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Trademark Appeal Case

著名略称の引用と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91621号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4306473号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4306473号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年1月28日に登録出願され、「日本情報信託協会」の文字を横書きしてなり、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、平成11年8月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、「社団法人信託協会」の著名な略称を含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。

また、本件商標は、公正な取引秩序を乱すおそれがあるものであり、この著名な引用商標と類似する商標であるから、本件商標をその指定役務に使用された場合には、申立人の役務と出所の混同を生ずるおそれがある。さらに、本件商標は、その構成中に「信託」の文字を有するから役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、かつ、不正の利益を得る目的をもって使用するものと認められるから、商標法第4条第1項第7号、同第15号、同第16号及び同第19号に該当する。

したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由

本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第4条第1項第8号に該当するものとして商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。

(取消理由)

本件商標は、「日本情報信託協会」の文字よりなるものである。

ところで、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば、申立人中「社団法人信託協会」は、大正8年2月に「信託会社協会」として発足し、大正12年1月の信託法・信託業法施行とともに名称を「信託協会」と改称し、その後、大正15年1月に大蔵大臣の認可を得て「社団法人信託協会」となり、平成11年現在で信託業務を営む金融機関52社が加盟している協会であることが認められる。

しかして、「社団法人信託協会」は、信託制度の発達を図り公共の利益を増進することを目的とした事業を長年にわたって営んでおり、同協会を「信託協会」と略称し著名性を獲得していることが認められる。

してみれば、本件商標に係る指定役務が、金融、保険及び不動産の取引に関連する役務であって、上記申立人の業務と直接あるいは間接的に関係を有する業務に係る役務である点を考慮すると、「日本情報信託協会」の文字からなる本件商標は、取引者、需要者をして「信託協会」の文字部分に着目され、これが上記申立人の名称の略称と認識されることも多いものというべきである。

したがって、本件商標は、上記申立人の名称の著名な略称を含む商標であり、しかも、同人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものといわなければならない。

4 商標権者の意見

商標権者は、上記3の取消理由通知に対して、要旨次のように意見を述べた。

(1)本願商標は漢字「日本情報信託協会」の文字を横書きして一連に構成することにより、「日本情報信託協会」の文字を各々分離することなしに一体不可分の関係として文字通り「経済的な価値ある情報を信用して委託する協会」を意味する特定の観念を有する造語を形成したものである。信託の語は「信用して委託する」との意味であり、信託の文字は日本国憲法の前文にも書かれているように「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、」と使われているように、誰でもが使用できる語句である。

従って、本件商標は「日本情報」「信託協会」ではなく、「日本」「情報信託」、即ち「情報を信用して委託する」「協会」の意である。

出願人は「情報」を新しい概念の商品として、平成4年当時一般的ではなかった「情報流通」なる商標を創作し、一貫して経済的価値ある「情報」を金銭に換えて(乙第1号証及び乙第2号証)「流通」させる事業を展開してきたものである(乙第3号証)。そして、平成4年3月より、「情報流通」なる商標をはじめとして情報関連の商標を、商品区分第16、26、35、36、37、38、42類に出願し、出願人は「情報」に経済的価値を見出し、「情報を証券」化し、「情報を為替」に組み、「情報の株主」を募集し、「情報を信託」し、「情報を投資」し、「情報に利息」を付け、「情報に配当」を付け、「情報に債権債務」を発生させ、「情報を運用」し、「情報を証書」に作成し、「情報をマネージメント」する「日本情報協会」(乙第4号証、5号証)の設立、日本情報信託協会の設立を準備中であり、そして上記それぞれの名称を商標として各類に出願し、登録した。

(2)本願商標「日本情報信託協会」は、文字通り「経済的な価値のある情報を信用して委託する協会」であって、信託業法第3条に定める、商号中に信託協会の文字を使用するものでもなく、信託業法第4条、第5条に定める業務を行うものでもない(乙第78号証)として、既に特許庁において、第16、36、38類に「日本情報信託協会」は登録されている。

(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当せず、商標法第43条の2第1項に該当しないものであるので、本件商標の登録は維持されるべきである。

5 当審の判断

本件商標は、前記したとおり「日本情報信託協会」の文字よりなるものであるところ、商標権者は、上記4の意見書において、本件商標は「日本情報」「信託協会」ではなく、「日本」「情報信託」、即ち「情報を信用して委託する」「協会」の意である。また、商標権者は、「情報」を新しい概念の商品として、「情報」に経済的価値を見出し、「情報」の文字との組み合わせよりなる商標を各類に出願し、登録した旨を述べている。

しかしながら、申立人提出の甲第2号証ないし甲第21号証によれば、申立人中の「社団法人信託協会」は、信託制度の発達を図り公共の利益を増進することを目的とした事業を長年にわたって営んでおり、同協会が「信託協会」と略称され著名性を獲得していることが認められる。

してみれば、本件商標に係る指定役務が、金融、保険及び不動産の取引に関連する役務であって、申立人の業務と直接あるいは間接的に関係を有する業務に係る役務であることを考慮すると、「日本情報信託協会」の文字からなる本件商標に接する取引者、需要者は、構成中の「信託協会」の文字部分に着目し、これを上記申立人の名称の略称と認識し把握する場合も決して少なくないというのが相当である。

そうすると、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標であり、しかも、本件商標を登録することについて同人の承諾を得ていたものとは認められない。

したがって、先の取消理由は妥当なものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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