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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35337号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4034917号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲(1)に示すとおり「アクアサイエンス」の片仮名文字と「Aqua Science」の欧文字を上下二段に横書きした構成よりなり、第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として、平成7年11月17日登録出願、同9年7月25日に設定登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2110684号商標(以下、「引用商標」という。)は、後掲(2)に示すとおり「サイエンス」の片仮名文字と「SCIENCE」の欧文字を上下二段に横書きした構成よりなり、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年9月22日登録出願、平成1年2月21日に設定登録がされ、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)文字よりなる商標を常に一連不可分のものと把握されるものとするには、これを外観及び称呼の面のみならず、観念の面からもこれを観察し、これらのいずれにおいても、当該商標からこれをいずれかの部分で分離して観察するのを相当とする特段の事由を見出し得ないものであることが、当該商標に求められると解するのが相当であり、当該商標が、例えば、相互に関係がないか、あってもそれが稀薄な二語よりなるものであることが明瞭なものであって、そのうちの一語が当該商標を使用する商品の品質等を表示するものであるような場合には、当該商標には、観念上これを分離して観察するのを相当とする特段の事由が存するというべきである。

(2)化粧品業界においては、化粧水、水おしろい、セッティングローション、ヘアトニック、ヘアーリンス、香水といった水状あるいは液状の化粧品や、シャンプー、水せっけんといった水状あるいは液状のせっけん類が広く一般に流通し、広く一般家庭において使用されていることは顕著な事実である。そして、これを本件商標についてみると、本件商標は、その構成からみて「アクア」と「サイエンス」、「Aqua」と「Science」の文字よりなるものと容易に看取されるものであるところ、このうちの「Aqua」(アクア)は、「水」、「液」の意味の英語(外来語)であって(甲第3号証ないし甲第5号証)、一般に親しまれているといえるものであり、また「Science」(サイエンス)が、「科学」の意味の英語(外来語)として広く一般に親しまれているものであることは明らかであり、そして、これらを「アクアサイエンス」、「Aqua Science」と表記したことにより、例えば、これらは全体として親しまれている一語を形成するに至っているから、それぞれ一連不可分のものとみるべきものである、といったような、これらを一連不可分のものとしてのみに把握しなければならないとする特段の事情は見出せない。

してみれば、本件商標は、相互に関連を有しないか、関連を有していたとしても、その関連が稀薄な「アクア」(Aqua)と「サイエンス」(Science)の語よりなるものというべきであって、他に観念上、両者を一連不可分のものとしてのみに把握しなければならないとする特段の事情は見出せないから、本件商標中の「アクア」、「Aqua」の文字は、その指定商品に含まれている前記のごとき水状あるいは液状の化粧品やせっけん類との関係においては、これら商品が「水状あるいは液状のものである」という品質を表示するに止まり、本件商標にあって自他商品の識別標識として機能するのは、「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念を生ずる「サイエンス」、「Science」の文字といわざるを得ない。

(3)一方、引用商標が「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念を生ずるものであることは明らかである。

してみると、本件商標と引用商標は、「サイエンス」の称呼及び「科学」の観念を同じくするものであり、そして、本件商標と引用商標が「水状あるいは液状の化粧品・せっけん類」という同一の商品について使用されたとき、本件商標を使用した商品に接する取引者、需要者は、その構成中の「サイエンス」「Science」の文字に強く注意をひかれ、ひいて、この商品を、「サイエンス」と「SCIENCE」の文字よりなる引用商標を使用している商品の出所と同一の出所より出たものと認識する場合も、決して少なくないとみるのが相当である。

したがって、かかる意味において、両商標は、その称呼「サイエンス」及び「科学」の観念において紛らわしい類似のもといわざるを得ず、また、両商標の指定商品は、共に「水状あるいは液状の化粧品・せっけん類」を含むものである。

(4)以上よりすれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に該当し、これに違反してなされたものであるから、同法第46条の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人は、答弁するところがない。

5 当審の判断

本件商標は、その構成後掲(1)のとおり「アクアサイエンス」の片仮名文字と「Aqua Science」の欧文字を各々同じ書体でまとまりよく一体的に書してなるものであって、その構成前半「アクア」、「Aqua」の各文字部分は「水、液、溶液」の意味、ないしは「水に関係するものを表す接頭語」として、同後半「サイエンス」、「Science」の各文字部分は「科学」の意味を有するものとして、ともに一般によく知られる平易な文字(語)と認め得るものである。

しかして、指定商品中において、請求人が述べる如く、化粧水、水おしろい、セッティングローション、ヘアトニック、ヘアーリンス、香水といった水状あるいは液状の化粧品や、シャンプー、水せっけんといった水状あるいは液状のせっけん類が広く一般に流通し、広く一般家庭において使用されていることは否定し得ないが、必ずしも上記商品に対し「アクア」、「Aqua」の各文字をもって、具体的な商品の品質を表示するものとして使用されているものであるとは認め難いところである。むしろ、この種の業界においては、「水」を表す語として「ウォーター(water)」又「液体」を表す語として「リキッド(liquid)」の文字を使用しているのが実情である。

してみると、本件商標のかかる構成にあっては、いずれかの文字を分離し抽出すべき特段の事情も見出せないところであり、両文字(語)を一連一体に結合した本件商標からは、全体として「水の科学」の意味合いを生じさせる一つの熟語を表現したものというのが自然である。

そうすると、本件商標は、全体として生ずる「アクアサイエンス」の称呼も格別冗長でなく、淀みなく一連に称呼し得るものであり、その指定商品中に水状あるいは液状の化粧品又はせっけん類が存するところは認め得るとしても、本件商標をその商品に使用した場合、これに接する需要者・取引者は、「アクア」、「Aqua」の各文字のかかる意味をもって、直ちに具体的な商品の品質等の関連性を追求することなく、全体として不可分一体の熟語を形成したものと認識し把握するものといわなければならない。

したがって、本件商標は、「アクアサイエンス」(水の科学)の称呼、観念をもって取引に当たるというのが取引の実際に照らし相当である。

してみれば、本件商標より単に「サイエンス」(科学)の称呼、観念が生ずるということはできないから、これを理由に本件商標と引用商標とを類似のものとすることはできない。このほか、本件商標と引用商標とを類似のものとすべき事由は見出せない。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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