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Trademark Appeal Case

使用商標の称呼同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31093号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2314207号商標の「化学品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2314207号商標(以下、「本件商標」という)は「ISOTON」の欧文字と「イソトン」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第1類「血球測定用血液稀釈液、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和63年7月6日に登録出願され、平成3年6月28日に設定登録されたものである。

2 請求の趣旨

請求人は、本件商標の指定商品中「第1類 化学品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、甲第1号証ないし同第3号証を提出している。

3 請求の理由

本件商標は、本件商標の指定商品中「化学品」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。

また、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の許諾の設定もなく、その指定商品中「化学品」について使用されていないものであるから、商標法50条1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。

4 弁駁の理由

(1) 本件商標は、甲2号証に見られる如く、「ISOTON」の欧文字と「イソトン」の片仮名文字を上下二段に横書きしたものである。

しかるに、上記答弁書に添付の乙第1号証ないし同第5号証に使用されている片仮名文字は、すべて「アイソトン」の片仮名文字であるから、本件商標を使用したものとは認められないものである。

蓋し、上段に記載された「ISOTON」の欧文字は、特定の語義を有しない造語であり、また下段の「イソトン」の片仮名文字が上記欧文字の字音を特定したものと看取せしめるからである。

さらに、「アイソトン」の片仮名文字から想起される欧文字は、ローマ字の「AISOTON」、英語風の「EYESOTON」及び「ISOTON」の欧文字等が存在する如く、「ISOTON」の欧文字のみに特定されるものではないこと明らかである。

(2) 仮に百歩譲って、本件商標の使用と認められるとした場合、請求人は、被請求人の答弁書中、5.答弁の理由(1)ないし(4)及び(6)については首肯できるも、理由(5)及び(7)については、以下の如く反論する。

すなわち、被請求人は、5.答弁の理由中(3)のにおいて、『本件商標は約30年もの間、クールター型速カウン夕用の希釈液として使用され、商品名「ISOTON ▲II▼」として特定の業者間で広く取引されていたものである。』と述べ、また同理由(4)において、『前記クールター血球測定用希釈液は、「コールター・カウンター ▲II▼試薬」の名称をもって対外診断用医薬品としての承認を受けている(乙第1号)。

その主要成分は次の如く、塩化ナトリウム・・・0.75%、燐酸2水素ナトリウム・・・0.2%、抗凝固剤・・・適量及び保存剤・・・適量の無機化学品である旨主張している。

一方、被請求人は、同理由(5)において、乙第2号証ないし同第5号証を下に、『本商品、すなわち純粋な無機化学製品の水溶液は、粒子・粉体の物性測定装置にも希釈用溶液として使用して極めて好成績を上げているので、印刷用のインキの製造、写真フィルムの製造等の多くの分野の検査あるいは研究用に極めて大なる需要があり、・・・』と述べ、3頁の『以上述べた粒子・粒度分布アナライザー(測定装置)の希釈液は純然たる化学品の試薬であることに疑問の余地はなく、本件商品がその商標「ISOTON」を付して販売されていることを立証するものである。』と結論づけている。

しかしながら、提出された乙第2号証ないし同第5号証には、血球測定用希釈液の他に、印刷用のインキの製造、写真フィルムの製造等の検査あるいは研究用としての、いわゆる化学品の試薬としての用途表示は一切皆無である。以下具体的に乙第2号証ないし同第5号証について検討する。

乙第2号証は、「粒子・粉体物性測定装置/コールター総合カタログ」のタイトルから明らかな如く、あくまでコールター社取扱の全商品を紹介したものであり、かつ裏表紙記載の「アイソトン▲II▼」は「試薬」以外の表示は存在しない。したがって、これが、対外診断用医薬品としての血球測定用希釈液(試薬)以外の化学品の試薬の使用を立証したものではないこと明白である。

なお、乙第2号証は、作成年月日が不明であることから、本件審判の予告登録日(平成10年11月18日)から過去3年以内のものか定かでない。

乙第3号証の納入先一覧表は、(乙第2号証)の項で述べた如く、対外診断用医薬品としての血球測定用希釈液(試薬)以外の化学品の試薬の使用を立証した商品名の表示もなく、かつ被請求人が一方的に作成したものである。

さらに、乙第3号証は、納入を立証する販売先の商品名を記載した受領証の提出もないことから、その信憑性が欠如すること明白である。

乙第4号証は、「Scientific Instruments/Price List 1994年6月1日」のタイトルから明らかな如く、本件審判の予告登録日(平成10年11月18日)から過去3年以上前のものであり、証拠として採用できないものである。

なお乙第4号証は、同第2号証及び同第3号証同様、化学品の試薬の使用を立証したものではない。

乙第5号証は、同理由(5)中、3頁における被請求人の説明によれば、「化学品の試薬の出荷用梱包の写真」とのことである。

しかしながら、請求人が乙第5号証の「化学品の試薬の出荷用梱包の写真」を子細に観察するも、左側面下段には、「コールター・カウンター ▲II▼試薬」、「アイソトン ▲II▼」、「等張性血球計算用希釈液」以外の表示は見当たらないのである(甲第3号証)。

したがって、乙第5号証は、化学品の試薬の使用を立証したものではないこと明白である。

以上の通り、被請求人の提出した使用を立証する上記各書面(乙第1号乃至乙第5号)は、商標法第50条の要件を具備しておらず、これらの証拠書類により、本件商標を使用しているとは認められないから、請求の趣旨通りの審決を求める。

5 被請求人の答弁

(答弁の理由)

審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求め、答弁書においてその理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第5号証を提出している。

(1) 請求人は、本件商標の指定商品中「化学品」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないとして、商標法第50条第1項の規定に基づいてその取消しを求めた。

(2) 本件商標の指定商品としては旧分類(昭和35年法)第1類の全商品「化学品、薬剤、医療補助品」を指定している。

(3) 本件商標は約30年もの間、クールター血球カウンタ用の血球希釈液として使用され、商品名「ISOTON ▲II▼」として特定の業者間で広く取引されていたものである。

日本側の総代理店は初め「株式会社日科機」であり、その後社名変更により「コールター株式会社」となり、さらに1998年(平成10年)に合併により、「ベックマン・コールター株式会社」となったが、何れも本件権利者の日本側総代理店としての主体及び地位は変わらない。

(4) 前期クールター血球測定用希釈液は「コールター・カウンター ▲II▼試薬」の名称をもって対外診断用医薬品としての承認を受けている(乙第1号証)。その主要成分は次の如く、塩化ナトリウム・・・0.75%、燐酸2水素ナトリウム・・・0.2%、抗凝固剤・・・適量及び保存剤・・・適量の無機化学品である。

(5) しかしながら、本商品、すなわち純粋な無機化学製品の水溶液は、粒子・粉体の物性測定装置にも希釈用溶液として使用して極めて好成績を上げているので、印刷用のインキの製造、写真フィルムの製造等の多くの分野の検査あるいは研究用に極めて大なる需要があり、1997年度にも約100社に納入している。

乙第3号証は、1997年の各月日入りの納入先一覧表を示す。尚納入数量は得意先の企業秘密に属するとも思われるので秘匿してある。

乙第2号証は、粒子粉体物性測定装置及び試薬「ISOTON ▲II▼」に関するカタログであり、コールター株式会社が1997年以前まで継続して配布していたものである。

乙第4号証は、粒子数・粒度分布アナライザーの価格表で株式会社日科機当時のものである。本件商品は「アイソトン ▲II▼」の名で表示されているが、商品現品には商標「ISOTON ▲II▼」が併記されている。

以上述べた粒子・粒度分布アナライザー(測定装置)の希釈液は純然たる化学品の試薬であることに疑問の余地はなく、本件商品がその商標”ISOTON”を付して販売されていることを立証するものである。乙第5号証はその出荷用梱包の写真である。

なお、この商品は新社名、ベックマン・コールター株式会社になっても新社名で同様のカタログ等が発行されている。

(6) なお、米国クールター本社の統計によれば日本国への総輸出金額は日本円で次の如くである。

▲総輸出金額▼(下記の表を参照されたい。)

(7) 以上の如く本件商標は商品「化学品」について日本国内において本請求前の3年の間はもとより長期間継続して極めて広範に使用されているものである。

よって本件答弁の趣旨の如くの審決を求める。

4 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明確にしない限り、その登録の取消しを免れない。

そこで、被請求人が本件商標を商品「クールター血球カウンタ用の血球希釈液」に使用していると主張し、その証拠として提出した乙第2号証及び同第5号証(甲第3号証)をみると、乙第2号証には、被請求人の日本側総代理店である「ベックマン・コールター株式会社」の旧社名である「コールター株式会社」の発行した「粒子・粉体物性測定装置 コールター総合カタログ」(写し)であって、同カタログの発行日については不明であるが、同カタログの最終頁の中段の中央に包装用容器に「アイソトン ▲II▼」の標章の印刷されたものが掲載されており、その下段に「試薬」の文字が認められるものである。

また、乙第5号証(甲第3号証)には、上記カタログに掲載されている包装用容器に「アイソトン ▲II▼」及び「ISOTON ▲II▼」の標章の印刷された写真が認められるものである。

しかして、本件商標は、「ISOTON」の欧文字と「イソトン」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるものであり、「イソトン」のみの称呼を生じる商標であるから、乙第5号証に係る使用商標と本件商標とは同一性がない商標と認められるものである。

してみれば、使用している商品が「化学品の試薬」であるかについて、判断するまでもなく、被請求人提出の乙各号証をもっては、本件商標が本件審判請求の登録(平成10年10月23日)前3年以内に本件審判請求に係る商品について、その使用を認めることができないし、他にこれを認めるに足る資料は何等提出されていない。

してみると、被請求人は、本件審判請求に対し、その請求に係る商品について、本件商標を上記期間内に使用していたことを証明したものと認めることができない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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