sokuhyo弁理士法人WATT 監修

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結論

敗訴(請求棄却)

第4条第1項第11号「遊技機と娯楽用具役務の類似」の商標審決・判断理由(審判番号:不服2014−21828(T2014−21828/J1)|請求不成立)

審判番号
不服2014−21828(T2014−21828/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

本文で言及されている類似群コード

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)
争点(論点)
遊技機と娯楽用具役務の類似
適用条文
第4条第1項第11号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判不服2014−21828(T2014−21828/J1)・不服)は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号への該当性が争われた事例です。主な争点は「遊技機と娯楽用具役務の類似」です。特許庁は「本件審判の請求は,成り立たない」と判断しました(請求不成立)。類似する商標を出願する際は、本件の判断枠組みを踏まえて称呼・外観・観念や指定商品の重なりを事前に確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「ロケットスタート」の片仮名を標準文字で表してなり,第28類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成25年8月28日に登録出願,その後,指定商品については,原審における同26年2月20日付け手続補正書において「ぱちんこ器具,スロットマシン(パチンコ玉を使用するものを含む)」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5271980号商標(以下「引用商標」という。)は,「ロケットスタート」の片仮名を表してなり,平成20年4月4日に登録出願,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年10月9日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号に該当性について

ア 本願商標と引用商標について

本願商標は,前記1のとおり,「ロケットスタート」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「ロケットスタート」の称呼を生じ,また,「短距離競走などで,スタート直後に全速力を出すこと。また,そのためのスタート方法。最初から全力を出して物事を行うこと。」(デジタル大辞泉https://kotobank.jp/word/ロケットスタート−682970)ほどの観念を生じるものである。

一方,引用商標は,前記2のとおり,「ロケットスタート」の片仮名を表してなるところ,本願商標とその構成文字を共通にすることから,本願商標と同様に「ロケットスタート」の称呼を生じ,「短距離競走などで,スタート直後に全速力を出すこと。また,そのためのスタート方法。最初から全力を出して物事を行うこと。」ほどの観念を生じるものである。

イ 本願商標の指定商品と引用商標の指定役務について

本願商標の指定商品は,前記1のとおり,第28類「ぱちんこ器具,スロットマシン(パチンコ玉を使用するものを含む)」とするものである。

他方,引用商標の指定役務中には,前記2のとおり,第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の小売役務を含むものであり,当該役務は,その小売又は卸売において取扱う商品の中に,本願商標の指定商品を含むものであることから,本願商標の指定商品と,引用商標の指定役務中の「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,販売場所(小売),流通経路(卸売)において密接な関係を有する類似する商品と役務である。

ウ 本願商標と引用商標の類否判断

本願商標と引用商標について比較すると,本願商標と引用商標とは,前記アのとおり,外観において「ロケットスタート」の構成文字を共通にすることから外観において類似し,「ロケットスタート」の称呼及び「短距離競走などで,スタート直後に全速力を出すこと。また,そのためのスタート方法。最初から全力を出して物事を行うこと。」の観念を同じくするものであるから,両者は外観において類似し,称呼及び観念を共通にする類似の商標である。

また,前記イのとおり,本願商標の指定商品は,引用商標の指定役務中の「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似のものである。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 本願商標の指定商品と類似すると判断された引用商標の指定役務は「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であることは明らかである。しかし,当該役務を「おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下「引用指定役務1」という。)」,「人形の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下「引用指定役務2」という。)」と,「娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下「引用指定役務3」という。)」と3つの役務に分けて検討してみれば,引用指定役務1及び引用指定役務2については,本願の指定商品と類似しないこと明かである。そして,引用指定役務3については,本願商標の指定商品と抵触する類似群コードが付されているが,引用指定役務3の役務の表示中の「娯楽用具」という表示の商品については,『特許庁 類似商品・役務審査基準』には記載されておらず,特許庁のホームページ中の『商品・役務名リスト』で検索しても直接的な商品はヒットしない。したがって,当該引用指定役務3の表示中の「娯楽用具」に対応する商品の範囲は不明瞭である。よって,引用指定役務3の中で使用されている「娯楽用具」という商品について,「娯楽用具」で検索した場合に抽出された「24B01」と「24B02」の類似群コードに含まれる商品から検討すれば,「24B01」に含まれる商品は,「トランプ」等であり,一方,「24B02」に含まれる商品は,「遊戯用器具」と「ビリヤード用具」であって,これらは製造・販売方法,流通経路および需要者の範囲が大きく異なっている。したがって,引用指定役務3と,「トランプ等」,「遊戯用器具」,「ビリヤード用具」とを一括して類似すると判断するのは妥当ではなく,また,「娯楽用具」には,少なくとも「ぱちんこ器具」及び「スロットマシン」は含めるべきでないと主張する。

しかしながら,特許庁は,商標登録出願をする際に,商品及び役務の表示を単品のみとした場合,出願人のみならず審査実務上も極めて大きな負担となることから,国際分類上許容される範囲で各類の商品及び役務を概念表示ごとにグループ化(概念括り)し,包括表示を付して,グループ化をし得ないものは単品として例示し,これを特許庁商標課編「『商品及び役務区分』に基づく類似商品・役務審査基準」(以下「類似商品・役務審査基準」という。)により,一般に公表した。

そこで,「類似商品・役務審査基準」をみると,第28類に記載の「遊戯用器具」の包括表示に含まれる商品として「スロットマシン」及び「ぱちんこ器具」が例示されていることから,本願商標の指定商品は,「遊戯用器具」の包括表示に含まれる商品といえる。

次に,「類似商品・役務審査基準」中の「他類間類似商品・役務一覧表」をみると,引用商標の指定役務「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が記載されている「34K14」の項目の記載には,当該小売等役務で取扱われる商品と同一又は類似の商品を,関連する商品として「第28類 遊戯用器具 ビリヤード用具」が例示されている。そうすると,「類似商品・役務審査基準」において,「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務に係る取扱商品には,「遊戯用器具」が含まれることから,「遊戯用器具」の表示に含まれる「スロットマシン」及び「ぱちんこ器具」についても「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務で取扱われる商品に当然含まれるというべきである。

してみれば,本願指定商品と,引用商標の指定役務に係る取扱商品とは,同一又は類似するものであって,商品の販売と小売り等の役務の提供が一般的に同一事業者によって行われることが多いことからすれば,本願指定商品と引用商標の指定役務中「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,商品の販売場所と役務の提供場所とを同一にする場合が多く,さらに,取引者,需要者を共通にするものである。

したがって,本願指定商品と引用商標の指定役務中「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは,密接な関係を有する商品と役務というべきであるから,請求人の主張を採用することはできない。

イ 請求人は,引用商標の商標権者の業種は家電の小売業であり,「ぱちんこ器具」や「スロットマシン」は過去に販売した例がなく,今後も販売する可能性は極めて低い。よって,たとえ同一の商標を請求人が「ぱちんこ器具」及び「スロットマシン」に使用し,引用商標の商標権者が「ぱちんこ器具・スロットマシンを除いた娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用したとしても,相互の商品・役務間に出所の混同は起こり得ず,引用商標の商標権者と請求人との間で誤認混同が生じることはあり得ない旨主張する。

しかしながら,平成17年(行ケ)第10618号判決(知的財産高等裁判所 平成18年2月16日判決言渡)において,「商標法4条1項11号にいう先願の『他人の登録商標』は,後願の同一又は類似商標の査定時又は審決時において,現に有効に存続しているものであれば足り,現実に使用されていることを必要とするものではないと解するのが相当である。また,商標の類否判断に際しては,取引の実情を考慮することが必要であるが,ここで考慮すべき取引の実情とは,指定商品又は役務全般についての一般的,恒常的なものであるから,『他人の登録商標』が現実に使用されているかどうかということは類否判断に際し考慮すべき取引の実情には当たらないのであり,査定時又は審決時において,先願の『他人の登録商標』が現に有効に存続しているものである以上,現実に使用されていなくても,それが使用された場合に混同を生ずるか否かを一般的,恒常的な取引の実情に照らして判断すべきものである。」と判示されており,これを踏まえて判断するに,引用商標が本願商標の査定時又は審決時において,現に有効に存続しているものである以上,引用商標がその引用商標権者により,現実に使用されていなくても,それが使用された場合に混同を生ずるか否かを一般的,恒常的な取引の実情に照らして判断すべきものである。

したがって,請求人の主張を採用することはできない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,その指定商品も引用商標の指定役務と類似のものといえるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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