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結論

敗訴(請求棄却)

第4条第1項第16号・第3条第1項第3号「ラドン温泉の識別力」の商標審決・判断理由(審判番号:平成11年審判第18760号|請求不成立)

審判番号
平成11年審判第18760号
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)
争点(論点)
ラドン温泉の識別力
適用条文
第4条第1項第16号・第3条第1項第3号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判平成11年審判第18760号・不服)は、本件商標について、商標法第4条第1項第16号・第3条第1項第3号への該当性が争われた事例です。主な争点は「ラドン温泉の識別力」です。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。商品の品質や用途を直接表す語は識別力が否定されやすいため、出願前に造語化や図形との組合せを検討することが有効です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ラドン温泉」の文字を横書きしてなり、第41類「運動施設の提供」及び第42類「宿泊施設の提供,入浴施設の提供,老人の養護」を指定役務として、平成10年6月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、指定役務との関連からして、ラジウム元素より放出される安定希活性の気体を指す『ラドン』の文字と『温泉』の文字とを結合し、『ラドン温泉』と普通に用いられる方法で書してなるところ、全体としてお湯の成分中に基準値以上のラドンが含まれている温泉、いわゆる『ラドン温泉』を指し示すにすぎないものであるから、これをその指定役務中、上記意味合いに照応する役務、例えば『入浴施設の提供』に使用するときは、需要者をして、単にその役務の質(内容等)を表示したものと認識されるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、「ラドン温泉」の文字を横書きしてなるところ、その構成は「ラドン」及び「温泉」の各語よりなるものと容易に理解、認識し得るものである。

そして、株式会社岩波書店(1998年11月11日発行)の広辞苑第5版によれば「ラドン」は「希ガス元素の一。元素記号Rn原子番号86。ラジウムの壊変に際して生ずる気体。すべての同位体が放射性。」として、後半の「温泉」の文字は、「1.地熱のために平均気温以上に熱せられて湧き出る泉。多少の鉱物質を含み、浴用または飲用として医療効果を示す。硫黄泉・食塩泉・炭酸泉・鉄泉などがある。日本の温泉法では、溶存物質を1キログラム中1グラム以上含むか、泉温セ氏25度以上のものをいう。いでゆ。2.1.を利用した浴場。」の記載が認められる。

また、請求人(出願人)が意見書に添付し提出した参考資料1(温泉の泉質に関する資料)によれば、「温泉の分類」として「放射能泉」があり、この特徴として「ラドンを100億分の30キューリー単位以上又はラジウム1億分の10mg以上を含む」と解説されている。

そうとすれば、「ラドン」と「温泉」の語(文字)は、その泉質との関係で密接な関係を有するものであり、両語を統合した「ラドン温泉」の文字全体としても「放射能泉のうちラドンを含有してなる温泉」の如き意味合いを、容易に理解、認識させるものとみるのが相当である。

そして以上のことは、例えば、インターネットにより情報を公開しているサイトにおいて、

(1)独立行政法人 放射線医学総合研究所(千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号 所在)が開設するホームページ(http://www.nirs.go.jp/qa/html/qa013.html)中のQ&Aの中には、Question: 「ラドン温泉に入っても問題ありませんか?」との設問に対してAnswer: 「1..ラドン温泉とは、温泉中に基準以上のラドンが含まれている温泉をいいます。2.我が国では三朝温泉(鳥取)や増富温泉(山梨)をはじめとして、全国に多くのラドン温泉がありますが、周辺住民に特に肺癌が多いということはありません。 従って、この程度のラドンであれば取り立てて心配することはなく、温泉としての効果を楽しむとよいでしょう。」との紹介。

(2)放射線と健康を考える会が開設するホームページ(http://www.iips.co.jp/rah/kangae/radon/radon_u.htm)中のQ&Aの中に、「ラドン温泉は健康にいいの...放射能を含んでいるラドン温泉で難病をはじめ、様々な病気が治るといわれている理由を探ります。温泉がお好きな方が大勢いらっしゃると思いますが、放射能を含んだ温泉があるのをご存じですか?ラドン温泉がそれです。鳥取県の三朝温泉、山梨県の増富温泉、秋田県の玉川温泉などがラドン温泉としてよく知られ、『がんを始め、どのような難病をも治す奇跡の温泉』としてマスメディアでも紹介されています。また、イタリアのイスキア、ドイツのバーデン、オーストリアのバドガシュタイン、アメリカのボウルダーなどのラドン温泉やラドン洞窟では、各国から病気の治癒を目的とした人々でいつも賑わっているようです。では、なぜラドン温泉やラドン洞窟がいろいろな難病に効果があるといわれているのでしょうか。現在の医学では、まだはっきりとはわかっていませんが、その手がかりとなる"放射線ホルミシス"について話をしていきましょう。」との紹介。

(3)財団法人電力中央研究所(東京都狛江市岩戸北2-11-1 所在)が開設するホームページ(http://criepi.denken.or.jp/CRIEPI/ldrc/outline.html)中には、「研究概要」として「がん治療及びラドン温泉の効能に関する基礎データの集積」、「ラドン温泉の線量評価法の開発と効能の確認」との紹介。

(4)大阪府立公衆衛生研究所(大阪市東成区中道1-3-69 所在)が開設するホームページ(http://www.iph.pref.osaka.jp/indoor/kuuki/radonn.html)においても、「ラドン」という見出しのもと「まとめ」として、「ところで、『ラドン温泉』は有名ですが、これは温泉中に基準以上のラドンが含まれているため、温泉地区の家屋内は一般の室内濃度に比べてかなりのラドン濃度になっています(表)。このような地区でも周辺住民に肺がんが多いということはありません。『ラドン温泉』は取り立てて心配する必要はなく、温泉としての効果を楽しむべきだと考えます。」との紹介。

(5)東京電力株式会社(東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 所在)が開設するホームページ(http://www.tepco.co.jp/nuclear/hige/qa/thi/b/qa-b6.html)中のQ&Aにおいて「ラドン温泉は身体によいと聞きますが本当ですか?」との問いに「温泉のお湯は地面の中から湧き出てくるので、地面の中にあるラジウムという放射性物質が崩壊してできるラドンというガスを含んでいることがあります。例えば、島根県の三朝温泉や山梨県の増富温泉などがその例です。最近、これらの温泉地に住む人々のがんの発生率が低いという調査結果が公表されています。この調査結果は、『放射線ホルミシス効果』と呼ばれるものの1つの例です。『放射線ホルミシス効果』とは、少しの量の放射線を人間が受けると、体によい影響を与えるという効果です。 ラドンも放射性物質であり、放射線を出しますが、このラドンを温泉に入り吸入し、身体の中に取り込むと、このラドンから出る放射線が体に対して一種の刺激剤となって良い影響を与えているという考え方があるのです。しかしながら、温泉には体を温めて血行を良くする温熱効果や、成分として含まれる酸やアルカリがもたらす化学的効果もあり、この発がん率の低さがラドンによる放射線ホルミシス効果によるものと言うには、現在、関係各所で行われている低線量放射線影響に関する様々な研究の成果を待たなければなりません。」との紹介。

(6)ライコスジャパン株式会社(東京都港区北青山3-3-5 東京建物青山ビル)が開設するホームページ(http://health.lycos.co.jp/library/3000/w3000515.html)では、「温泉にはいろんな効能がある」のページ中に「含まれている物質による温泉分類法」と題した分類表中に「放射能泉...日本では俗にラドン温泉と呼ばれるものが多い。利尿作用があり、高尿酸血症や痛風に効果。」との紹介がされていることからも十分に裏付けられるところである。

してみれば、本願商標を、その指定役務中「入浴施設の提供」等について使用しても、これに接する取引者・需要者は、ラドンを含有して成る温泉を利用した役務であると理解するにとどまるというのが相当であって、結局、本願商標は、役務の質(内容)を表示するにすぎないものであり、かつ、ラドンを含有して成る温泉を利用した役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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