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Trademark Appeal Case

地名商標の品質誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91368号
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4287735号商標の指定商品中「パリ製以外のせっけん類・香料類・化粧品・かつら装着用接着剤・つけずめ・つけまつ毛・つけまつ毛用接着剤・歯磨き・家庭用帯電防止剤・家庭用脱脂剤・さび除去剤・染み抜きベンジン・洗濯用漂白剤・洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのり・つや出し剤・研磨紙・研磨布・研磨用砂・人造軽石・つや出し紙・つや出し布・靴クリーム・靴墨・塗料用剥離剤」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4287735号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年11月25日に登録出願され、別記に示すとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成11年6月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

本件商標は、フランスの首都「PARIS」をフェッテ・ゴーディッシュ体と思しき書体で中央に大きく表してなる構成からなるものであり、その構成から要部が「PARIS」と容易に認識されるものである。また、「PARIS」と言えば、フランスの首都として、高級香水、その他の化粧品の本場としても世界的によく知られ、我が国においてもその地で生産された香水等の商品が輸入され販売されているのが実情であるから、かかる構成からなる本件商標をパリ製以外の商品に使用するときは、該商品が恰もパリ製の商品であるかの如く需要者に商品の品質について誤認混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 取消理由

登録異議の申立てがあった結果、商標権者に通知した取消理由は、つぎのとおりである。

本件商標は、フランスの首都である「PARIS」と容易に認められる文字を中央に顕著に表示してなるものであるから、本件商標をその指定商品中パリ製以外の商品について使用するときは、それに接する取引者・需要者は、その商品がパリ製の商品であるかの如く商品の品質について誤認を生ずるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、その指定商品中パリ製以外の商品の商品について、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

本件商標は二重の楕円輪郭を配し、内側の楕円輪郭内には、太字でフェッテ・ゴーディシュ体と思しき「PARIS」の欧文字を大きく表し、その下に「accessories for men」の欧文字を横書きにしてなり、外側の楕円輪郭と内側の楕円輪郭の間には「Massachusetts・New York・Los Angeles・Chicago・DallasEstablished 1887」の各文字を配し、これらの文字並びに図形全体が一体となって1のラベル的な標識を構成するものである。

そして、本件商標は、中央に「PARIS」の文字を書してなるものの、需要者の通常有する注意力をもってすれば、この文字部分のみならず、「PARIS」の文字部分よりも我が国需要者に親しまれた書体で周囲に表される「Massachusetts・New York・Los Angeles・Chicago・Dallas」の地名にあっても充分に地名を表示した部分と理解されるものである。

又、一定の商標が、商品の品質の誤認を生じさせるような構成を有するか否かは、商標を全体的に観察して判断すべきものであり、商品の品質の誤認を生じさせる原因となっている部分が要部であるか否かは問題とされるべきではなく、「PARIS」の文字が他の地名よりも顕著に表されているとしても、これをもって周囲の地名を排して判断すべきものではない。

そうすると、本件商標に接する需要者は、本件商標を1つのラベル的な標識として認識するものの、これを構成する各文字部分から「PARIS」に起源又は本店を有し、アメリカ各地に支店を持つ、男性用装飾品を製造・販売する者の業務に係る商品であることを間接的に理解・把握するものであり、単に「PARIS」の文字部分のみを分離して、「商品がパリ製である」と商品の品質について誤認をするものとは到底考えられない。

又、商標の品質保証機能とは、需要者が同じ商標を付した商品は同じ品質性能を有するものであるとの期待をもつことによるものであり、需要者にとってはどの商品がどの製造業者により製造され販売されているか、あるいはこれらのものの工場・店舗がどこにあるか等についてはどうでもよく、どの商品がいかなる品質・性能を有するかの方が重大なる関心事である。

しかも、近時、国際商取引が盛んになり、欧米諸国の様々な商標の商標権者が我が国の製造業者・販売業者にライセンス契約をし、我が国でその商標権者のノウハウを用いて商品が製造されるケースも少なくないことからすれば、需要者にとって商品が、その商品の本場であるフランス等の外国で培われたノウハウを用いて製造されたものであれば、実際の製造場所はどこであってもさほど問題とはならないものである。

そうとすれば、本件商標は、構成中に「PARIS」の文字を有するものの、構成全体をもって、1つのラベル的な標識として認識されるものであり、しかも「PARIS」の文字以外の「Massachusetts・NewYork・Los Angeles・Chicago・Dallas」の地名等の文字にあっても充分に販売地等を表示した部分と理解されるものであり、従って、本件商標は「PARIS」の文字部分のみが商品の製造地を表示するものと認識されるものではなく、これら著名な都市名を明記してなる構成から、せいぜい商品が国際的に通用する男性用装飾品であることを間接的に表示するに止まるものである。

而して、本件商標は商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものではなく、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものではない

5 当審の判断

本件商標は、別記に示すとおりの構成より、該構成は、二重の楕円の間に“1887年に設立”を意味する「Established 1887」の文字と支店地、関連の地名等を看取させる「Massachusetts・NewYork・Los Angeles・Chicago・Dallas」の文字に付加的な図形を加え、中央部にフランスの首都「PARIS」をフェッテ・コーディシュ体と思しき書体で書し、その下に ”男のためのアクセサリー(補助するもの、携帯品)”程の意味合いを有し、”男性用品”であることを看取させるにとどまる「accessories for men」の文字を書してなるところ、これに接する者は「PARIS」の文字部分が顕著に表されてなるものであることから、当該商品が「パリ製、パリ製の商品と同品質の商品」であると把握、認識するに止まるものと判断するのを相当とする。

したがって、本件商標をその指定商品中「パリ製以外のせっけん類・香料類・化粧品・かつら装着用接着剤・つけづめ・つけまつ毛・つけまつ毛用接着剤・歯磨き・家庭用帯電防止剤・家庭用脱脂剤・さび除去剤・染み抜きベンジン・洗濯用漂白剤・洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのり・つや出し剤・研磨紙・研磨布・研磨用砂・人造軽石・つや出し紙・つや出し布・靴クリーム・靴墨・塗料用剥離剤」について使用した場合、該商品が「パリ製の商品」であるかの如く、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。したがって、本件商標は、その指定商品中前記商品については、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

なお、商標権者は、本件商標と同一の商標及び外国の地名を含む商標が多数登録されている旨述べているが、パリ製であると認識させるものであること前示のとおりであるから、本件商標と同一の商標が登録されていることをもって商品の品質について誤認を生じさせるおそれがないものとすることはできない。

さらに、商標構成中に外国の地名が含まれているような場合、当該表示されている外国の地名と何ら関係のない商標権者が外国の地名を使用することは、当該外国の地で製造、販売などされた商品、又は、当該外国製の商品と同一の品質の商品であるかの如く認識させるものであると判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、その指定商品中「パリ製以外のせっけん類・香料類・化粧品・かつら装着用接着剤・つけづめ・つけまつ毛・つけまつ毛用接着剤・歯磨き・家庭用帯電防止剤・家庭用脱脂剤・さび除去剤・染み抜きベンジン・洗濯用漂白剤・洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのり・つや出し剤・研磨紙・研磨布・研磨用砂・人造軽石・つや出し紙・つや出し布・靴クリーム・靴墨・塗料用剥離剤」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものとし、その余の指定商品については、取り消すべき理由がないから、同第4項の規定により登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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