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Trademark Appeal Case

BALANCING JELの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91664号
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4309717号商標の指定商品中「化粧品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4309717号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年2月16日に登録出願され、「BALANCING JEL」の文字と「バランシングジェル」の文字を上下2段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として平成11年8月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 通知した取消理由

本件商標は、その指定商品中「化粧品」についての登録を取り消すべきものと認められるとして、商標権者に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

〈取消理由〉

登録異議申立人は、本件商標はその指定商品の効能、用途、品質を表示するにすぎず自他商品の識別標識としての機能を有しないものであって、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきであると申し立てている。

そこで判断するに、本件商標は、前記のとおりの文字よりなるところ、化粧品を取り扱う業界においては「ゼリー状の商品」を表示するための語として「ジェル」「ジェリー」「GEL」等の語が普通に使用されており、さらに、登録異議申立人の提出に係る甲第2号証によれば、「うるおいとサラサラの両方の機能(効能)を有するゼリー状の化粧品」を表示するための語として「バランシングジェル/BalancingGel」の文字を使用している事実があることが認められる。

しかして、本件商標は、「BALANCING JEL/バランシングジェル」の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものであるから、これを本件商標の指定商品中の「化粧品」について使用した場合、該商品が「うるおいとサラサラの機能をバランスよく有するゼリー状の化粧品」であることを取引者・需要者に認識させるにとどまり、すなわち、その商品の効能、用途、品質等を表示したにすぎず自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。

また、本件商標を「うるおいとサラサラの機能をバランスよく有するゼリー状の化粧品」以外の「化粧品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見(要旨)

(1)本件商標の構成中の「JEL」「ジェル」の文字が「ゼリー状の商品」を表示するものであることは認めるとしても、この「JEL」「ジェル」という文字の前に結合された「BALANCING」「バランシング」の文字は「バランスをとる、釣り合いを保たせる」等の語義の英語に通ずるものであり、「何かの釣り合いをとる」という意味合いを暗示するものではあるが、この「BALANCING」「バランシング」の文字からだけでは、皮膚の水分量のバランスをとるのか、それとも脂分量の適性なバランスを図るのか、あるいはバランスのとれた体型を作るための商品なのか等、商品「化粧品」との関係においてさまざまな意味合いを暗示させるものであって、審判官の言うような「うるおいとサラサラの両方の機能(効能)を有する」といった特定の観念を有する成語として一般に認識されているものではない。 さらに、指定商品を取り扱う化粧品業界においても、「うるおいの機能(効能)」と「サラサラの機能(効能)」は相反する機能であり、また、「BALANCING」「バランシング」の文字が「うるおいとサラサラの機能をバランスよく有する」という商品の特定の品質を表すものとして普通に使用されている事実はない。確かに、登録異議申立人の提出した甲第2号証のコーセーコスメニエンス株式会社の商品提案書には、「Balanclng Gel」あるいは「バランシングジェル」の文字が記載されているが、これは、あくまでも同社が「うるおい&サラサラ」という品質を特徴とする商品について独自に採択し、使用を試みたものにすぎず、これのみをもって、「BALANCING JEL」「バランシングジェル」の文字が市場において一般に使用され、また「うるおいとサラサラの機能をバランスよく有するゼリー状の化粧品」という商品の特定の効能、用途、品質等を認識させるとするのは早計である。

上述のとおり、本件商標は、「BALANCING JEL」の欧文字と「バランシングジェル」の片仮名文字とをそれぞれ同書・同大にまとまりよく一体不可分に表示してなる造語商標であり、具体的に特定の観念を表す成語ではないことが明らかである。したがって、本件商標は指定商品「化粧品」に使用したとしても十分に自他商品の識別機能を有するものであり、商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。

(3)これらのことは、過去の審決例において、多くの審決が、商標が商品の品質表示に該当するというためには、そうした事実が現実に存在しなければならないとしている。また、裁判所においても、「商標が商品の品質、効能、形状等を表示する標章のみからなり、需要者において、その商品が何人かの業務にかかるものであるかを認識できないため、その商標登録を受けることができないとされる場合の品質、効能、形状というのは、需要者の社会通念上その商品が一般にもっている共有の品質、効能、形状等をいうものと解すべきである。」(昭和40年4月27日東高民六判 昭39年(行ケ)第138号判決)と判示されていることからも容易に理解されるところである。

さらにまた、商品の品質表示とは、直接的または具体的にその商品の中身を説明する表示と認識されるものでなければならず、商品の品質を間接的に暗示させるにすぎないものを商品の品質表示であるとして自他商品の識別力の判断の基準とすべきものでないことは、特許庁商標課編纂の「商標審査基準〔改訂第6版〕」の「商標法第3条第1項第3号」の項に記載されているところである。

(4)特許庁の審査実務においても、これらの審決例、判例ならびに審査基準に沿った実務が行われていると思われる。また、登録例においても、「BALANCING」あるいは「バランシング」の文字を含む商標が多数登録されている。

(5)以上述べたように、「BALANCING JEL」「バランシングジェル」の文字を一体に書してなる本件商標は、商品の品質を直接的または具体的に表示することのない造語よりなるものであり、また、この構成文字が商品の品質を表示するものとして普通に使用されている事実もないことから、これをその指定商品「化粧品」に使用しても自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものであり、かつ商品の品質について誤認を生ずるものではないことは明らかである。

上述のとおり、本件商標は、商標としての自他商品の識別力を有し、商 標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号には該当しないものである。

5 当審の判断

本件商標は、前記のとおり「BALANCING JEL」及び「バランシングジェル」の文字を表してなるところ、構成中の「BALANCING」「バランシング」は、「バランスをとる、釣り合いを保たせる」を意味と理解される平易な英語とその片仮名表記であり、また、「ジェル」の文字は、化粧品業界においては「ゼリー状の商品」を表す語としてしばしば使用されている。そして、化粧品については、肌の水分や皮脂をバランス良く整える効能を有する商品があり、その効能をうたって宣伝販売されていることは顕著な事実といえる。加えて、登録異議申立人の提出に係る甲第2号証によれば、現実に、化粧品を製造・販売する企業によって、新製品のカタログで「日中の皮脂のテカリ・カサつき・ベタつきを同時に解決し、サラサラ・すべすべな素肌へ」すなわち、「肌質を改善するための化粧品」(医薬部外品)を紹介するための語として、「Balancing Gel」及び「バランシングジェル」の文字表記が使用されている事実が認められる。

そうすると、前記した文字よりなる本件商標を化粧品に使用した場合、需要者は、これを「肌の水分や皮脂をバランス良く整える化粧品であってゼリー状(ゲル状)のもの」との意味を端的に表した文字と直ちに理解し、商品を識別するための商標としては認識できないものとみるのが相当である。

そして、このように需要者に理解される本件商標は、化粧品についてその品質(商品の効能、用途、形状を含む広い意味での品質)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきであり、自他商品の識別機能がないものである。

ところで、商標権者は、審決例を示して、「多くの審決が、商標が商品の品質表示に該当するというためには、そうした事実が現実に存在しなければならないとしている。」と述べ、また、判決(昭和40年4月27日東高民六判 昭39年(行ケ)第138号判決)及び「商標審査基準〔改訂第6版〕」の「商標法第3条第1項第3号」の項の記載を示している。

しかし、前記判決及び商標審査基準には、「商標が商品の品質表示に該当するというためには、そうした事実が現実に存在しなければならない。」との見解は示されていないと認められる。また、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」と判示した判決(平成12年9月4日東京高等裁判所平成12年(行ケ)第76号)及び「GEORGIA」なる商標がコーヒー、コーヒー飲料等について、産地又は販売地を表示する商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当するとした判決(昭和61年1月23日最高裁判所昭和60年(行ツ)第68号)に照らしても、「商標が商品の品質表示に該当するというためには、そうした事実が現実に存在しなければならない。」との商標権者の見解は採用できない。

したがって、前記取消理由は妥当なものであるから、本件商標登録は、その指定商品中「化粧品」についての商標登録を、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

次に、本件商標は、これを「化粧品」以外の指定商品について使用した場合、その商品の品質表示等として認識されるものとは認められず、また、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものともいえない。

したがって、本件商標登録は、「化粧品」以外の指定商品については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その商標登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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