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Trademark Appeal Case

メインユニットの普通名称化

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35484号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4086505号の指定商品中「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,自動販売機,家庭用テレビゲームおもちゃ」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4086505号商標(以下、「本件商標」という。)は、「メインユニット」の文字よりなり、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,遊園地用機械器具,自動販売機,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成5年6月29日登録出願、同9年11月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第52号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、カタカナ文字で「メインユニット」と横書きしてなるものであるところ、「メインユニット」とは電気通信機械器具、電子応用機械器具等を始めとする様々な機械器具において、複数の機械器具ないしは回路等の構成要素が組み合わさったその商品が持つ機能を果たすための必要不可欠の本体部分・主要部分を意味する技術用語である。

請求人は該事実を立証するため、「メインユニット」なる用語が使用されている特許出願、実用新案登録出願の公開公報及びJICSTの検索リストを提出する(甲第1号証ないし甲第38号証)。

明細書中の用語は学術用語を使用しなければならないとされており(特許法施行規則様式第29備考7)、様々な出願人により「メインユニット」なる語が使用されていることは該語が学術用語であることを示している。学術用語とは「学術上の専門用語」である。すなわち、「メインユニット」なる語は機械器具の持つ機能を果たすための複数の機械器具ないしは構成要素が組み合わさった必要不可欠の主要部分を意味する技術用語としてすでに確立・定着したものである。

また、明細書以外の技術文献中でも「メインユニット」なる語は本体部分・主要部分を意味するものとして頻繁に使用されている(甲第38号証)。すなわち、「メインユニット」は決して明細書中のみで使用される用語ではなく、一般的な技術用語である。

「メインユニット」なる語は本件商標の指定商品の分野をはじめとして現実取引に際しても、その商品の本体・主要部分を指すものとして使用されている。すなわち、「メインユニット」は現実取引において実際商品の構成態様・構造・内容(品質)・機能を指すものと使用されている(甲第39号証)。とりわけ被請求人の商品の紹介に際しても「メインユニット」が商標としてではなく商品の構造・内容(品質)・機能を指す語として使用されていることが注目される。

さらに、被請求人自身も、商標「CARROZZERIA」が使用されたカーオーディオ製品のカタログ中で、当該商品の本体・主要部分を指すものとして「メインユニット」を使用している(甲第40号証)。

以上の如く、本件商標「メインユニット」は、現実取引において被請求人を含めて取引者によって商品の構成態様・構造・内容(品質)・機能を指すものと使用されている。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当する。また、本件商標が商品の本体・主要部分を構成しない商品等メインユニットに関係のない商品に使用された場合には、商品の品質の誤認を生じさせるものである。この点で、本件商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当する。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、請求人が提出した特許・実用新案・JICSTの検索リスト・新聞記事において「メインユニット」を一般名称の如く使用しているのは、誤用である旨答弁するが、請求人が提出した特許出願、実用新案出願は全部で37件あり、JICSTの検索リスト及び新聞記事においても多くの記事の中に「メインユニット」の語が用いられている。数多くの文書中で「メインユニット」の語が本体、主要部分を意味するものとして見出せ、しかも、その使用者が不特定多数者である以上、該語の使用が誤ったものであるとはいえない。仮に、当初、「メインユニット」が被請求人の商標であったとしても、その使用が不特定多数者によって頻繁にされていることから、すでに普通名称化しているといえる。請求人は、「メインユニット」が本体、主要部分を意味する語であるとして一般に広く用いられていることを証するために、さらに、特許公報、実用新案公報を提出する(甲第42号証ないし甲第52号証)。このように明細書中に「メインユニット」の語が用いられていても、問題なく特許、実用新案登録が認められたことは、特許庁自身が「メインユニット」は商標ではなく、本体、主要部分を意味する学術用語(技術用語)であると認識していることを意味する。

次に、被請求人は、同人のカーオーディオ商品の本体・主要部分の商標が「メインユニット」である旨答弁する。しかし、無効審判請求書において詳述した、被請求人の商標「CARROZZERIA」が使用されたカーオーディオ製品のカタログ(甲第40号証)並びに新聞記事の記述(甲第39号証)における「メインユニット」の語の使用は取引の経験則からして、カーオーディオ製品の本体、主要部分を意味するものと認められ、当該部分の商標とは到底認めることはできない。

また、被請求人は、「MAIN○○○」「○○○UNIT」なる商標の登録例がある旨答弁するが、本件においては、あくまで、「メインユニット」なる語が商品の本体、主要部分を指す語であって、取引上特定者にその使用を独占させることなく広く取引界にその使用を開放しておくべきものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当することが問題となっている。したがって、被請求人が挙げた登録例は本件とは事案を異にするものといわざるを得ない。

以上述べたように、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第6号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条によって無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。

(1)答弁の理由

請求人は、本件商標「メインユニット」は技術用語であるとし、甲第1号証ないし甲第38号証において「メインユニット」が使用されている特許出願、実用新案登録出願の公開公報及びJICSTの検索リストを提出しているが、特許出願、実用新案登録出願の明細書及び技術文献には他人の商標及び登録商標がミスユース(誤用)され一般名称のごとく使用されていることが多々あり、これらをもって「メインユニット」が一般的な技術名称であるとはいえないものである。

次いで、請求人は、本件商標「メインユニット」はその意味から商品の構成態様・構造・内容(品質)・機能等を表示するものであると述べている。しかし、これらを立証する証拠は何ら提出されていない。本件商標は「主要な、主な」等の意味を持つ英語の「MAIN(メイン)」と「単一体、固体、構成単位」の意味を持つ英語の「UNIT(ユニット)」から構成されており、これらは英語の普及した今日の我が国においてはしばしば接する語であるが、本件商標はそれらを一連不可分に構成したことによって「メインユニット」と明瞭かつスムースに発音され一つの造語として認識されるものである。請求人が自他商品識別力の欠如を主張しているのは、本件商標を「メイン」と「ユニット」に分離して夫々の語の意味を判断してのことと思われるが、前述のとおり構成されている語をあえて分離しなければならない格別の理由も必然性もないものである。このことは、本件商標を構成する「MAIN/メイン」あるいは「UNIT/ユニット」の語を他の慣れ親しまれている英語と組み合わせ1つの造語とした商標が多数登録されていること(乙第1号証ないし乙第8号証)からみても明らかであり、本件商標は自他商品識別標識としての適格を有しているものである。

また、請求人は、甲第39号証において「メインユニット」が現実取引において実際商品の構成態様・構造・内容(品質)・機能を示すものとして使用されていると述べているが、これらも「メインユニット」が他人の商標であることを知らない使用者(新聞社)側のミスユース(誤用)といわざるを得ず、本件商標「メインユニット」が一般的な技術名称であること又は自他商品識別力の欠如の証拠にはならないものである。被請求人は、本件商標が登録になったことから、今後はこのようなミスユース(誤用)に対して訂正を求めていく予定である。

なお、被請求人のカーオーディオ製品カタログ中での「メインユニット」の使用(甲第40号証)は、被請求人のカーオーディオ商品の本体・主要部分の商標が「メインユニット」であるので、何ら問題のないものである。

以上のとおり、請求人の主張は全く根拠のないものであるから、本件商標「メインユニット」が商標法第3条第1項第3号及び同第6号並びに同第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるという請求人の見解は失当である。

(2)弁駁に対する答弁

請求人は、その提出した証拠により本件商標「メインユニット」が普通名称化していると弁駁書の中で主張しているが、これは到底承服できるものではない。また、特許公報、実用新案公報の中で用いられているからといって、特許庁が「メインユニット」を学術用語(技術用語)として認識しているという主張も到底納得できるものではない(特許、実用新案の審査官が商標について審査する訳ではない)。

更に、請求人は、被請求人の「メインユニット」の使用は商標としての使用とは認められないと主張しているが、「メインユニット」は被請求人のカーオーディオ製品の本体・主要部分の商標として使用されているものである。

なお、請求人は弁駁書の中で「メインユニット」は取引上特定者にその使用を独占させることなく広く取引界にその使用を開放しておくべきものであると主張しているが、請求人自身も本件商標の出願後に「メイン ユニット/ MAIN UNIT」(商願平5一93509号)及び「メインユニット/ MAINUNIT」(商願平5−93510号)を出願しており、この主張とは矛盾するものである(乙第9号証及び乙第10号証)。

4 当審の判断

本件商標は、「メインユニット」の文字よりなるところ、その構成中の「メイン」の文字は「主な、中心の」等を意味し、また「ユニット」の文字は「構成部品、単位」等を意味する、いずれも外来語として日常一般に親しまれているものであるから、両文字(語)を結合したその全体からは、「主な構成部品(主要部分)」「中心となる単位(本体)」の如き意味合いが容易に看取されるものである。

そして、請求人が提出した甲各号証からも、複数の構成要素の組合せよりなる機械器具において、その機械器具の主要部分・本体部分をさす用語として「メインユニット」の文字が一般に使用されている事実が認められる。

この点に関し、被請求人は、当該使用事実は他人の商標であることを知らない使用者側のミスユース(誤用)である旨主張する。しかし、「メインユニット」の文字について学術用語、技術用語として確立、定着しているとして請求人が提出した甲号証は、甲第1号証ないし甲第37号証が特許出願又は実用新案登録出願の公開公報類であり、甲第38号証が技術文献検索リストであり、甲第39号証が新製品紹介記事であるところ、そのいずれも本件商標の登録前に発行されており、さらには本件商標の登録出願前に発行されたものも少なからず存することが認められるのであって、かかる事実に加え、該文字については、もとより上記したような意味合いが容易に看取されることからすれば、むしろ、本件商標の登録出願時には、「メインユニット」の文字が前記意味合いを表す用語として同業者により普通に使用されていたことを被請求人自身知得していながら本件商標の登録出願に及んだものと推認し得るところであって、これら甲号証を使用者側の誤用とする請求人の主張には合理的根拠もなく到底採用することができない。

以上のとおり、「メインユニット」の文字は、「主な構成部品(主要部分)」「中心となる単位(本体)」の如き意味合いを看取させ、複数の構成要素の組合せよりなる機械器具において、その機械器具の主要部分・本体部分をさす用語として一般に使用されているものであるから、これを本件商標の指定商品中、複数の構成要素の組合せよりなる機械器具と認められる「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,自動販売機,家庭用テレビゲームおもちゃ」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、これを「主要部分」「本体部分」と同義の技術用語の一つとして理解するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわなければならない。したがって、本件商標は、その指定商品中前記商品については商標法第3条第1項第6号に該当するものである。

しかしながら、その指定商品中前記商品を除く「レコード,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」については、その商品の構造や特性からみて、直ちには複数の構成要素の組合せよりなる機械器具とは認め難いものであることから、本件商標は、これら商品との関係ではこれを使用しても、自他商品識別標識としての機能を十分果たし得るとみるのが相当であり、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきであるから、同法第3条第1項第3号、同第6号、及び同第4条第1項第16号のいずれにも該当するものではない。

したがって、本件商標は、その指定商品中「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,自動販売機,家庭用テレビゲームおもちゃ」について、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものと認める。

よって、結論のとおり審決する。

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