sokuhyo弁理士法人WATT 監修

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結論

敗訴(請求棄却)

第4条第1項第15号「著名商標と称呼・要部類似」の商標審決・判断理由(審判番号:不服2000−1043(T2000−1043/J1)|請求不成立)

審判番号
不服2000−1043(T2000−1043/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)引用商標「ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション」
争点(論点)
著名商標と称呼・要部類似
適用条文
第4条第1項第15号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判不服2000−1043(T2000−1043/J1)・不服)は、本件商標と引用商標「ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション」について、商標法第4条第1項第15号への該当性が争われた事例です。主な争点は「著名商標と称呼・要部類似」です。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。他人の周知・著名な商標と出所混同を生じるおそれがないか、出願前に使用状況まで含めて確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「VISA」の文字と感嘆符「!」を一連に「VISA!」と横書きしてなり、第3類「ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,つけづめ」を指定商品として、平成10年1月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、アメリカのクレジットカード会社の商標として世界的に著名な『VISA』(『ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション』 アメリカ合衆国カリフォルニア州フォスター・シティ在)と同一の『VISA』の文字を書してなるものであるから、これを出願人が本願指定商品に使用するときには、恰も前記会社と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張の要旨

日本国においては、一般に、通常の書体から成るアルファベットの4文字「VISA」は、「入国査証、ビザ」等を意味する外来語として理解かつ使用されている欧語と認識されるものである。

また、本願商標「VISA!」は、請求人独創の商標であり、従って、一般消費者、需要者をしてアメリカのクレジット会社、ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーションの世界的に著名な商標「VISA」を想起せしめないことは明らかである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号の規定によって、商標登録をすることができないものであるとした原査定は理由がないものである。そして、他にその登録の妨げとなるべき理由がなく、本願商標は、登録されるべきものである。

4 当審の判断

原査定で引用した「VISA」の文字からなる商標(以下、「引用商標」という。)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州フォスター・シティ在の「ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション」(Visa International Service Association)がクレジットカ一ドを利用しての支払い代金の精算・決済システムの提供、及び、同社との契約によりカード会社が顧客の支払い代金の精算役務に使用しているところであり、その支払いの精算・決済システムは、アメリカ合衆国、欧州のみならず世界的に使用され、日本国内でも、1983年からサービスが開始されている。

カード会社によるクレジットカードを利用した代金の精算・決済のシステムは、インターネット上での商品販売の拡大と共に利用も拡大している事情の中で、クレジットカード業界において、VISAによる支払いシステムを利用する加盟店や会員数は上位を占め、また、取り扱う商品の範囲も多岐に及んでいる。

また、VISAによる決済システムによって支払いできる場合には、販売商品と共に使用できるクレジットカードの表示として、「VISA」の文字とその文字の上方に青色、下方にだいだい色の帯状の模様を付記し三段に表した構成よりなる表示(以下、「VISA商標」という。)の他、「VISA」(引用商標)又は「VISAカード」の文字による表示がされているところである。

そして、引用商標は、「ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション」(Visa International Service Association)の略称にも相当する表示であると共に、「VISA商標」と同様、クレジットカードを使用した同社が管理する代金支払いの精算・決済システムを用いた役務に使用する商標といい得るところである。

してみれば、引用商標は、本願の出願時に、我が国の取引者・需要者間に広く認識され著名な商標となっていたものということができる。

次に、本願商標と引用商標の関係について検討するに、本願商標は、前記1で述べたとおり、「VISA」の文字に感嘆符「!」を連結した構成であるところ、「!」の感嘆符は、感嘆や強調を表す符号として一般的に使用されていることから、かかる構成においては、「VISA」(又は「VISA」(商標)の使用に係る商品)を強調する符号として付記されているものと理解され、本願商標の自他商品を識別する機能を発揮する主要部分は「VISA」の文字部分にあるものとみられることから、本願商標は、その構成中に引用商標の構成文字である「VISA」を含むものであり、「VISA」の文字に相応し「ビザ」の称呼を生じるものである。これに対し、引用商標は「VISA」の文字からなり、その文字に相応し「ビザ」の称呼を生じること明らかであるから、両商標は「VISA」の文字を要部とし、かつ、「ビザ」の称呼を共通にする類似のものといわざるを得ない。

また、引用商標は、商品の代金支払いに係る役務に使用される著名なものであることは前記認定のとおりであり、その代金支払いシステムを利用する商品の範囲も、本願に係る指定商品をも含め相当な範囲に及んでいることから、本願商標をその指定商品に使用するときは、上記会社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるもといわざるを得ない。

なお、請求人は、「我が国においては、『VISA』の文字は、一般的に『入国査証、ビザ』等を意味する外来語として理解かつ使用されている欧語であること」、また、「アメリカのクレジット会社、ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーションの世界的に著名な商標『VISA』は第5号証及び第6号証に示すとおり、通常、クレジットカード図形中央に『VISA』の文字が描かれた一体不可分の結合商標であり、かつ、その片仮名訳は『ビザカード』の如く使用されているものである。それ故、単に『VISA』の文字は、一般的には、同社の出所機能を果たすものと認識せしめられるものではない」旨主張しているが、「VISA」の文字からなる引用商標についても、ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーションに係る支払い精算・決済システムを用いた役務に使用する著名な商標といい得ること前記認定のとおりである。

また、「VISA」の文字が「入国査証、ビザ」等を意味する欧語であるとしても、本願商標のかかる構成からみて、常にこれのみを把握する格別の事情があるものといい難く、むしろ商標元来の機能である商品・役務の出所標識として捉えられるとみるべきであり、「VISA」「VISAカード」及び「VISA商標」の商標の周知・著名性を考慮した場合、取引者・需要者をして、まず、商品との関係のより強い当該の周知・著名商標を連想するものとみるのが相当であるので、いずれも請求人の主張は採用できない。

また、「クレジットカードの使用できる範囲は、クレジット会社(カード会社)と契約した加盟店のみとされ、該カードを利用できる会員は、大多数の消費者のごく一部に限られる」、また、「商品と役務の出所の誤認混同の生じる場合とは、『自動車』と『自動車の修理又は整備』等ある程度の商品と役務の関連性が必要」等と述べ、「本願を拒絶すべきでない。」旨主張しているが、引用商標は、我が国で周知・著名であること前記認定のとおりであり、その場合には、そのクレジットカードの加盟店・会員数が商品を取り扱う販売店・消費者の数に比べ少ないという実情のみによっては、商品の出所の混同を生じるおそれがないものとすることはできない。また、周知・著名な商標との関係においては、商品と役務の類似関係を超えて、出所の混同を生じるおそれがあるか否かを検討する必要があり、いずれも請求人の主張を採用することはできない。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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