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結論

勝訴(請求認容)

第4条第1項第7号「黒人図形商標の公序良俗」の商標審決・判断理由(審判番号:平成10年審判第8953号|拒絶査定取消・登録)

審判番号
平成10年審判第8953号
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)
争点(論点)
黒人図形商標の公序良俗
適用条文
第4条第1項第7号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
拒絶査定取消・登録(勝訴(請求認容))

この審決(審判平成10年審判第8953号・不服)は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号への該当性が争われた事例です。主な争点は「黒人図形商標の公序良俗」です。特許庁は「原査定を取り消す」と判断しました(拒絶査定取消・登録)。類似する商標を出願する際は、本件の判断枠組みを踏まえて称呼・外観・観念や指定商品の重なりを事前に確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第21類「食器類(貴金属製のものを除く。),ガラス製又は陶磁製の包装用容器」を指定商品として平成8年3月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、黒人が飲料を飲んでいる図形を有してなるところ、該図形部分は黒人を差別し又は黒人を不快ならしめる図形と認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、別掲のとおり、図形と文字からなるところ、その構成中に図案化された人物が、シルクハット型の帽子を被り、蝶ネクタイを付けコップに入った飲料をストローで飲んでいる図形を描いてなるものであり、また、その構成中の下部に黒く塗りつぶした長方形内に白抜きで「カルピス」の文字を書してなるものである。

(2)請求人提出の甲第5号証(三島海雲著「初恋50年」)、同第7号証(日刊工業新聞記事)、同第8号証(朝日新聞記事)、同第9号証(徳島新聞記事)、同第10号証(北海道新聞記事)、同第11号証(愛媛新聞記事)、同第12号証(神奈川新聞記事)、同第13号証(朝日新聞記事)、同第14号証(報知新聞記事)、同第15号証(読売新聞記事)、同第16号証(荒俣宏著「広告図像の伝説」)、同第17号証(「STYLING1987年3月号」)及び審判請求の趣旨によれば、本願商標中の図形マーク(以下「本件図形マーク」という。)は、大正6年にカルピス食品工業の創立者である故三島海雲が、第一次世界大戦で窮乏していた欧州の美術家を救済しようと、独、仏、伊でポスター募集を行い、1942点の応募作品の中から、ドイツのミュンヘンのオットーデュンケルという図案家の作品を、大正12年に採用、爾来65年間もの長きに亘って、「初恋の味」の文句とともに乳酸飲料に使用したものであって、健康的な、そしてコッミックな、明るい雰囲気をもったマークであること、請求人は1990年1月から本件図形マークの使用を自主的に一時的中止をしていること、今でも専門家の間では世界有数のマークといわれていること、我が国では黒人は健康美の象徴とされ、差別の意図はないうえ、立体派の流れをくむ文化的な遺産であり、消費者には黒人の黒い肌と乳酸飲料の白色が好対照をなし、涼しげな印象を与えるマークとしてファンも多いことが認められる。

(3)以上の認定事実よりすると、本願商標中の本件図形マークは、現代においても斬新デザインであり、請求人の乳酸飲料について長期間に亘り使用され、需要者の間に広く認識されていたものであり、本件図形マークの使用を請求人が中止した時点である1990年頃においても、我が国における取引者、需要者に、黒人は健康美の象徴であり、乳酸飲料を飲む構図はしゃれたデザインであって、全体として涼しげな印象を与えるものとして認識されていたものというべきである。そして、我が国の一般的な取引者、需要者が、本件図形マークに接した場合に、黒人を不快ならしめるものであって、人種的偏見と差別を助長するものとの印象を持っているとする事実を認めることはできない。その他、本件図形を含む本願商標について、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるとする事実はない。

(4)そうすると、本件図形について、黒人を不快ならしめるものであって、人種的偏見と差別を助長するものであり、穏当を欠くと認定し、その上で、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものとし、本願を拒絶した原査定は、誤りであり、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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