOLF GEAR CATALOGUE1999.1」(同甲第8号証)には、ハードヒッター(ヘッドスピードが45m/sec以上の方に最適なクラブ)、セミハードヒッター(ヘッドスピードが40〜45m/sec位の方に最適なクラブ)、スタンダード(ヘッドスピードが35〜42m/sec位の方に最適なクラブ)、スウィンガー(ヘッドスピードが35m/sec以下の方に最適なクラブ)と表示し、シニア男子、アマチュア男子、男子プロ、プロハードヒッターと区分してそれぞれに適したゴルフクラブのモデル名が掲載されている。

以上の記載事実を総合すると、「HEAD SPEED」とは、「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度」を意味するゴルフ用語であり、ボールの初速に大きく影響するため、適正なクラブを選ぶ際の基準の1つとして使われており、また、ゴルファーのヘッドスピードに合わせた「ゴルフクラブ」が製造されていて、ゴルファーが自己のヘッドスピードに最適の「ゴルフクラブ」を選択することができるように取り扱われ、販売されているところであり、ゴルフ用具を取り扱う業界において、普通に使用されていると認められる。

そうすると、本件商標「HEAD SPEED」をその指定商品中「ゴルフクラブ及びその部品」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品がゴルファーのヘッドスピードに合わせて製造されたものと理解認識するに止まると認められるから、本件商標は、商品の品質、機能を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。

なお、商標権者は、本件商標を「ゴルフクラブ,ゴルフボール」について使用し、取引者、需要者の間に広く認識されていると主張しているが、本件商標が自他商品の識別標識としての機能を果たさないものであること前示のとおりであり、提出された証拠のみによっては、商標権者に係るものとして、取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

また、本件商標は、「ゴルフクラブ及びその部品」以外の商品について使用しても、「HEAD SPEED」の語が、商品の品質、用途などを表示するものとして普通に用いられている事実は見出せないものであるから、十分に自他商品の識別標識としての機能を果たすものであり、何人の業務に係るものであるかを認識できないものとすることはできず、さらに、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものというべきであるるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものとすることはできない。

さらに、本件商標は、「HEAD SPEED」の語よりなるものであり、該構成文字に相応して「ヘッドスピード」の称呼を生じ、「クラブヘッドがボールをヒットする瞬間のスピード」、「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度」の観念を生ずるものである。

これに対して、引用商標は、「HEAD」の文字よりなるものであり、該構成文字に相応して「ヘッド」の称呼及び「頭、頭部」の観念を生ずるものである。

なお、申立人は、本件商標構成中の「HEAD」の文字部分が独立して認識され、該文字部分に相応して「ヘッド」の称呼を生ずるとした上で、引用商標と類似すると主張しているが、本件商標は、「インパクト時点、またはその直前のクラブヘッドの速度」を意味するものとして用いられ、一般のゴルフ愛好者等に知られ、親しまれている語であり、該構成中の「HEAD」の文字部分が独立して認識されるとみることはできないものといわざるを得ず、この点についての申立人の主張は採用できない。

してみれば、本件商標と引用商標とはそれぞれより生ずる称呼及び観念において類似するものとすることはできない。

また、本件商標と引用商標とは、前記のとおりの構成よりなるものであり、その外観において類似するものとすることはできない。

そうとすれば、引用商標が「スキー用具、テニス用具及びゴルフ用品」等を表示するものとして広く需要者の間に認識されていることを考慮しても、本件商標が前記特定の観念を有する一連不可分の語として認識されるものであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、引用商標を含むものとは認識されず、また、引用商標を連想、想起せず、申立人又は申立人と経済的、組織的に何等かの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとすることはできない。

したがって、本件商標登録は、その指定商品中「ゴルフクラブ及びその部品」について、前記平成12年4月25日付けの取消理由は妥当なものと認められるので、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

また、本件商標は、前記商品以外の登録異議の申立てに係る指定商品については、商標法第3条第1項第3号、同第6号、同法第4条第1項第11号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものとすることはできないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その指定商品中の「ゴルフクラブ及びその部品」以外の商品についての登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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